第45話 修行と冒険の日々
ベルフォートにしばらく滞在することになったりょうたち。
ガイウスは言った。
「修行ばかりでは実戦感覚が鈍る。」
「依頼を受けながら強くなれ。」
「はい!」
こうして四人は、修行とクエストを並行する生活を始めた。
朝
夜明け前。
「聞けぇぇぇ!!」
町中に響く声。
「我が名は!」
「漆黒の覇王・神崎りょう!!」
「今日も剣の道を極める!!」
ベルフォートの住民たちは苦笑する。
「また始まった。」
「毎朝元気だな。」
ガイウスは容赦なく木刀を振るう。
「隙じゃ。」
ゴツン!
「痛っ!」
「もう一度。」
「はい!」
昼
ギルドへ向かう。
受付嬢が笑顔で迎えた。
「今日は三つ依頼があります。」
森の薬草採取
ゴブリン討伐
行方不明の羊探し
りょうは迷わず言う。
「全部受けます!」
紗耶が苦笑する。
「また全部?」
最初は薬草採取。
アリシアが薬草に詳しく、次々と見つけていく。
「これは傷薬になります。」
「こっちは解毒薬です。」
りょうは感心した。
「すごい!」
次は羊探し。
迷子の羊を見つけるが、崖の上に登ってしまっていた。
りょうは木に登ろうとして滑る。
「うわっ!」
紗耶が風魔法で助ける。
「もう。」
アリシアは羊を優しく抱きかかえた。
「怖かったですね。」
羊は「メェ~」と安心したように鳴いた。
最後はゴブリン討伐。
五匹ほどの小さな群れ。
りょうは剣を抜く。
「聞け!」
ゴブリンたちが首をかしげる。
「我が名は!」
「漆黒の覇王・神崎りょう!!」
「覚悟しろ!」
ゴブリンたちはなぜか一瞬固まった。
紗耶が吹き出す。
「毎回ちゃんと名乗るんだね。」
「当然!」
戦闘では、ガイウスが命じる。
「能力禁止!」
「魔法禁止!」
「剣だけで倒せ。」
「えぇぇ!?」
りょうは必死に剣だけで戦う。
何度も転ぶ。
何度も失敗する。
それでも、以前より少しずつ動きが良くなっていく。
ガイウスは小さく頷いた。
「ようやく足運びが良くなってきた。」
夕方。
依頼を終え、報酬を受け取る。
ギルドの受付嬢が笑顔で言った。
「最近、ベルフォートの皆さんが『漆黒の覇王』さんを応援してるんですよ。」
りょうは目を丸くする。
「え?」
「子どもたちが真似して遊んでます。」
その時、外から元気な声が聞こえた。
「我が名は!」
「漆黒の覇王!」
「悪い魔物をやっつける!」
りょうは照れながら笑った。
「なんか……恥ずかしいな。」
紗耶は嬉しそうに微笑む。
「でも、憧れられるヒーローになってきたね。」
その夜。
ガイウスは静かにりょうへ告げた。
「明日から修行を一段階上げる。」
「実戦形式じゃ。」
「相手は儂一人ではない。」
「ベルフォート騎士団も相手をしてもらう。」
りょうは笑みを浮かべた。
「望むところです!」
しかし、その言葉を窓の外で聞いている影があった。
黒いローブに白い仮面。
幻影卿ノクス。
「順調に強くなっていますね。」
「ですが……。」
「強くなるほど、《共鳴》には大きな試練が待っています。」
ノクスは静かに姿を消し、次なる計画を進めるのだった。




