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異世界と厨二病  作者: シュレディンガー


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第41話 偽物にはないもの

ガキィィィン!!


りょうと偽りのりょうの剣が激しくぶつかる。


力も速さも、まったく同じ。


「くっ!」


「強い……!」


偽りのりょうが笑う。


「当然だ。」


「俺はお前だからな。」


一方。


紗耶も偽りの紗耶と戦っていた。


風魔法。


氷魔法。


炎魔法。


すべて同じ。


さらに。


パチン。


「クローズド・クロック。」


時間が止まる。


「えっ……!」


紗耶は息をのんだ。


「時間停止まで……!」


止まった世界で、二人だけが剣を交える。


「どうして?」


「お前の記憶を読んだからだ。」


偽りの紗耶は冷たく答えた。


アリシアも苦戦していた。


偽りのアリシアが同じ回復魔法を使う。


「ホーリー・ヒール。」


「ブレイブ・オーラ。」


支援まで完全に同じ。


「そんな……。」


ガイウスは目を細める。


「なるほど。」


「姿だけではない。」


「技も記憶も再現しておるか。」


ノクスは静かに頷く。


「ええ。」


「ですが。」


「一つだけ再現できないものがあります。」


りょうは吹き飛ばされ、地面を転がる。


「いてて……。」


偽りのりょうが剣を向ける。


「終わりだ。」


その時。


紗耶が叫んだ。


「りょう!」


アリシアも叫ぶ。


「頑張ってください!」


その声を聞いた瞬間。


りょうは笑った。


「……そうか。」


ゆっくり立ち上がる。


黒マントを整える。


「お前。」


「一つだけ足りない。」


偽りのりょうが眉をひそめる。


「何?」


「仲間だ。」


偽りのりょうは鼻で笑う。


「仲間?」


「そんなもの、戦いには不要だ。」


りょうは首を横に振る。


「違う。」


「俺が強くなれたのは。」


「紗耶がいたから。」


「ガイウスさんが教えてくれたから。」


「アリシアが支えてくれるから。」


右手に黒い火花が宿る。


パチッ。


一本。


また一本。


「《共鳴》……!」


ガイウスが微笑む。


「そうじゃ。」


「偽物には《共鳴》は使えん。」


偽りのりょうも剣を構える。


しかし。


何も起きない。


「なぜだ!」


「なぜ力が出ない!」


りょうは静かに答えた。


「お前には。」


「守りたい仲間がいない。」


黒い雷が剣を包む。


「《共鳴解放》!」


「黒影・共鳴一閃!!」


ズバァァァッ!!


偽りのりょうは一撃で霧となって消えた。


同じ瞬間。


紗耶も偽りの自分を打ち破る。


アリシアは支援魔法ではなく、仲間を信じる心で幻を崩した。


ガイウスも静かに勝利する。


四つの幻が消える。


鏡がすべて砕け散った。


ノクスは静かに拍手する。


パチ、パチ、パチ。


「素晴らしい。」


「私の予想以上です。」


りょうは剣を向ける。


「次はお前だ!」


ノクスは首を横に振る。


「いいえ。」


「まだです。」


「あなたの《共鳴》は、ようやく一段階目。」


「次に会う時。」


「私は本気で勝ちに来ます。」


黒い霧が広がる。


消える直前、ノクスは紗耶へ視線を向けた。


「時を止める少女。」


「その力には、まだ誰も知らない代償があります。」


紗耶の表情がわずかに曇る。


「代償……?」


だが、ノクスはそれ以上何も言わず、闇へ姿を消した。


残された四人は、和平会談の地・ベルフォートへ向けて歩き始める。


しかし、その先には――


魔王軍四天王第二席が、彼らを待ち受けていた。

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