第39話 四人のパーティー
王都を出発して三日。
りょうたち四人は、和平会談が行われる国境の町ベルフォートを目指していた。
旅にも少しずつ慣れ、役割も自然と決まってきた。
先頭を歩くのは、りょう。
周囲を警戒するのはガイウス。
後方では、紗耶とアリシアが話をしていた。
「アリシアさん、回復魔法ってどうやって覚えたんですか?」
「小さい頃から王宮の神官様に教わりました。」
「でも、紗耶さんの魔法のほうがすごいですよ。」
紗耶は照れくさそうに笑った。
「そんなことないよ。」
「回復魔法は私には使えないから。」
二人はすぐに打ち解けた。
一方その頃。
前を歩くりょうは木の枝を剣で払いながら進む。
「ふっ……。」
「この森。」
「邪気を感じる。」
ガイウスがため息をつく。
「ただの森じゃ。」
「いや。」
「漆黒の覇王の勘が──」
その瞬間。
ドォォン!!
地面が爆発した。
「敵襲じゃ!」
森の奥から狼型の魔物が飛び出してくる。
十匹。
二十匹。
さらに大きな銀色の狼まで姿を現した。
「グルルル……!」
りょうは剣を抜く。
黒マントを勢いよく翻す。
「来たな!」
「愚かなる魔獣ども!」
「我が名は!」
「漆黒の覇王・神崎りょう!!」
「この先へは一歩も通さん!」
銀狼が咆哮を上げる。
戦闘開始だ。
「紗耶!」
「右を頼む!」
「任せて!」
紗耶は風魔法で狼を吹き飛ばす。
「ウィンド・カッター!」
鋭い風が数体を薙ぎ払う。
「アリシア!」
「援護お願いします!」
「はい!」
アリシアは杖を掲げる。
「ブレイブ・オーラ!」
黄金の光がりょうたちを包む。
体が軽い。
剣がいつもより速く振れる。
「すごい!」
りょうは目を丸くした。
「力が湧いてくる!」
続けてアリシアは叫ぶ。
「傷を恐れないでください!」
「ホーリー・ヒール!」
かすり傷がすぐに癒えていく。
紗耶も驚いた。
「これなら攻め続けられる!」
りょうは笑みを浮かべる。
「よし!」
「これが四人の力だ!」
勢いよく踏み込み、スキルを放つ。
「黒影連斬!!」
ズバッ!
ズバッ!
狼が次々と倒れる。
しかし。
銀狼だけは違った。
「ガアアアアッ!!」
巨大な爪がりょうを襲う。
避けきれない。
その瞬間。
アリシアが叫ぶ。
「セイクリッド・シールド!」
金色の結界が展開される。
ガキィィン!!
爪が結界に弾かれた。
「ありがとう!」
りょうが振り返る。
アリシアは少し息を切らしながら微笑んだ。
「無事でよかったです。」
その姿を見た瞬間。
りょうの胸に熱いものが込み上げる。
(守りたい。)
(この仲間を。)
パチッ。
黒い火花が弾ける。
「来た……!」
ガイウスが叫ぶ。
「りょう!」
「共鳴じゃ!」
りょうは剣を握り締める。
「《共鳴》!」
「共鳴解放――レゾナンス!」
黒い雷が剣を包む。
「黒影・雷牙斬!!」
ズバァァァッ!!
黒い雷をまとった一撃が銀狼を貫いた。
銀狼は静かに倒れ、他の狼たちも森へ逃げていく。
戦いが終わる。
アリシアはほっと息をついた。
「皆さん、怪我はありませんか?」
りょうは笑顔で親指を立てた。
「アリシアのおかげだ!」
「回復も支援もすごかった!」
アリシアは少し照れながら笑う。
「ありがとうございます。」
紗耶も頷く。
「これなら私も攻撃に集中できるね。」
ガイウスは満足そうに四人を見回した。
「ようやく理想のパーティーになってきた。」
しかし、その様子を森の奥から静かに見つめる者がいた。
白い仮面。
黒いローブ。
幻影卿ノクス。
「四人になって、《共鳴》はさらに強くなりましたか。」
仮面の奥で静かに微笑む。
「ならば……次はその絆を壊す戦いを始めましょう。」




