第38話 王女からの依頼
《共鳴解放》を初めて使ってから数日。
りょうたちは王都へ戻ってきた。
ギルドへ入ると、受付嬢が慌てて駆け寄ってくる。
「りょうさん! 紗耶さん!」
「王城から至急お呼びです!」
りょうは目を輝かせた。
「ついに秘密組織からの極秘任務か!」
紗耶は笑う。
「たぶん普通の呼び出しだよ。」
王城。
豪華な謁見の間。
国王の隣には、一人の少女が立っていた。
りょうたちと同じくらいの年齢。
長い金髪に、青い瞳。
気品のあるドレスを身にまとっている。
国王が紹介する。
「娘のアリシアだ。」
「王女殿下です。」
アリシアは優雅に頭を下げた。
「初めまして。」
「神崎りょう様、紗耶様。」
りょうは慌てて頭を下げる。
「え、えっと……。」
「漆黒の……」
紗耶が肘で小突く。
「今はやめて。」
「……はい。」
アリシアは小さく笑った。
「名乗ってくださっても構いませんよ。」
りょうの目が輝く。
「本当に?」
紗耶はため息をついた。
「止めても無駄だね。」
りょうは一歩前へ。
黒マントを翻す。
「では!」
「我が名は!」
「漆黒の覇王・神崎りょう!!」
「王女殿下!」
「ご用命とあらば、この命に代えてもお守りします!」
アリシアはくすっと笑った。
「素敵なお名前ですね。」
りょうは固まった。
「……。」
「また褒められた。」
紗耶が小声で言う。
「最近、理解者が増えてきたね。」
国王は地図を広げる。
「実は隣国との和平会談がある。」
「アリシアを護衛してほしい。」
すると、アリシアが静かに口を開いた。
「お父様。私も旅に同行します。」
部屋が静まり返る。
国王は驚く。
「何を言っている。危険すぎる。」
アリシアは首を横に振る。
「私は王女である前に、この国の聖職者でもあります。
回復魔法と支援魔法なら、皆さんのお役に立てます。」
ガイウスも興味深そうに尋ねる。
「どの程度使える?」
アリシアは杖を取り出した。
柔らかな光が広がる。
「ホーリー・ヒール。」
近くで訓練中に負傷していた騎士の傷が、みるみる塞がっていく。
さらに。
「ブレイブ・オーラ。」
淡い金色の光が部屋を包み、騎士たちの体が軽くなる。
「身体能力を一時的に強化する支援魔法です。」
ガイウスは感心して頷いた。
「これは心強い。」
国王はしばらく考え、ため息をつく。
「……分かった。ただし、一人で無茶はするな。」
アリシアは笑顔で頭を下げた。
「はい!」
王城を出ると、りょうたちは旅支度を始める。
アリシアも旅装束に着替え、杖を背負って現れた。
りょうは驚く。
「王女様なのに、本当に来るんだ。」
アリシアは微笑む。
「守られているだけでは、国は守れませんから。」
りょうは大きく頷き、黒マントを翻す。
「よし!これでパーティーは四人!
漆黒の覇王! 時を止める魔導士!聖なる王女!
そして最強のおじいちゃん!」
ガイウスが苦笑する。
「誰がおじいちゃんじゃ。」
紗耶は笑いながら言った。
「なんだか、やっと本物の冒険パーティーって感じだね。」
四人は笑い合い、新たな旅へ踏み出した。
その旅路の先で待つのは、本気の幻影卿ノクスとの戦いだった。彼ら四人の絆が、《共鳴》の力をさらに大きく育てていくことになる。




