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異世界と厨二病  作者: シュレディンガー


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第37話 初めての共鳴

霧の森を抜けた翌日。


りょうたちは王都へ戻る街道を歩いていた。


行方不明だった旅人たちも無事に救出され、依頼は大成功だった。


「これで報酬たくさんもらえるね。」


紗耶が嬉しそうに言う。


りょうも笑う。


「よーし!」


「今日は宿で豪華な飯だ!」


「ステーキ!」


「ケーキ!」


「全部食べる!」


「そんなに食べたらお金なくなるよ?」


「……ほどほどにします。」


その時。


ドォォォン!!


遠くの村から黒い煙が上がった。


「火事!?」


ガイウスが目を細める。


「違う。」


「魔物じゃ。」


三人は全力で走った。


村では巨大な魔獣が暴れていた。


全身を岩で覆われた熊。


高さ五メートルはある。


村人たちは逃げ惑っている。


「助けて!」


「子どもがまだ中に!」


りょうは剣を抜く。


「紗耶!」


「子どもの救助を!」


「うん!」


紗耶は時間停止ではなく、風魔法で瓦礫を吹き飛ばしながら家へ駆け込んだ。


りょうは魔獣の前へ立つ。


黒マントを翻す。


「聞け!」


「暴れし魔獣よ!」


「我が名は!」


「漆黒の覇王・神崎りょう!!」


「村人には指一本触れさせない!」


魔獣は咆哮を上げ、突進してくる。


ガキィィン!!


重い。


今までで一番重い一撃。


「ぐっ!」


押し負ける。


その時。


村人たちの声が聞こえた。


「お願い!」


「勇者様!」


「助けて!」


りょうは歯を食いしばる。


(守る。)


(絶対に。)


その想いに呼応するように――


パチッ。


黒い火花。


一本。


二本。


十本。


剣へ集まる。


ガイウスが叫ぶ。


「りょう!」


「今じゃ!」


りょうは自然と口を開いた。


「《共鳴》――」


その言葉は、初めて無意識に出た。


共鳴解放レゾナンス!」


黒い雷が剣を包む。


今までとは比べものにならない力。


「うおおおおお!!」


「黒影・砕牙斬!!」


ズバァァァッ!!


黒い一閃が魔獣を切り裂く。


岩の鎧が砕け散る。


魔獣は静かに倒れた。


静寂。


村人たちは息を呑む。


そして。


「勝った……。」


「勇者様だ!」


歓声が響く。


紗耶も子どもを抱えて家から出てくる。


「りょう!」


「やったね!」


りょうは自分の剣を見つめる。


「今の……。」


「俺がやったのか?」


ガイウスは嬉しそうに笑う。


「いや。」


「お前だけではない。」


「村人全員の『助けたい』という願いに、お前の能力が応えたんじゃ。」


りょうは村人たちを見回す。


みんな笑顔だった。


子どもが駆け寄ってくる。


「お兄ちゃん、ありがとう!」


りょうは照れくさそうに頭をなでた。


「へへ。」


「当然!」


黒マントを翻す。


「漆黒の覇王だからな!」


村人たちは笑い、子どもたちは目を輝かせた。


「かっこいい!」


紗耶はその光景を見て微笑む。


(りょうは気付いてない。)


(もう誰も、あの名乗りを笑ってない。)


その夜。


魔王城。


ノクスは水晶玉に映る戦いを見つめていた。


「ついに。」


「《共鳴解放》を使いましたか。」


仮面の奥で静かに笑う。


「次は、本気で試しましょう。」


その背後で、魔王が立ち上がる。


「ノクス。」


「好きにしろ。」


「だが、殺すな。」


「《共鳴》の完成形を、余も見てみたい。」


ノクスは深く一礼した。


「御意。」


そして彼は闇へ溶けるように姿を消した。

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