↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界と厨二病  作者: シュレディンガー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/102

第29話 「お前の能力は何だ?」

ノクスが消えた森。


焚き火だけが静かに燃えていた。


誰も、すぐには口を開けない。


やがて、りょうが沈黙を破った。


「……あいつ。」


「俺の能力を知ってるって言ってた。」


ガイウスは険しい表情のまま答えない。


紗耶も珍しく黙っていた。


「ガイウスさん。」


「何か知ってるんですよね?」


長い沈黙。


そして、ガイウスはゆっくり口を開いた。


「……少しだけじゃ。」


「じゃが確信はない。」


翌朝。


三人はレグナスへ戻る途中、街道で魔物に遭遇した。


ゴブリン十体。


オーク二体。


りょうは剣を抜き、ニヤリと笑う。


「よし!」


黒マントをバサッと翻す。


「朝一番の運動だ!」


紗耶が苦笑する。


「元気になったね。」


「当然!」


りょうは剣を天へ掲げる。


「愚かなる魔物ども!」


「貴様らの運命は今ここで終わる!」


「我が名は!」


「漆黒の覇王・神崎りょう!!」


「覚悟しろ!」


ゴブリンたちは顔を見合わせた。


「ギャ?」


「……ギャ。」


「何言ってるか分からん。」


ガイウスが吹き出した。


「魔物にも通じんかったか。」


「行くぞ!」


「黒影連斬!!」


ズバッ!


一体撃破。


「続け!」


「終焉十字斬!!」


もう一体。


紗耶も風魔法で援護する。


「左!」


「了解!」


二人の息はぴったりだった。


戦闘は数分で終わる。


剣を鞘へ納めたりょうは、小さくため息をつく。


「……。」


右手を見る。


(また火花は出ない。)


(あの時だけだった。)


ガイウスが近づいてきた。


「りょう。」


「はい。」


「お前は自分の能力を火花だと思っておるな。」


「うん。」


「違う。」


「え?」


「火花は。」


「能力が目覚めようとして漏れ出しているだけじゃ。」


りょうは息をのんだ。


「じゃあ。」


「本当の能力は?」


ガイウスは首を横に振る。


「まだ分からん。」


「分からない?」


「じゃが。」


「一つだけ伝説がある。」


三人は街道脇の岩へ腰掛ける。


ガイウスは遠い昔を思い出すように話し始めた。


「昔。」


「魔王を討った英雄がおった。」


「その英雄の力は、最初は誰からも"ハズレ能力"と言われていた。」


「弱かったんですか?」


紗耶が聞く。


「ああ。」


「じゃが。」


「極限まで追い詰められた時。」


「その力は世界を書き換えるほどの力へ変わった。」


りょうは真剣な顔になる。


「世界を……。」


「書き換える?」


「伝説じゃ。」


「本当かどうかは分からん。」


りょうは立ち上がる。


黒マントを翻し、拳を握る。


「なら!」


「俺もその伝説を超える!」


「いつか世界が!」


「漆黒の覇王伝説を語る日が来る!」


紗耶は笑いながら拍手した。


「はいはい、未来の伝説。」


「信じてないな?」


「信じてるよ。」


「半分くらい。」


「半分かー!」


三人は笑いながら街道を歩き出した。


しかし、その笑顔の裏で、魔王城では異変が起きていた。


炎獄将軍バルガスが玉座の前にひざまずいている。


魔王は静かに告げた。


「バルガス。」


「次は遊ぶな。」


「勇者たちを……必ず始末しろ。」


バルガスはゆっくり立ち上がり、炎をまとった戦斧を握り締める。


「御意。」


「次こそ、本気で潰す。」


そしてその会話を、柱の影からノクスが静かに見つめていた。


仮面の奥で、小さくつぶやく。


「……まだ早い。彼の能力が目覚める前に殺せば、魔王様は安心でしょう。

 ですが。それでは、あまりにも退屈です。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。