↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界と厨二病  作者: シュレディンガー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/102

第27話 選ばれなかった者

ゴゴゴゴゴ……。


遺跡全体が震え始める。


古びた剣は黒い光を放ち、まるで誰かを待っていたかのように脈打っている。


りょうは一歩前へ出た。


「これだ……。」


「絶対、俺のイベントだ。」


紗耶は苦笑する。


「ゲームじゃないからね。」


「いや、この流れは絶対そう!」


黒マントを翻し、右手を剣へ伸ばす。


「眠りし聖剣よ!」


「漆黒の覇王・神崎りょうが命じる!」


「今こそ我が手に――」


ガシッ。


柄を握る。


「目覚めろぉぉぉぉ!!」


……


…………


………………。


シーン。


何も起きない。


「……あれ?」


りょうはもう一度力を込める。


「ぬおおおお!!」


びくともしない。


紗耶が吹き出した。


「ふふっ。」


「笑うな!」


「もう一回!」


りょうは変なポーズを決める。


「深淵に眠りし契約よ!」


「我と共鳴しろ!」


「ダーク・レゾナンス!!」


ガッ!


ググググ……。


動かない。


「なんでだぁぁぁ!」


ガイウスは頭を抱えた。


「呪文では抜けん。」


すると、台座の文字が淡く光る。


紗耶が古代語を読み始めた。


「えっと……。」


「『力を求める者には応えず。』」


「『誰かを守るために剣を握る者を選ぶ。』」


りょうは静かになった。


「……。」


さっきまでの騒がしさが消える。


「俺。」


「強くなりたいって気持ちばっかりだった。」


紗耶は隣へ立つ。


「それは悪いことじゃないよ。」


「でも。」


りょうは苦笑する。


「この剣には見抜かれたのかな。」


その時だった。


ゴォォォォ!!


剣から黒い雷が走る。


りょうは驚いて後ろへ飛ぶ。


「うわっ!」


黒い雷は一瞬だけりょうの手をかすめた。


パチッ。


いつもの火花。


……しかし今回は少し違う。


黒い火花だった。


ガイウスは目を見開く。


「今のは……!」


その瞬間。


遺跡中に低い声が響く。


「試練を終えし者よ。」


「まだ資格なし。」


「されど。」


「可能性あり。」


石の台座がゆっくり沈み始める。


剣も一緒に地下へ消えていく。


りょうは思わず叫んだ。


「えっ!」


「持って帰れないの!?」


「ダメだったかぁ……。」


紗耶は笑いながら肩を叩く。


「また来ればいいよ。」


「その時は選ばれるかもしれない。」


りょうは悔しそうに拳を握る。


「絶対だ。」


「もっと強くなって戻ってくる。」


黒マントを翻し、台座へ向かって指を突きつける。


「待ってろ!」


「次に来る時は!」


「漆黒の覇王が、その剣を従えてみせる!!」


遺跡に、その声だけが力強く響いた。


遺跡を出る頃には夕日が山々を赤く染めていた。


ガイウスはりょうの右手を見つめる。


黒い火花はもう消えている。


(やはり……。)


(あの火花はただの火花ではない。)


(だが、今教えるには早い。)


遠く離れた魔王城では、四天王・幻影卿ノクスが不敵に微笑んでいた。


「伝説の剣に拒まれたか。」


「……いや。」


「拒まれたのではない。」


「試されたのだ。」


「ならば次は、私がその可能性を試してやろう。」


黒い霧がゆっくりと広がる。


りょうと紗耶の次なる旅路には、四天王第三席・幻影卿ノクスが待ち受けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。