第26話 封印の遺跡
数日後。
りょうたちは北方山脈へ到着した。
山の中腹には、巨大な石造りの神殿が眠っている。
入口には古代文字が刻まれていた。
「読める?」
りょうが聞く。
紗耶は首を振る。
「古代語だね。」
ガイウスだけが文字を見つめていた。
「……。」
「『資格なき者、この先へ進むべからず』」
「『試練を越えし者のみ、真なる力に触れる』」
りょうは目を輝かせる。
「最高じゃん!」
黒マントをバサッと翻し、両腕を広げる。
「待っていろ、封印されし力よ!」
「漆黒の覇王・神崎りょうが、その封印を解き放ってやる!」
紗耶は額に手を当てた。
「最初から封印を解く気なんだ……。」
「ロマンだから!」
遺跡の中は静まり返っていた。
壁には巨大な壁画が描かれている。
勇者。
魔王。
そして、光とも闇ともつかない黒い稲妻をまとった一人の戦士。
「この人……。」
紗耶が壁画を見上げる。
ガイウスも目を細めた。
「初めて見る壁画じゃ。」
りょうは近づく。
「なんか俺のマントみたいでかっこいい!」
「そこ?」
紗耶が苦笑する。
その瞬間。
ゴゴゴゴ……
石像が動き出した。
高さ三メートル。
剣を持った騎士の石像が四体。
「侵入者。」
「排除。」
低い声が遺跡に響く。
りょうは剣を抜いた。
「よし!」
黒マントを翻し、剣を肩に担ぐ。
「古代の番人よ!」
「我が名を刻め!」
「漆黒の覇王・神崎りょう!!」
「ここより先は!」
「俺たちが進む!」
石像は無言で突撃してきた。
ガキィン!!
石の剣と剣がぶつかる。
「硬っ!」
りょうは吹き飛ばされそうになる。
「右から!」
紗耶が風魔法で援護する。
石像の体勢が崩れる。
「ありがとう!」
りょうは踏み込み、叫ぶ。
「黒影連斬!!」
ズバッ!
石像の腕が砕けた。
「やった!」
しかし。
砕けた石が宙に浮かぶ。
ゴゴゴ……
元通りに再生した。
「えぇ!?」
りょうが叫ぶ。
「反則だろ!」
ガイウスが叫ぶ。
「核を探せ!」
「胸じゃ!」
四体同時に襲いかかる。
紗耶は指を鳴らそうとする。
しかし、ガイウスが止めた。
「まだじゃ!」
「この程度で切り札を使うな!」
紗耶はうなずく。
「分かった!」
りょうは石像を見ながら考える。
(胸が核。)
(なら。)
ニヤリと笑う。
「見切った!」
黒マントを翻す。
「貴様らの弱点!」
「漆黒の魔眼には見えている!」
紗耶が小声で言う。
「見えてないよね?」
「雰囲気!」
「やっぱり。」
石像が剣を振る。
りょうは紙一重でかわす。
「そこだ!」
「終焉十字斬!!」
十字に振り抜いた剣が胸を切り裂く。
パリン!
青い魔石が砕けた。
石像はその場で崩れ落ちる。
「本当に核だった!」
りょうはガッツポーズをした。
「俺の魔眼、当たるじゃん!」
「魔眼じゃなくてガイウスさんが教えてくれたんだけど。」
「……。」
「それは言わない約束で。」
紗耶は笑いをこらえきれなかった。
四体すべてを倒すと、遺跡の最奥へ続く大扉がゆっくり開いた。
ゴゴゴゴ……
冷たい風が吹き抜ける。
その奥には、玉座のような石の台座。
そして、その上に一本の古びた剣が刺さっていた。
剣身には、壁画と同じ「黒い稲妻」の紋様が刻まれている。
ガイウスは息をのんだ。
「……まさか。」
「伝説の……。」
りょうは剣を見つめ、思わずつぶやく。
「なんだか、俺を呼んでる気がする。」
その瞬間、遺跡全体がわずかに震え始めた。




