第22話 炎獄将軍との再戦
バルガスは巨大な戦斧を肩に担ぎ、ニヤリと笑った。
「よい。」
「前よりは骨がありそうだ。」
「ならば楽しませろ!」
ドォン!!
地面を砕きながら突進してくる。
「りょう!」
「分かってる!」
二人は左右へ散った。
「喰らえ!」
りょうは剣を構える。
黒マントが風になびく。
「漆黒流剣術――黒影連斬!!」
ズバッ!
ズバッ!
連続で斬りつける。
しかし。
「浅い!」
バルガスの鎧には薄い傷しか付かない。
「そんなものか!」
戦斧が振り下ろされる。
ドゴォン!!
りょうは間一髪で回避した。
(速い……。)
(前より動きは見える。)
(でも重さが桁違いだ。)
その隙に紗耶が回り込む。
炎の魔法を放つ。
「フレイムランス!」
炎の槍がバルガスの肩を貫く。
「ぐっ!」
さらに風魔法で体勢を崩す。
「今!」
「了解!」
りょうが飛び込む。
「終焉十字斬!!」
クロスに剣を振る。
ガキン!
鎧が少し割れた。
「やった!」
兵士たちが歓声を上げる。
「四天王に傷を!」
「すごい!」
バルガスは笑った。
「面白い。」
「だが。」
全身から炎が噴き上がる。
「第二形態。」
ゴオォォォ!!
真紅の鎧が黒く染まり始める。
角のような炎が頭から伸びる。
空気まで熱くなった。
ガイウスの顔色が変わる。
「まずい!」
「本気じゃ!」
バルガスは一瞬で距離を詰める。
「遅い!」
戦斧が横薙ぎに振られた。
ドォン!!
りょうは防御する。
しかし吹き飛ばされた。
「ぐぁっ!」
地面を何度も転がる。
剣を落としかける。
「りょう!」
紗耶が駆け寄ろうとした。
その瞬間。
バルガスが進路を塞ぐ。
「小娘。」
「貴様の相手は我だ。」
巨大な拳が振り下ろされる。
パチン。
「クローズド・クロック。」
世界が静止した。
紗耶は止まった世界でりょうの元へ走る。
「大丈夫?」
「……まだ。」
りょうは立ち上がる。
「まだ戦える。」
紗耶は安心したように笑った。
「よかった。」
止まった時間の中で二人だけが話せる。
これは二人だけの秘密の時間だった。
「今回は私だけじゃ勝てない。」
紗耶が静かに言う。
「一緒に勝とう。」
りょうは力強く頷く。
「ああ。」
時間が動き出す。
バルガスは目の前から紗耶が消えたように見えた。
「……何?」
次の瞬間。
紗耶はすでにりょうの隣に立っていた。
「作戦開始!」
「おう!」
りょうは黒マントを翻し、大きく叫ぶ。
「炎獄将軍バルガス!」
「貴様の相手は――」
剣を高く掲げる。
「漆黒の覇王・神崎りょうと、時を駆ける剣姫・紗耶だ!!」
兵士たちから思わず歓声が上がる。
紗耶は少し頬を赤らめた。
「その二つ名……今考えたでしょ?」
「もちろん!」
「……もう。」
そう言いながらも、紗耶は笑っていた。
そして二人は同時に駆け出す。
初めて「守る者」と「守られる者」ではなく、肩を並べる仲間として、炎獄将軍へ挑むのだった。




