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異世界と厨二病  作者: シュレディンガー


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第19章 眠りの町

翌朝。


レグナスの冒険者ギルドは、いつもと違う空気に包まれていた。


受付嬢の表情も暗い。


「大変なんです……。」


「昨夜から、町の人が目を覚まさなくて。」


りょうは驚く。


「病気ですか?」


「お医者様にも原因が分からないそうです。」


その時、一人の男性がギルドへ飛び込んできた。


「助けてくれ!」


「娘が起きない!」


ギルドマスターが立ち上がる。


「落ち着け。」


「何人だ?」


「もう二十人以上だ!」


ざわめく冒険者たち。


「魔物の呪いか?」


「いや、病気だろ。」


「でも町の外には誰も倒れてないぞ。」


りょうは紗耶を見る。


「行こう。」


「うん。」


最初の家。


少女が静かに眠っている。


呼吸は正常。


熱もない。


ただ、何をしても目を覚まさない。


紗耶は回復魔法を使う。


淡い光が少女を包む。


しかし変化はなかった。


「治らない……。」


ガイウスも首を振る。


「呪いでも病でもないようじゃ。」


家を出る。


りょうは考え込んでいた。


「町の外は大丈夫なんだよな。」


「うん。」


紗耶が答える。


「この町だけ。」


「つまり。」


りょうは町を見渡した。


「原因は、この町にある。」


ガイウスは静かに笑う。


「考えるようになったの。」


その日の依頼は調査へ変わった。


二人は町中を歩き回る。


井戸。


教会。


市場。


宿屋。


何か共通点はないか探す。


すると。


「……あれ?」


紗耶が立ち止まる。


「どうした?」


「この魔力……。」


空気に、ごくわずかな違和感。


普通の人なら気付かない。


しかし魔法を学んだ紗耶には分かった。


「黒い魔力が流れてる。」


ガイウスの顔色が変わる。


「魔族か。」


その夜。


町外れの廃教会。


黒いローブの集団が集まっていた。


中央には巨大な魔法陣。


「もうすぐ完成だ。」


「町中の生命力を集めろ。」


その様子を、茂みから見つめる三人。


りょうは剣に手をかける。


「悪いやつらだな。」


紗耶は小さく頷く。


「止めよう。」


ガイウスが腕を広げて二人を制した。


「待て。」


「数が多い。」


「まずは様子を見る。」


りょうは息を潜める。


だが、その時。


「ニャー。」


昼間に助けた黒猫が、りょうの足元へやって来た。


「えっ?」


黒猫はりょうのマントにすり寄る。


「しーっ!」


りょうが慌てる。


しかし。


「誰だ!」


黒ローブの一人が振り向いた。


見つかった。


りょうはゆっくり立ち上がる。


「……仕方ない。」


黒マントを翻し、剣を抜く。


紗耶は小声でため息をつく。


「まさか……。」


りょうは胸に手を当て、大きく息を吸った。


「聞け! 闇に生きる者ども!」


「我が名は――」


「漆黒の覇王・神崎りょう!」


「貴様らの邪悪な儀式、この俺が打ち砕く!」


黒ローブたちは顔を見合わせた。


「……誰?」


「知らん。」


「でもなんかうるさい。」


紗耶は思わず吹き出しそうになるのをこらえた。


だが、その名乗りで敵の注意は完全にりょうへ向いた。


ガイウスは小さくつぶやく。


「……目立つのは得意じゃな。」


そして次の瞬間、黒ローブたちが一斉に剣と杖を構えた。


「侵入者を始末しろ!」


りょうは剣を構え、不敵に笑う。


「来い!」


「我が漆黒の伝説の第一ページを、お前たちで飾ってやる!」

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