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Dum Spiro Spero〜この教室33人は息をしている限り希望を捨てない〜  作者: AmorNoctis-アモールノクティス-


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コンビニバイトでの悲劇

翌朝、ウィーリス荘の1号室は、燐乃と瑠樹が手際よく作った朝食の香りで満たされていた。彼らの巨体に見合った量の料理が並び、隼、亜月、朱木の三人は、それを平らげると、それぞれの仕事へと向かう準備を始めた。


陰平 亜月が向かったのは、人通りが多い大通りに面したコンビニだった。


「ここのコンビニで働くってことか……。朝から夜まで出勤って大変だな……。まぁ、学校だと思って行けば、そうでもないか。」

彼は、この偽りの社会人生活を、情報収集のための「潜入捜査」と捉え、自分を納得させた。


「陰平です。今日はよろしくお願いします。」

彼は、店の裏口から入り、店長に挨拶をした。


店長は、小柄で、疲れた表情をしていたが、亜月の巨体を見て、再び驚きを露わにした。

「相変わらず身長でかいわね……。これからはよろしくね!まずは、レジについて説明していくわ……。」


今日は月曜日ということもあり、朝のラッシュが過ぎると、客足は途絶えがちだった。亜月は、その間に業務内容を淡々と覚え、この世界の流通や人々の生活の様子を観察した。


店長

「じゃあ、早速だけど、陰平くんにはレジでの仕事をやってほしいわ。私は裏の方で色々やってるから。わからないことがあったら、他のオーナーさんにも聞いてね。」


初日ながら、いきなりレジという最前線の仕事を任された亜月は、内心で驚きながらも、冷静に状況を受け入れた。


陰平 亜月

「初日でレジ仕事任された……。まぁ、覚えることは覚えたし、頑張るしかないか。」


彼の規格外の体格は、レジカウンターに立つと、まるで門番のようだった。次々に入ってくるお客さんは、彼の姿に一瞬怯むものの、亜月は素早く、正確に会計を終えていった。


昼を過ぎ、客足が再び増え始めた頃、その異変は起こった。


不気味なピエロのような仮面をした、背の高いお客さんが、ゆっくりと入店してきたのだ。


その男が入ってきた瞬間、店内の雰囲気はガラッと変わった。

レジに並んでいたお客さんは、まるで息を止めるようにピタッと固まり、その場に立ち尽くした。店内に充満していた生活の音が消え、重苦しい沈黙が支配した。


陰平 亜月は、その男の姿を見て、心臓が跳ね上がった。

「いらっしゃ……あっ、お前は!?」


その男は、先日、歓楽街で遭遇した謎の5人組の1人だった。あの時と同じ、威圧感と異様なオーラを纏っている。


陰平 亜月

(あいつは確か、前に歓楽街で会ったことのある、あの5人組の1人……。何を買いにきたのだろう。)


亜月は、警戒心を抱きながらも、他のお客さんでのレジの会計に集中しようとした。

「お会計は1076円になります。」


しかし、その謎の仮面男は、レジを無視した。

彼は、手に取った缶コーヒーを握りしめたまま、会計もせず、まるで慣れているような感じで、ゆっくりと、堂々と、店の外に出ようとする。


そう。これは紛れもなく、万引きだった。


陰平 亜月は、反射的にレジを飛び出した。

「!?あいつ!お客様、少々お待ちを……!」


亜月は、その規格外の脚力で、仮面男を追いかけ、駐車場で捕まえた。


陰平 亜月

「おい。お前、何会計もせず堂々と外に出てんだ。警察に言うぞ。」


亜月は、その巨体と鋭い眼光で、仮面男を睨みつけ、脅す。その形相は、まるで鬼のようだった。


その様子を、入店していたお客さんたちが、恐怖に満ちた表情で、遠巻きに見ていた。


???

「あ!?何お前!この俺様を知らんのか!この不用心が!見たことねぇ顔だな……。とりあえず、この俺様の機嫌を悪くしたから、お前を


「殺す」。」


仮面男は、亜月の脅しを鼻で笑い飛ばした。そして、ポケットに手を入れると、拳銃を取り出し、亜月に容赦なく発砲した。


バンッ!


乾いた銃声が、静かな駐車場に響き渡る。


しかし、亜月は、その銃弾を、華麗に避けた。彼らは、この世界に来る前から、常人離れした身体能力を持っていたのだ。


陰平 亜月

「!?!?っあぶね!なんだお前!?この野郎!」


亜月は、怒りに燃え、反撃しようと、その巨体を構えた。


周囲のお客さんは、悲鳴をあげ、パニックに陥る。


その時、店長が、鬼気迫る形相で、店から飛び出してきた。


店長

「だ……だめ!陰平くん!その人に抵抗してはいけない!」


次の瞬間、店長は、勢いよく亜月に向かって走り、その小さな体で、亜月の巨体を押し倒した。


陰平 亜月

「いって…店長!?なんで……」


店長は、地面に這いつくばりながら、仮面男に向かって、必死に頭を下げた。

「す……すいません!

笑嵐しょうらん かい】様!うちのオーナーが失礼しました!」


笑嵐しょうらん かいは、鼻で笑い、銃をポケットにしまった。

「……たくもう。仕方ねぇなぁ。今回は特別に殺さねぇ。

いいかお前。この俺様は笑嵐しょうらん かいと言う。よく、覚えとけ!」


そう言い残し、笑嵐 廻は、万引きした缶コーヒーを片手に、悠然とその場を離れ、どこかへ消えていった。


亜月は、店長に助け起こされ、呆然と立ち尽くした。


陰平 亜月

「店長……なんで、あの仮面男じゃなくて、俺を止めたんですか……。」


店長は、顔を伏せ、震える声で言った。

「あなたは、この街の何を見てきたの?……いいわ。とりあえず、スタッフの方で説明するわ……。」


亜月は、店長の言葉に、この街の闇の深さを改めて感じた。


陰平 亜月

「……わかりました。やっぱり、なんかあるぞ。あの、笑嵐 廻ってやつ……。そして、あの時出会った、あの5人組の人たちも……。」


店長が、命がけで亜月を止めたことによって、彼は一命を取り留めた。

この後、亜月は、スタッフの方で店長から、この街の真実について、ゆっくりと話し合うことになった。

彼の潜入捜査は、初日から、この世界の核心に触れてしまったのだった。

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