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Dum Spiro Spero〜この教室33人は息をしている限り希望を捨てない〜  作者: AmorNoctis-アモールノクティス-


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歓楽街に立ちはだかる者達

レストランを出た彼らは、午後の日差しが傾き始めた街路に立っていた。空腹は満たされ、巨体に見合うだけのエネルギーを補給したことで、彼らの表情にはわずかながら活力が戻っていた。


扶情 隼は、満腹感からか、上機嫌だった。

「いやー、いっぱい食ったなー(笑)。やっぱ、腹が減っちゃ戦はできねぇってな!お会計8500円くらいしちゃったな!」

彼らの食欲は、この世界の物価からすれば、かなりの出費だったが、ポケットの30万円を思えば、まだ余裕があった。


しかし、凪乃 朱木の表情は晴れない。

「だな。にしても、この街、なんか不気味だな……。

あの店員さんの話が本当なら、社会人は働かないと、容赦なく上の人から殺されるってことか。まるで、巨大な檻の中にいるみたいだ。」


魅羽月 瑠樹は、腕を組み、冷たい視線を街全体に向けていた。

「飛んだ独裁者ね……。一体、どんな人たちが、そんな非道な支配をしているのかしら。何人組なのかも知らないし、姿も見えない。その正体が全くわからないことが、何よりも怖いわ。」


この世界の「闇」の片鱗に触れたことで、彼らの心には、漠然とした不安が広がっていた。


牙 燐乃は、その重い空気を断ち切るように、冷静に言った。

「……とりあえず、切り替えていこう。いつまでも立ち止まっていても仕方ない。腹一杯食ったことだし、まずは住める場所を探すとするか。この街の情報を集めるにも、拠点が必要だ。」


燐乃の言葉に、一同は頷き、気持ちを切り替えた。彼らは、人通りが多く、賑やかな場所へと歩を進めた。


路地裏を抜け、大通りに出ると、そこは一変して、ネオンが輝き、看板が乱立する歓楽街だった。

扶情 隼は、その活気に目を奪われた。

「すげぇー!なんか歌舞伎町のような場所だなー。早めの修学旅行って感じで面白いな!」


しかし、陰平 亜月は、隼の楽観的な言葉に同意しなかった。

「こんな時に何を言ってる。……やっぱり、ここにいる人々を見る限り、ほぼ全員がどんよりしてる気がするな……。賑わっているはずなのに、どこか生気がない。この街、何かがある……。」


歓楽街の喧騒は、彼らの耳には届いているものの、その中心にいる人々の表情は、レストランの客と同じく、影を落としていた。


その時、彼らが歩く方向と真反対の方から、「異様な威圧感を放つ集団」が、ゆっくりと、しかし確実に近づいてくるのが見えた。


それは、彼らと同じく5人組だった。男3人、女2人。

彼らは、周囲の人間よりも桁違いに大きく、その身長とガタイの良さは、隼たちに匹敵するに見えた。顔立ちはとても怖く、まるで獣のような鋭い眼光を放っている。中には、顔全体を覆うピエロのような仮面をつけた者もいた。


彼らは、俗に言う「ヤクザ」のような、あるいは「用心棒」のような、この街の裏側を支配しているであろう、暴力的なオーラを纏っていた。


隼たちと、この謎の5人組。

彼らは、周囲の一般市民よりも遥かに大きいため、この歓楽街を歩く人々は、その威圧に耐えかねたように、道を譲り、避けられていた。まるで、彼ら二つの巨人の集団が、街の中心を歩いているかのようだった。


そして、ついに、隼たちと謎の5人組は、対面した。


周囲の喧騒が、一瞬にして遠のく。人々は、遠巻きにその光景を見て、悍ましく、怯えていた。まるで、二つの巨大な嵐が、今にも衝突しようとしているかのように。


隼たちと、謎の5人組は、それぞれ目を合わせた。


隼、亜月、朱木

燐乃、瑠樹

「………………」


???

???

「………………」


言葉はない。ただ、お互いを睨みつけ合う、張り詰めた沈黙だけが、その場を支配していた。それは、同じ規格外の存在同士が、互いのテリトリーを測り合っているかのような、動物的な緊張感だった。


数秒にも満たない、しかし永遠にも感じられる沈黙の後、謎の5人組は、何事もなかったかのように、隼たちを避け、そのまま前へと歩き続けた。


人々は、その光景に安堵し、ほっと息をつく。


隼たちは、その場でまだ立ち止まっていた。彼らの心臓は、先ほどの緊張で、まだ高鳴っていた。


凪乃 朱木が、震える声で口を開いた。

「……今の人たち、すげぇ威圧感あったな。まるで、壁が動いているみたいだ。」


牙 燐乃は、顎に手を当て、思考を巡らせる。

「明らかにオーラが他の人たちと違っていた。この街の暗さの原因……もしかして、あいつらが……」


魅羽月 瑠樹は、まだ確信を持てずにいた。

「いや。まだ確信はできないわ。ただのいかつい人たちなだけかもしれない。でも……まだわからない……。」


陰平 亜月は、彼らの共通点に気づいた。

「俺らに似たような人たちだったな。あの体格、あの威圧感……。まるで、鏡を見ているようだった。」


そんな中、扶情 隼だけは、不敵な笑みを浮かべていた。

扶情 隼

「なんか、おもろいことが起きそうな予感がするぜ……。この街、退屈しなさそうだ。」


彼ら5人は、しばし唖然としていたが、この遭遇が、この世界での彼らの運命を大きく左右するであろうことを、本能的に感じていた。

あのヤクザのような人たちは、例の「独裁者」の配下なのか、それとも、ただただ特徴的な格好をしている「この街の一般人」なのか。


彼らは、この遭遇を胸に、まずは住む場所を確保することを優先した。

そして、彼ら5人組は、この歓楽街から少し離れた場所にある、古びたアパート「ウィーリス荘」へと向かうことにした。

彼らの、この異世界での「生活」が、今、始まろうとしていた。

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