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Dum Spiro Spero〜この教室33人は息をしている限り希望を捨てない〜  作者: AmorNoctis-アモールノクティス-


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34/35

彼らが手にしたもの

突如として始まった、この街の支配者「死刻の五柱」 vs 「異世界に迷い込んだ中学一年生」という、あまりにも無謀な戦い。

スペスが語った「この世界を救う」「光を取り戻す」という途方もない約束は、彼らにとって遠い夢物語のように思えた。

しかし、「死刻の五柱を倒す」という、たった一つの決意が、彼らを突き動かした。

そして、奇跡は起きた。五人全員がソウルエンデムの能力を手に入れ、絶望的な確率を覆して勝利を掴んだのだ。

激しい戦いの傷跡は、いつの間にか消え失せていた。まるで、すべてが夢であったかのように。


戦いを終えた五人は、再び北京都の街並みへと帰路についていた。

例の繁華街を歩くと、そこにいた人々から、堰を切ったように凄まじい感嘆の声が上がった。


「あの死刻の五柱を倒した五人組だ!!」

「……まるでヒーローだわ……」

「この街を救ってくれてありがとう!」


人々の声は、感謝と歓喜の嵐となって彼らを包み込む。


扶情 隼は、その声に耳を傾け、どこか照れくさそうに呟いた。

「どうやら、俺たちはこの街を救ったわけみてぇだな」


陰平 亜月は、空を見上げながら問いかける。

「……スペスの言った光を取り戻すって、これでいいのか?」


凪乃 朱木は、腕を組み、納得したように頷いた。

「あぁ。世界を救う、とまではいかないが、一つの街を救ったと考えるなら、光は取り戻したと言えるだろう」


魅羽月 瑠樹は、柔らかな笑みを浮かべた。

「そうね……なにより、みんながこうしてまた集まれる形になれてよかったわ」


牙 燐乃は、フッと鼻で笑う。

「ふっ、まぁお前らのことだから死なないとは思ってたぜ。……とりあえず、私らはこれからどうすればいいんだ?」


燐乃の問いに、隼は腕を組んで考え込む。

「確かにそうだな……もう『光』は取り戻したし、これから他に何すればいいんだ……」


朱木は、遠い目をして呟いた。

「この五人以外の人たちも、今頃どこで何をしてるんだろうな……俺たちみたいに、上手くいってるといいけど……」


瑠樹は、少し不安げに尋ねる。

「このままこの街で住むことになるのかしら……」


亜月は、現実的な提案をした。

「とりあえず、あのアパートにでも戻るか。話はそこからにしよう」


ひとまず五人は、これからのことについて話し合いながら、慣れ親しんだアパートへと戻っていた。

その時、突然、空から巨大な光が彼ら五人に向けて降り注いだ。


「……!? なんだ!? この光は……眩しい……」


燐乃は、思わず目を細める。


朱木は、どこか予感めいた表情で呟いた。

「……またなんか起きそうだな……」


隼は、その光の中から微かに聞こえる声に耳を澄ませる。

「なんだ、微かに声がする……この声は……」


瑠樹と亜月は、同時にその声の主を悟った。

「……スペス!?」


その聞いたことのある声は、あの教会にいた謎の少女「スペス」のものだった。

スペスは、彼らに向けて口ずさむように語りかける。


ーーーーーーーーー


「あなたたちは、この『支配都市』で学んだのでしょう。

力を振るうことは容易い。だが、己が血を流し、傷つきながらも他者を守ろうとすることこそが、本当の強さであると。

誰かを救うために立ち上がること。

自分ではなく、人々の笑顔を信じて剣を取ること。

その姿は、時に孤独で、痛みを伴い、倒れそうになることもあった。

けれど、あなたたちは決して諦めなかった。

無力に思えた街の人々も、あなたたちの姿を見て正義を信じ、立ち上がる勇気を得た。

正義とは、押しつけるものではない。

正義とは、名声のために掲げるものではない。

正義とは、誰かを守りたいと願った、その一瞬の祈りから生まれるもの。

あなたたちは、その純粋で揺るぎない想いを、この世界で手に入れたのです。

胸に宿した『正義』を掲げ、互いを信じ抜け。さあ、行きなさい……。

【あなたたちの物語は、まだ終わっていないのだから】……」


ーーーーーーーーーーーー


スペスの言葉が響き渡ると同時に、彼らの目の前に、眩いばかりの光の扉が現れた。


朱木は、その扉を見つめ、静かに笑った。

「……なるほど。まだ、俺たちの冒険は、【ここで終わりってわけじゃない】ってことだな」


亜月は、扉の向こうに広がるであろう未知の世界を想像する。

「この扉の先には、また新たな【世界】が繰り広げられてる。きっと、またこの先に飛んだら俺らはまた【離れ離れ】になる」


隼は、少し驚いた表情を見せながらも、どこか晴れやかな顔で言った。

「……びっくりさせんなよ……でも、俺たちはこの街での役目はもう果たしたってことなんだな」


瑠樹は、不思議そうに首を傾げる。

「……私たちは、本当に【選ばれし者】っていうことね。一体、元の世界にはいつ戻れるのかしら……」


燐乃は、不敵な笑みを浮かべた。

「まぁこんな世界でやっていくのも悪くねぇな。私たちの冒険は【始まったばかりだ】」


隼は、仲間たちを見回し、力強く宣言した。

「……この扉に入ったら、もう俺らは別の場所へと飛ばされる。俺らの友情は、いつまでも共鳴している。

勇気を振り絞って、【次の境地へ行こう。】」


朱木、亜月、瑠樹、燐乃は、一斉に声を揃えた。

「当たり前だ!」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜



こうして、扶情 隼、陰平 亜月、凪乃 朱木、魅羽月 瑠樹、牙 燐乃の五人は、固く手を合わせ、光り輝く扉の向こう、次の境地へと飛び立った。

彼らの物語はまだ、終わらない。


いや、【始まったばかりだった。】

Chapter1【支配都市:グランドヴィル編】〜完〜

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