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Dum Spiro Spero〜この教室33人は息をしている限り希望を捨てない〜  作者: AmorNoctis-アモールノクティス-


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女豪の正義 vs 殺戮の暴姫

笑嵐 廻の能力が発動し、光が収束した瞬間、牙 燐乃の全身に鈍い衝撃が走った。視界が晴れると、そこは埃が舞い、錆びついた鉄骨が剥き出しになった、荒廃した空間だった。


「……またワープかよ。ここは、どこだ?なんかの建物のようだが……」


燐乃は周囲を見渡した。朽ちたスタンド席、ひび割れたトラック、そして中央に立つ、かつての栄光を物語るかのような巨大なスコアボード。しかし、その全てが時間の流れに打ち勝てず、無残な姿を晒していた。


「ここは……スタジアム!?にしても埃舞ってるし、周りがボロッボロだなぁ。まるで、何十年も使ってなさそうな場所だぜ」


その時、背後から低い声が響いた。


「よくわかったなぁ、小娘。ここは何十年も使われてねぇ山奥のスタジアムだ。お前の相手はこの轟子様だ。さぁ、【乱闘】と行こうか」


振り返ると、そこに立っていたのは、燐乃よりも大きな体躯を持つ女だった。筋肉質な腕、引き締まった腹筋、そして鋭い眼光。その存在感は、まさに「戦う女」そのものだった。


「赤神轟子……そんな名前だったのか。こんな私でも2mあるのに...私以外にも背も体格も大きい女を見るのは初めてだ。戦場はこの廃れたスタジアム。よろしく頼むぜ」


燐乃の言葉に、轟子は不敵な笑みを浮かべた。互いの間に火花が散るような緊張感が走る。乙女同士の、血が騒ぐ戦いが今、始まろうとしていた。


「ところで、なぜお前たち、死刻の五柱はこの街を支配するかのように人々を無差別に殺してるんだ?何か理由があるんだろう」


燐乃の問いかけに、轟子は何も答えず、右腕を大きく振りかぶった。その腕は、まるで生き物のように蠢き、鎖に繋がれた巨大な鉄球へと変形する。轟子は、その鉄球を地面に叩きつけた。轟音と共に、地面が大きく陥没し、土煙が舞い上がる。


「!!??手……というか腕全体が鎖のついた鉄球に変形してやがる!?これが噂の能力……」


燐乃は驚きを隠せない。轟子の能力は、想像を遥かに超えるものだった。


「まぁ簡単に言うとな。人々を無差別に殺すのが死刻の五柱だ。轟子たちはこの街に恨みがある。だからこそ気に入らない奴は見境なく殺すんだ。それが死刻の五柱の主流ってやつだ」


轟子の言葉は、冷酷で、一切の迷いを感じさせなかった。その瞳には、深い憎悪と諦めが宿っているかのようだった。


「……なるほどな。でも、なぜ死刻の五柱にだけその特別な能力を持ってるんだ?この街、いや、この世界は現実から遠く離れている世界線なんだな」


燐乃は、轟子の言葉の裏に隠された真実を探るように問いかけた。この異常な状況に、何か根本的な理由があるはずだと。


「あぁ。お前もこの能力について知らないのか。そもそも【ソウルエンデム】自体知っているか?」


轟子の問いに、燐乃は首を傾げた。


「……ソウルエンデム?なんだそれは。名前を聞く限り、魂と何か関係がありそうだな」


「ソウルエンデムとはな、通称【魂の継承】と言って、辛い過去を背負い希望も何もなくなった時に発動する能力だ。それだと全人類のほとんどの人がその能力を持っているだろう、と疑問を持っただろう。この能力が発動するのは、数千万人に1人とされている。この街、北京都にはソウルエンデムを持っている人が5人がいた。その人たちが集まったのが今の死刻の五柱。轟子たちは悲しき人間の集まりってわけだ」


轟子の説明は、燐乃の想像をはるかに超えるものだった。数千万人に一人という、途方もない確率。そして、この北京都に、その能力を持つ者が五人も集まっているという事実。それは、偶然では片付けられない、何か大きな運命の力が働いているかのようだった。


「だとしたら、この街に5人もそのソウルエンデム持ちがいたのは奇跡ってことか。お前にも辛い過去を背負ってたん……なんだ!?上か!?」


燐乃が轟子の言葉に思考を巡らせていると、突如、頭上から巨大な影が迫ってきた。大型のクレーンが、轟音を立てて落下してくる。燐乃はそれに素早く気づき、間一髪で後ろへ飛び退いた。クレーンが地面に激突し、爆音と土煙が周囲を包み込む。


「危ねぇ!……気づかなかったらあのまま潰されてたぜ……お前は、一体どんな能力を持ってるんだ...」


燐乃の問いに、轟子は再び不敵な笑みを浮かべた。


「轟子のソウルエンデムは、

【残滅ノ三穿尾ざんめつのさんせんび:カエデス・スコーピオン】だ。名前の通り、両腕は鎖のついた鉄球、そして背中には毒を抽出させる針。サソリみたいな能力を手に入れた。【殺戮】って感じがするだろ?」


轟子の言葉通り、彼女の両腕は巨大な鉄球と化し、背中からは鋭利な針が突き出ている。その姿は、まさに巨大なサソリを彷彿とさせた。燐乃は、その異様な姿に、思わず息を呑んだ。


「……この感じ、かなりやばそうな戦いになりそうだなぁ。こんな残虐なお前にも辛い過去があるなんてなぁ。少し気になるぜ……」


燐乃の言葉に、轟子の表情が僅かに揺らいだ。その瞳の奥に、一瞬だけ悲しみが宿ったように見えた。


「...特別に教えてやるよ。私の憂いを帯びた昔話。

お前とは縁がありそうだからな。」


「……戦いの途中って言うのによ。全く粋なことをしてくれるじゃねぇか。聞かせてくれよ」


こうして轟子は燐乃に過去を明かすことに……。廃スタジアムの埃っぽい空気が、二人の間に漂う。これから語られるであろう、轟子の壮絶な過去。それは、この戦いの行方を大きく左右する、重要な鍵となるだろう。

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