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Dum Spiro Spero〜この教室33人は息をしている限り希望を捨てない〜  作者: AmorNoctis-アモールノクティス-


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巨漢の正義 vs 闇に鎮座する影

笑嵐 廻の能力によって、隼たちと死刻の五柱は、この街のあちこちに散らされた。光が収束し、隼が足元に着地した時、全身に鈍い衝撃が走った。



扶情 隼

「いてて……ここは、工場?」


隼の視界に広がったのは、錆びた鉄骨と崩れかけたコンクリートの山だった。天井は一部が抜け落ち、そこから夜の月が無機質な光を投げかけている。油と埃の匂いが鼻を突き、足元には割れたガラスや機械の残骸が散乱していた。ここは、街から遠く離れた、第一廃工場。まさに、死闘の舞台にふさわしい、荒涼とした空間だった。


その空間の中心で、桜木 亙が静かに立っていた。彼は昨日と同じ、仕立ての良いスーツを着ていたが、その表情は冷酷な仮面を被ったように無感情だった。


扶情 隼は、胸に残る、かすかな痛みを押さえ、怒りを込めて言った。

「なるほど、舞台は廃工場か……ここで戦うってわけだな、桜木 亙。」


桜木 亙は、隼の巨体を上から下まで、値踏みするように眺めた。

「あぁそうさ。前にお前の胸に目掛けて、私のドリルを突き通したはずだが……1週間でよくそこまで元気になったな。そこだけは驚いた。そして、普通はあの時にトラウマを植え付けられるはずだったが、まさか再戦するとはな。尊敬してやる。お前はほかの奴らとは一味違うようだな。」


亙の言葉は、隼の怒りをさらに煽った。ぶみの死、看護師の涙、そして、胸に刻まれた、あの時の痛み。すべてがこの男に繋がっている。


扶情 隼は、拳を握りしめ、地面を踏みしめた。

「当たり前だ。俺の大切なペット、ぶみを殺した。そして、看護師の大事な息子も殺した。お前の罪は重いぞ。

ここで俺はお前を倒す。敵討だ。もちろん、武器など使わずサシでやり合おう。」


隼は、肉体の全てを使って、戦闘態勢を整えた。


桜木 亙は、肩をすくめた。

「……まぁいい。最初はまぁ手加減ということで、サシでやるか。「最初」はな。」


隼は、亙の言った「最初」という言葉に引っかかったが、迷う暇はなかった。隼と亙は、互いに拳と拳でやり合った。隼の体格は圧倒的で、一撃が重い。亙はスーツを着ているにも関わらず、驚くほどの俊敏さで隼の攻撃をかわし、的確に急所を狙ってくる。まるで、長年の戦闘経験を持つ、熟練の格闘家のようだった。


決闘すること15分。彼ら2人は息が荒くなっている。隼の方が、亙よりも体が大きい為、優勢だった。隼の重い一撃が亙の腹にめり込み、亙は数メートルも吹き飛ばされた。


扶情 隼

「どうした!終わりか!」


亙は、壁に叩きつけられ、スーツが破れた。そこから覗くのは、人間の肌ではなく、鈍く光る、銀色の金属だった。


すると突然、亙は左手をドリルのようなものに変形し、隼の胸へまた目掛けようとした。


扶情 隼は、驚愕した。

「!?くそっ!

って危ねぇ……またドリルで胸をやられるとこだった……おい亙!武器は使わないで正々堂々やるんじゃないのか。なんだ?」


隼は、ギリギリで亙のドリルを交わした。危機一髪だった。


桜木 亙は、冷たい笑みを浮かべた。

「……ふっ。最初は正々堂々とやるって言っただろ?もうこれからは自由だ。俺のやり方でいかせてもらう。」


と、亙は分厚いスーツを脱いだ。スーツの下に隠されていたのは、人間の肉体ではなかった。全身が継ぎ接ぎの機械でできていた。関節は油圧式のシリンダー、皮膚は硬質な合金。その姿はまるで、自我を持った、巨大な兵器だった。


そしてドリルを構え、冷徹な声で言った。


桜木 亙

「これが俺本来の姿だ。驚いたか?

さぁ。ここからが本当の死闘になるぞ。デカブツ。」


隼は、亙の機械でできた、異形の体付きに驚きを隠せなかった。


扶情 隼

「くそ……なんなんだその体つきは……

そして、お前は一体何者なんだ。人なのかもわからねぇ……。」


桜木 亙は、機械の体から発せられる、無機質な声で答えた。

「ふっ。いわゆる能力ってやつさ。


この世界で言う「「ソウルエンデム」」ってやつだ。」


隼は聞いたことない「ソウルエンデム」という言葉に引っかかった。


扶情 隼

「……ソウル……エンデム?なんなんだそれ。なんかの能力か……?」


桜木 亙

「わからなくて当然さ。ソウルエンデムに関しては、この世界の数人しか知らねぇさ。

まぁ簡単に言うと、辛い過去を背負い、もうどうしようもなく、希望も何もなくなった時に発動する能力だ。けれど、全員がそう言うわけじゃねぇ。数1000万人に1人とされている。そして、俺が選ばれし者ってわけだ。」


亙は、ドリルを回転させ、甲高い音を響かせた。


扶情 隼

「なるほどな……お前の能力は、全身機械人間ってことか?」


桜木 亙

「そうさ。俺の能力は、


【鋼鉄ノ暴君:アイアン・タイラント】だ。言っての通り、全身機械人間。」


隼は、全身に冷たい汗を感じた。常識を遥かに超えた、異形の存在。これが彼らの真の力。


扶情 隼

「くそ……なるほどな。

こんなの勝てるわけねぇぞ……


お前は、どんな辛い過去を背負ってたんだ……。」


桜木 亙は、一瞬、遠い目をした。機械の奥に隠された、人間の感情が垣間見えたように感じた。

「ふっ。まぁお前にはわからねぇ話よ。


あの時のあの出来事。私は忘れないぜ……。」


(隼には伝わってないが、ここから桜木 亙の辛い過去の回想シーンが始まる。)

【魂の継承:ソウルエンデム】

辛い過去を背負い、希望も何もなくなった時に発動する能力。けれど、全員がそう言うわけではない。確率的には、数1000万人に1人とされている。

この都市以外の街にも、そのソウルエンデムの持ち主は少なからずいる。

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