希望が見つからない夜
主要人物No.11 【赤神 轟子女】
「死刻の五柱」の1人とされている、通称:殺戮の暴姫。
彼女は異様なほど大きい体型をしており、身長250cmの体重199kgもある。
彼女は女にしてとても強気な性格をしている。
年齢は19歳。
いつも背中には謎の武器を付けているが日常的には使われない。
愛用している拳銃は「北懐銃」と呼ばれるもの。
他の4人とは違いこの銃は赤神 轟子本人が自作したらしい。
隼は、死刻の五柱の代表者、桜木 亙によって、胸をドリル状の異形で突き通され、瀕死の重傷を負った。朱木、亜月、燐乃、瑠樹の四人は、隼とぶみを見守るため、救急車に同乗し、緊急病院へと向かった。
救急車が、緊急病院の入り口に滑り込む。サイレンの音が途切れ、タイヤがアスファルトを擦る音が、緊迫した静寂を破った。
救急隊員
「今緊急病院に着きました!先生、これから先はお願いします!」
医師や看護師たちが、緊迫した表情でストレッチャーを取り囲む。病院の照明は、昼間のように明るく、隼の血に濡れた服と、顔の蒼白さを容赦なく照らし出した。
医師
「はい、わかりました。心臓のあたりがもう……。出血多量だ。すぐに緊急検査に移ります。あとは任せてください。一刻を争うぞ!」
看護師が、四人に声をかけた。その声は、事務的でありながらも、彼らの動揺を鎮めるかのような落ち着きを払っていた。
看護師
「あなたたちはこの人のお連れさんですね。私たちは最善を尽くします。ここの部屋の前にあるベンチでお待ちください。」
牙 燐乃は、唇を噛みしめた。その口元からは、血の味がした。
「はい、わかりました。くそ……あのままだと確定で手術だろうな……。隼のバカ、無茶しやがって……。」燐乃の心は、怒りと、友への深い心配で引き裂かれていた。
魅羽月 瑠樹は、震える声で、自分に言い聞かせるように言った。彼女の瞳は、まだぶみの亡骸を抱きしめた時の涙の跡が残っていた。
「そうね……。今は、医師さんを信じるしかないわ。とりあえずこのまま医師さんの説明まで待ちましょう……。」
四人は、重い足取りで、手術室の前のベンチに座った。ベンチは冷たく、彼らの体温を奪っていくようだった。手術室のドアの上にある「手術中」の赤いランプが、彼らの不安を増幅させた。30分が、永遠のように感じられた。秒針の音が、まるで彼らの心臓の鼓動のように、重く、規則的に響いていた。朱木は、拳を握りしめ、亜月は、冷静であろうと努めながらも、その視線は宙を彷徨っていた。瑠樹は、ただ静かに、隼の無事を祈っていた。
30分後、医師が、疲れた表情で現れた。彼の白衣には、微かに血の跡がついていた。
医師
「大変お待たせしました。隼さんのことについては、ここの部屋でお話しします。きてください。」
四人は、ゴクリと喉を鳴らし、緊張しながら診察室に入った。診察室の空気は、手術室前の廊下とは違い、どこか重苦しい静けさに包まれていた。
医師は、カルテを見ながら、不思議そうな顔をした。
「もしかして、あなたたちも中学1年生ですか?どうしてあなたたちのような若者が、こんな事件に巻き込まれているのか……。」
凪乃 朱木
「はい、そうです。隼たち同様、中1です。事情は話せませんが...」
朱木は、隼の代わりに、自分たちの立場を暗に示した。
医師
「随分と常識から掛け離れてますね……。
隼さんのような死刻の五柱にやられた人は珍しくはないです。この街では、彼らの存在は「日常の脅威」ですから。
では、隼さんの今の状況を説明します。」
四人は、固唾を飲んで、医師の言葉を待った。彼らの未来、そしてこの街の運命が、この医師の言葉にかかっているように感じられた。
医師
「信じられない話ですが、心臓のあたりがやられていても、彼はまだ息をしています。
普通はもうあのようになった時点で、ご臨終ですが、隼さんの耐久力は異次元で、まだ生きていることが確認しています。正直、医学的な常識では考えられません。彼の生命力は、我々の想像を遥かに超えています。」
その言葉に、四人は安堵の息を漏らした。それは、絶望の淵から引き上げられたかのような、深い安堵だった。
陰平 亜月
「よかった……。あいつのことでも流石に……だと思ったらまだ生きていたのか……。」亜月は、隼の能力が、彼らの希望であることを再認識した。
魅羽月 瑠樹は、涙を浮かべた。
「よかったわ……。これからは手術になるんですか?彼の命を、どうか助けてください。」
医師
「はい、そうですね。緊急検査が終わり、今は手術を行っていますね。彼の生命力は驚異的ですが、傷は深く、予断を許しません。」
凪乃 朱木
「はい。あとはよろしくお願いします。明日、隼の面会に行ってもいいですか?俺たちも、彼に会って、力を分けてもらわないと。」
医師
「はい。いいですよ。面会する時は8階の窓口に申し出てください。ただし、長時間の面会は避けてください。」
魅羽月 瑠樹
「わかりました。では後のことはお願いします……。
あ!あと、ぶみ……いや、白猫ちゃんはどうなったんですか?あの子も、私たちの大切な家族なんです。」瑠樹は、隼の無事を確認したことで、ぶみへの悲しみが再び込み上げてきた。
医師は、一瞬言葉を詰まらせ、重い口調で答えた。彼の表情は、深い哀悼の意を示していた。
医師
「……先ほど動物病院の獣医師さんから連絡があって、残念ながら……お亡くなりになりました。傷が深すぎました。我々も最善を尽くしましたが……。」
魅羽月 瑠樹は、顔を覆った。彼女の肩が、小刻みに震えた。
「そんな……ぶみちゃん可愛かったのに……。あんなに小さな命が、どうして……。」
瑠樹は、ぐすぐすと泣きそうになるのを、必死にこらえた。彼女の心は、隼の安堵と、ぶみの死という二つの感情で揺れ動いていた。
医師
「……ですが、隼さんは必ず救い出して見せます。彼の生命力は、我々に希望を与えてくれました。あとは我々に任せてください。」
陰平 亜月は、深々と頭を下げた。彼の心は、ぶみへの哀悼と、五柱への激しい怒りで満たされていた。
「……はい。あとはよろしくお願いします。では失礼します。」
こうして彼らは、ぶみへの悲しみと隼への緊張と共に、病院の外に出た。夜の冷たい空気が、彼らの熱くなった頬を冷やした。
牙 燐乃は、空を見上げた。夜空は、この街の闇を象徴するかのように、星一つ見えなかった。
「もう夜の8時か。あの出来事から3時間も経ったのか。今日は散々なことが起きたな。隼の無事だけが、唯一の救いだ。」
凪乃 朱木
「あぁ。夜飯食うところだったが、もうそんな気分じゃないな……。だが、この怒りは忘れない。五柱への復讐の炎を、心に刻んでおく。」
魅羽月 瑠樹は、涙を拭い、現実を見据えた。彼女の瞳には、強い意志の光が宿っていた。
「そうね。でも何かは食べないといけないわ。私たちの戦いは、これからが本番なんだから。少しコンビニ寄っていきましょう。」
陰平 亜月
「だな。俺のところのコンビニ寄ろう。店長に事情を話さないと。彼も、この街の闇を知っている一人だ。」
彼らは、重い足取りで、コンビニへと向かった。その足取りは重かったが、彼らの心は、五柱を倒すという決意で、一つに繋がっていた。
コンビニで最低限の食料を買い、ウィーリス荘へ帰宅した。
凪乃 朱木
「ただいま。」
ただいまを言っても、何も返事がない。
いつも「おかえり」と言ってくれたぶみは、もうこの世からいなくなってしまったのだから。その事実は、彼らの胸に、重くのしかかった。
牙 燐乃は、ぶみが寝ていた場所を見つめた。そこには、ぶみが使っていた小さな毛布が、寂しそうに丸まっていた。
「……もういないのか、ぶみ。寂しいぜ、可愛かったのに。多分このことは、隼が一番悲しむだろうな。あいつ、ぶみのこと、本当に可愛がってたから。」
魅羽月 瑠樹
「きっと、私たちの見えないところで元気しているわ。あの子の魂は、この家にいる。
隼もいないから、心細いわね。早く、隼が帰ってきて、この家に光を取り戻してほしい。」
陰平 亜月は、決意を新たにした。
「そうだな。きっとぶみも天国で元気しているさ。
このままご飯食って、隼の無事を祈って、今日は寝るしかない。明日は、また新しい一日だ。戦いの準備をしなければ。」
悲しみと怒り、そして明日への決意を胸に、彼らは静かに、長い夜を過ごすために、眠りについた。
隼の異次元の生命力が、彼らの唯一の希望だった。その希望を胸に、彼らは、束の間の休息を取った。
扶情 隼は、桜木 亙の異形によって胸を貫かれ、緊急病院に運ばれた。彼の命は、奇跡的に繋がった。




