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Dum Spiro Spero〜この教室33人は息をしている限り希望を捨てない〜  作者: AmorNoctis-アモールノクティス-


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突如その時は訪れた

主要人物No.10【一条いちじょう 璃姫りき女】


「死刻の五柱」の1人。

いつも冷静かつ真面目な性格をしており感情的にはならない思考型。

年齢は18歳。身長は192cmでとてもスリムな体型をしている。

愛用している拳銃は「R&W 29」のハンドガン。

他国から持ち込んだとのこと。


---


死刻の五柱打倒を決意してから、約二週間が過ぎた。


---


【とある日の夕方6時】


ウィーリス荘のリビングで、瑠樹がため息をついた。


魅羽月 瑠樹

「んー食材がなくなってきたわねー。今日は仕方なく外食しましょう。」瑠樹は、冷蔵庫の中を覗き込み、空っぽの棚を見て肩をすくめた。


牙 燐乃

「そして帰りにスーパーでも寄るとするかー。隼、お前のバイト先で大量仕入れだ。」燐乃は、隼のバイト先が、この街では比較的安全な場所であることを知っていた。


こうして彼らは、外食するために、賑やかな大通りへと向かった。


扶情 隼

「何食おっかなー。今日は腹めちゃ空いてるからいっぱい食べよっと。」隼は、上機嫌で鼻歌を歌っていた。


陰平 亜月

「食べ放題の店とかでもいいんじゃないか?この街の物価なら、俺たちの胃袋でもなんとかなる。」亜月は、隼の食欲を考慮し、現実的な提案をした。


凪乃 朱木

「いいねー。まぁなんでも良いけどなー。隼の奢りで。」朱木は、いつものように隼をからかった。


彼らは、仲良く、当たり障りのない会話をしていた。夕日が、この街の煤けた建物を金色に照らし、一見すると、平和な日常の光景だった。街行く人々は、皆、うつむき加減で、彼らの明るい会話だけが、その重苦しい空気の中で浮いていた。


だが、その時、誰もが想像しない展開になった。


ドォン!


突如、街中には大きな銃声が響き渡った。その音は、彼らの平穏な日常を、一瞬で打ち砕いた。それは、彼らが二週間前に決意した「戦い」の始まりを告げる、冷酷な号砲だった。


牙 燐乃は、反射的に身構えた。彼女の目は、一瞬で戦闘態勢に入り、音の発生源を探した。

「!?銃声がしたぞ!あいつらか!?」燐乃の声には、緊張と、微かな興奮が混じっていた。


魅羽月 瑠樹は、音のした方向を指差した。

「あっちの方ね!行きましょう!」瑠樹は、迷うことなく、銃声の方向へ駆け出した。彼女の心には、恐怖よりも、誰かを助けなければという使命感が勝っていた。


五人は、一斉に銃声のした方向へ駆け出した。彼らの足音は、街の静寂を破り、人々の視線を集めた。


現場に到着すると、道のど真ん中には、小さな白い塊が倒れ込んでいた。その周りには、悲鳴を上げる人々が、遠くから見つめているだけで、誰も近づこうとしない。この街では、暴力沙汰は日常であり、関わらないことが、生き残るための唯一のルールだった。彼らの冷たい視線は、隼たちの行動を、「愚かな行為」と断じていた。


隼は、その白い塊を見て、何かを悟った。彼の心臓が、ドクンと大きく鳴った。全身の血の気が引いていくのを感じた。


扶情 隼

「……ぶみ?なんで倒れ込んでるんだ?……嘘だろ。」隼の声は、震え、掠れていた。彼は、現実を受け入れることができなかった。


その猫は、彼らの大切な家族、ぶみだった。隼は、その場で呆然と立ち尽くした。彼の脳裏に、ぶみと過ごした温かい日常の記憶が、走馬灯のように駆け巡った。


陰平 亜月は、ぶみに駆け寄った。彼の顔は、一瞬で青ざめた。

「おい!ぶみ!大丈夫か……って、お腹の辺りがえぐれている……。」亜月は、ぶみの小さな体に触れ、その冷たさに、言葉を失った。


ぶみは、息絶えていた。その小さな体から流れた血が、アスファルトを赤く染めていた。その血の色は、この街の闇の深さを象徴しているようだった。


亜月は、怒りに燃えながら、周囲を見渡した。彼の冷静な理性が、激しい怒りによって打ち砕かれた。


遠く、道の向こうから、五人の人影が、ゆっくりと、悠然とと歩いてくるのが見えた。彼らの歩みは、まるでこの街の支配者であることを誇示するかのように、堂々としていた。


死刻の五柱だった。彼らの姿は、夕日を背負い、まるで地獄から現れた悪魔のように見えた。


桜木さくらぎ わたるは、不機嫌そうに、鼻を鳴らした。

「たく……あのバカ猫、俺に噛み付いてきやがった。この私を不機嫌にしやがって。」彼の声には、命を奪ったことへの微塵の罪悪感もなく、ただ不快感だけが滲んでいた。


水無瀬みなせ 朧真ろうまは、冷酷な笑みを浮かべた。

「全く。乱雑ですねぇ。歩さんは。もう少し静かに処理していただきたかった。」朧真の言葉は、まるで道端のゴミを片付けるかのような、冷淡な響きを持っていた。


笑嵐しょうらん かいは、ピエロの仮面の下で、楽しそうに言った。

「お頭に手を出すやつは、容赦なく殺してしまいましょう!ねぇ、お頭!」廻の笑い声は、この悲劇的な状況の中で、異様なまでに甲高く響いた。


凪乃 朱木は、怒りで体が震えた。彼の瞳は、血走っていた。

「くそ……あいつらがぶみを……。」朱木は、明仁の仇と、ぶみの死が、一つの線で繋がったことを理解した。彼の怒りは、もはや制御不能なレベルに達していた。


その時、扶情 隼の感情が、限界を超えた。彼の体から、規格外の力が溢れ出し、周囲の空気を震わせた。


扶情 隼は、静かに、燐乃に声をかけた。その声は、驚くほど静かで、逆に周囲の恐怖を煽った。

「……おい燐乃。ちょっとこのバック、持っててくれないか?」


牙 燐乃は、隼の異様な静けさに、何かを察し、無言でバックを受け取った。

「おう……。」燐乃は、隼の背中から、尋常ではない怒りのオーラを感じ取っていた。


隼は、死刻の五柱のところへ、一目散に駆けつけ、襲いかかった。彼の巨体は、まるで暴走する機関車のように、アスファルトを蹴り、轟音を立てて突進した。


魅羽月 瑠樹

「隼!待って!」瑠樹の叫びは、隼の耳には届かなかった。彼の視界には、ぶみを殺した五柱の姿しかなかった。


五柱の一人、一条いちじょう 璃姫りきが、驚愕の声を上げた。

一条いちじょう 璃姫りき

「お頭!?なんか後ろからとてもでかいやからが走ってきてます!」璃姫は、隼の規格外のスピードと迫力に、本能的な恐怖を感じていた。


赤神あかがみ 轟子ごうこは、その規格外の巨体に見覚えがあった。

「あいつなんか見たことあるぞ!うわぁ来た!」轟子は、歓楽街で見た隼の姿を思い出し、その時の違和感が、今、現実の脅威となって目の前に迫っていることを理解した。


バン!バン!


笑嵐しょうらん かいは、拳銃を連射したが、隼の身体に何発も銃弾を撃ち込んでもびくともしない。


笑嵐しょうらん かい

「クソ!あいつ、いくら銃弾撃っても効かねぇぞ!何なんだ、あのデカブツは!」廻は、ピエロの仮面の下で、焦りの表情を浮かべた。彼の銃弾が通用しない相手は、この街では五柱以外には存在しないはずだった。


隼は、立ち止まらず、怒りの形相で、桜木 歩に向かって叫んだ。その叫びは、悲しみと怒りが混ざり合った、魂の叫びだった。


扶情 隼

「俺の大切なペット。初めて飼った大切な猫。

死刻の五柱。

お前たちだけは、「ぶっ殺してやる」。お前らの存在が、この街の光を奪っている。俺は、お前らを許さない!」


隼は、握り拳を作り、その規格外の力を込めて、桜木 歩に向かって大きく振りかぶった。その拳は、まるで巨大な鉄槌のようだった。一撃で、全てを終わらせるつもりだった。


桜木さくらぎ わたるは、その巨大な拳を前に、不敵な笑みを浮かべた。

「ふっ。やれやれ。それはどうかな。お前のような「規格外」が、この街にいるとはな。面白い。」桜木は、隼の力を一瞬で見抜き、その上で、余裕の表情を崩さなかった。


バァンッ!!!!


あたりには、打撃音が響き、一瞬時が止まったかのように、静寂が訪れた。その音は、まるで世界が割れたかのような、凄まじい衝撃を伴っていた。


亜月、朱木、燐乃、瑠樹。そして周りの人々は、その状況に唖然とする。彼らの視線は、一点に集中していた。


扶情 隼

「!?!?」隼は、自分の拳が、桜木に届いていないことに驚愕した。


桜木さくらぎ わたるは、冷酷な目で、隼を見下ろした。

「馬鹿め。この俺様に逆らうとは、なかなかやるな。だが、お前のようなガキに、この街のルールは変えられん。」桜木の声は、絶対的な支配者の威厳に満ちていた。


なんと、隼が殴りかかろうとしたその時、桜木 亙は、手を太いドリルのようなものに変形させ、隼の胸に向かって突き刺したのだ。そのドリルは、金属が軋むような音を立て、隼の強靭な肉体を容易く貫通した。


隼は、胸から血を噴き出し、苦悶の表情を浮かべた。彼の体から、力が急速に失われていくのを感じた。

扶情 隼

「グハッ!……」隼は、その場で膝から崩れ落ちた。


桜木 歩は、冷たい目で、刺さったドリルを引き抜く。ドリルから滴る血は、アスファルトに新たな赤を刻んだ。

隼は、力尽き、前に倒れ込む。彼の巨体が地面に叩きつけられる音は、重く、絶望的だった。


水無瀬みなせ 朧真ろうまは、拍手をした。

「素晴らしいですよ、デカブツ。あなたみたいな人、そうそういないですよ。しかし、所詮は「光」に囚われた愚か者。この街の闇には勝てません。」朧真は、優雅な仕草で、隼の敗北を称賛した。


赤神あかがみ 轟子ごうこは、高笑いした。

「お頭に逆らうからだ!ワッハッハッハ!ざまぁみろ!」轟子の笑い声は、勝利の歓喜に満ちていた。


牙 燐乃は、絶叫した。彼女の顔は、恐怖と怒りで歪んでいた。

「…………隼?隼!大丈夫か!今行く!」燐乃は、ぶみの死と隼の敗北という二重のショックに、体が硬直していたが、すぐに我に返り、隼の元へ駆け出そうとした。


亜月、朱木、燐乃、瑠樹は、我を忘れ、隼の元へ駆けつける。彼らの心は、激しい動揺と、友を失うかもしれないという恐怖で満たされていた。


凪乃 朱木は、隼の体を抱き起こした。

「隼!大丈夫か!おい、しっかりしろ!」朱木の声は、必死だった。彼の瞳からは、涙が溢れそうになっていた。


陰平 亜月は、隼の脈を測り、顔面蒼白になった。彼の冷静な判断力が、この瞬間、完全に崩壊した。

「……!?息してねぇぞ、こいつ……。脈も……弱い!」亜月の言葉は、他のメンバーに、絶望的な現実を突きつけた。


魅羽月 瑠樹は、パニックに陥った。彼女の美しい顔は、恐怖で引きつっていた。

「誰か……誰か救急車を呼んで!!誰でもいいから早く!!」瑠樹の叫びは、悲痛だった。彼女は、自分の無力さを痛感していた。


周りにいた人々は、ざわつき、恐怖に駆られながらも、慌てて救急車を呼んだ。彼らは、五柱の恐ろしさを再認識し、同時に、隼たちの規格外の戦いに、僅かな希望を見出していた。


死刻の五柱たちは、その光景を苦笑いしながら見つめ、再び前へと歩き出した。彼らにとって、隼の敗北は、単なる日常の一コマに過ぎなかった。


桜木さくらぎ わたるは、振り返りもせず、冷たい声で言った。

「ふっ……大事おおごとになったな。


まぁ安心しろ。多分あいつは、死んではいねぇさ……。「規格外」の命は、そう簡単には消えん。だが、これで分かっただろう。この街のルールは、俺たちが決める。」

桜木は、そう言い残し、闇の中へと消えていった。彼の言葉は、隼たちへの警告であり、この街の支配者としての絶対的な宣言だった。


死刻の五柱は、闇の中に消え去っていった。彼らの残したものは、ぶみの亡骸と、血を流して倒れる隼、そして絶望に打ちひしがれる仲間たちの姿だった。


---


救急車のサイレンが、遠くから聞こえてきた。その音は、この街の闇を切り裂く、唯一の希望の音のように響いた。


救急隊員

「救急隊員です!今そちらに向かいます!現場の状況は!?」


陰平 亜月は、救急隊員に叫んだ。

「早くこいつを車に乗せてくれ!早く!」亜月は、隼の命を繋ぎ止めるため、必死に指示を出した。


ぶみと隼は、救急車に運ばれ、緊急病院へと運ばれた。ぶみの亡骸は、瑠樹が抱きかかえ、その小さな体を優しく撫でていた。


亜月たちも、車の中へ乗り込み、病院へ向かう。救急車の中は、血の匂いと、絶望的な静寂に包まれていた。


牙 燐乃は、震える声で言った。

「飛んだ大事おおごとになっちまったな……。初戦で、こんな……。」燐乃は、自分の無力さを噛み締めていた。


凪乃 朱木は、固い決意を胸に、前を見つめた。彼の瞳は、涙で濡れていたが、その奥には、五柱への激しい復讐の炎が燃えていた。

「隼。俺は信じてるぞ。無事だってことを。お前が目を覚まさなきゃ、俺たちの戦いは始まらねぇんだ。」朱木は、隼の手を強く握りしめた。


魅羽月 瑠樹は、ぶみの亡骸を抱きしめながら、静かに涙を流していた。

「ぶみ……ごめんね。私たちが、もっと早く、この街の闇をどうにかしていれば……。」彼女の涙は、ぶみへの哀悼と、隼への心配、そして五柱への憎しみが混ざり合っていた。


陰平 亜月は、救急隊員と連携を取りながら、隼の容態を注視していた。彼の心は、冷静さを保とうと必死だったが、その手は微かに震えていた。

「隼は、規格外の体躯を持っている。だからこそ、あの攻撃に耐えられたんだ。だが、油断はできない。桜木 亙の能力は、想像以上に強力だ。」


彼らは、その一心のまま、病院へと向かった。救急車のサイレンは、彼らの心の中で、悲しみと怒りのレクイエムのように響いていた。


規格外の少年たちの「光を取り戻す戦い」は、初戦にして、最大の危機を迎えたのだった。隼の命は、この世界の闇に、飲み込まれてしまうのか。彼の意識が戻らなければ、彼らの戦いは、始まる前に終わってしまう。


物語は、新たな局面へと突入した。それは、「復讐」と「希望」が交錯する、過酷な戦いの幕開けだった。彼らは、この試練を乗り越え、本当に光を取り戻すことができるのだろうか。夜の闇は深く、彼らの未来は、まだ見えない。

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