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Dum Spiro Spero〜この教室33人は息をしている限り希望を捨てない〜  作者: AmorNoctis-アモールノクティス-


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カップルと不良少年

主要人物No.7【桜木さくらぎ わたる


「死刻の五柱」の団長を務めている。

身長は驚異の272cmで体重は251kgのかなり肩幅が広くとてもガタイの良い20歳。

いつも黒マスクと青色のスーツを着ておりこの街よく徘徊している。そのマスクの下を見たことある人はまだいない。

愛用している拳銃は「マキナ P531」のピストル型の銃。他の都市から仕入れたとのこと。

一方その頃凪乃 朱木は、レストランでのバイトを終え、ウィーリス荘へと向かっていた。

夜の帳が降り、朱木の足取りはどこか浮ついていた。今日のバイトはいつもより忙しく、疲労は感じていたものの、それ以上に、この街で始まった新しい生活への期待と、仲間たちとの共同生活への穏やかな喜びが彼を包んでいた。


彼は、ウィーリス荘に帰る途中、ふと、人気ひとけの少ない、仄暗い道を見つけた。メインストリートの喧騒とは打って変わって、そこだけが深い影に覆われている。アスファルトはひび割れ、街灯の光も届かず、湿った土と古い建物の匂いが混ざり合っている。


凪乃 朱木

「ん?ここの道、他と比べて人気少ないし暗いな。気になるな。少し行ってみるか。」


朱木は、その直感に従い、寄り道を決めた。彼の規格外の体躯は、暗闇の中でも一際目立つが、彼自身はまるで影に溶け込むように、その路地へと足を踏み入れた。この街の裏側、メインストリートの華やかさとは無縁の、隠された側面への興味が彼を突き動かした。


路地裏は、予想通り荒れていた。壁には、色とりどりのスプレーで乱雑な落書きがされ、その上からさらに別の色が重ねられている。まるで、この街の住人たちの鬱屈した感情が、そのまま壁に叩きつけられたかのようだ。空き缶やゴミが散乱し、風が吹くたびに乾いたビニール袋がカサカサと音を立てて転がる。


凪乃 朱木

「なんかここ荒れてんなぁ……。壁が色つきスプレーで落書きされてやがる……ヤンキーでもいんのか?この街の裏側って感じだな。」


朱木は、落書きの一つに目を留めた。それは、稚拙ながらも、何かに対する強い怒りや絶望を表しているように見えた。彼は、この荒廃が、単なる不良の遊びではなく、この街の構造的な闇の表れではないかと直感した。


さらに奥へ進むと、人気ひとけの少ない、電柱が一つしか立っていない小さな公園を見つけた。ブランコや滑り台は錆びつき、砂場は雑草に覆われている。その公園のベンチには、高校生くらいの男女のカップルが座っていて、互いに寄り添い、愛おしそうに話し込んでいる。彼らの周りだけ、まるで柔らかな光に包まれているかのようだ。


カップルの男の子が、女の子の髪を優しく撫で、女の子がそれに応えるように微笑む。その光景は、路地裏の荒廃とは対照的な、ささやかながらも確かな幸せの象徴だった。


凪乃 朱木は、その光景に、思わず顔が緩んだ。

「あれは……カップルいるじゃねぇか。高校生くらいだろうな。幸せになれよ!」


彼は、遠くから、彼らのささやかな幸せを願っていた。彼にとって、他人の幸せな姿を見ることは、何よりも心地よいものだった。


その時、突然、ベンチの奥の暗がりから、イライラした形相をした10人ほどのヤンキーが、カップルの方へ近づいてきた。その顔には、この街の住人特有の鬱屈した感情が張り付いている。彼は、カップルの幸せな雰囲気に、耐えられないといった様子で、舌打ちをした。


ヤンキー

「チッたくよー。どいつもこいつもいい気になってんじゃねぇぞ。

お?おいそこのバカップル、そこのベンチからどきやがれ!俺のイライラが収まらねぇんだよ!」


ヤンキーの声は、公園の静寂を切り裂き、カップルは驚いて身を硬くした。


カップル男

「え!?なんですかいきなり!ここは僕たちが最初に座ってたんですよ!あなたに関係ないでしょう!」


男の子は、恐怖を押し殺して、精一杯の抵抗を見せた。しかし、ヤンキーの威圧感は、それを上回る。


ヤンキー

「あ!?うるせぇな。どかねぇなら力づくでどかしてやんよ!てめぇらみてぇな幸せそうな奴ら見ると、ムカついてしょうがねぇんだよ!」


ヤンキーは、唾を飛ばしながら、さらに声を荒げた。彼の目には、理不尽な怒りと、満たされない何かが渦巻いていた。


カップル女

「ひぇ!!やめてください!お願いですから!」


女の子は、震えながら男の子の腕にしがみついた。ヤンキーは、鬱憤を晴らすかのように、カップルに怒りをぶつけていた。


朱木は、それを見ていられなかった。彼の心の中で、何かが音を立てて弾けた。他人の幸せを壊す行為は、彼の根底にある正義感が、決して許さないものだった。それは、彼が過去に経験した、理不尽な暴力と悲しみから生まれた、強い信念だった。


ヤンキーが、男の胸倉を掴もうと手を伸ばした、その瞬間だった。朱木は、一瞬で距離を詰め、ヤンキーの背後に立っていた。


ヤンキー

「この野郎!……えぇ!?お前、誰!?」


ヤンキーは、突然現れた朱木の巨体に、完全に意表を突かれた。


朱木は、ヤンキーの胸ぐらを掴んだ。息が詰まり、恐怖で体が硬直する。


凪乃 朱木は、その規格外の体格と、底冷えするような眼光で、ヤンキーを睨みつけた。彼の目は、怒りというよりも、静かで深い威圧感を放っていた。

「お前、この人たちに何しようとしてんだ。

俺がお前のこと始末してやろうか?」


朱木の低い声は、公園の空気を震わせた。ヤンキーたちは、朱木の圧倒的なデカさと威圧感に、完全にビビり、顔面蒼白になる。彼の脳裏には、この巨漢に逆らえば、ただでは済まないという本能的な恐怖が焼き付いた。


朱木は、ヤンキーの胸ぐらを掴んでいた手をゆっくりと離した。ヤンキーは、ずるずるとその場に崩れ落ちそうになる。

「いいかお前。


どんなにイラついてても、幸せそうな奴らの背中を、静かに見送ってやるのが、筋の通ったおとこってもんだ。わかったか?お前のその鬱憤は、他人の幸せを壊すことで晴らしていいもんじゃねぇ。」


その言葉は、重く、説得力に満ちていた。それは、単なる脅しではなく、朱木自身の生き方から来る、揺るぎない哲学だった。


ヤンキー

「あっ……えと、ご、ごめんなさいー!もうしません!」


ヤンキーは、朱木にビビり散らし、その場から一目散に走って逃げた。彼は、二度とこの公園に近づかないと心に誓っただろう。


朱木は、ため息をつき、カップルの方を向いた。

「たくもう……すいません学生さんたち。邪魔しちゃって。もう大丈夫だ。」


カップルたちは、朱木の突然の出現と圧倒的な存在感に、まだ動揺していたが、自分たちが助けられたことを理解し、安堵の表情を浮かべた。


カップルたち

「……えと、どうもありがとうございます!本当に助かりました!」


男の子は、震える声で感謝を述べ、女の子は深々と頭を下げた。


凪乃 朱木

「いいってことよ。

それじゃあ、お幸せに。もうこんな暗い道には来ない方がいいぞ。」


朱木は、何事もなかったかのように、その場から離れた。彼は、彼らの幸せを再び壊す者が現れないことを願いながら、路地裏を後にした。


彼は、路地裏を抜け、大通りに出た。メインストリートの喧騒が、再び彼の耳に届く。


凪乃 朱木

「ここはやっぱヤンキーたちがいるのか……気をつけないとな。

てか寒いなー……自販機でなんか買うとするか……。ホットココアでも飲むか。」


朱木は、近くの自販機でホットココアを買うことにした。温かい缶の感触が、冷えた手に心地よい。


その時、背後から、走り去ったはずのヤンキーたちが、息を切らしながら近づいてくるのが見えた。そのうちの1人は、朱木に何かを伝えようと、必死に走ってきたようだ。


ヤンキー

「さ、さっきはすみませんでした!」


朱木は、ココアの温かさを感じながら、振り返った。彼の表情は、先ほどの威圧的なものではなく、穏やかなものに戻っていた。


凪乃 朱木

「なんで俺に謝罪するんだよ。あの人たちに謝った方がいいんじゃないか?」


ヤンキー

「もう謝ってきました……。一応、あなたにもしておいた方がいいと思って……。あなたの言ったことが、頭から離れなくて……。」


朱木は、その素直さに、少し驚いた。彼は、このヤンキーが、根っからの悪人ではないことを感じ取った。


凪乃 朱木

「なるほどな。もうあんなこと絶対すんなよな。次やったら、俺が容赦しねぇ。

ところでお前たちは中学生?名前は?」


ヤンキー

「俺の名は...まぁ、

戸塚とつか 明仁あきひと」。明仁って呼んでくれ。

今は中学3年生だけど、俺たちは学校には行ってない...いわゆる不登校ってやつだ。あなたこそ、こんな体格だけど、いくつなんですか?」


朱木は、ココアを一口飲み、少し得意げに答えた。


凪乃 朱木

「明仁か。俺は、まぁ朱木って呼んでくれ。こう見えて中1だ。」


明仁は、その言葉に、再び驚愕の表情を浮かべた。彼の目が見開かれ、信じられないといった様子で朱木を見つめる。


戸塚 明仁

「嘘だろ……。俺より下ってことか。……絶対中1じゃない……。その体格で中1って、どういうことだよ……。」


朱木は、その反応に慣れたように笑う。

「まぁ、そう思われて当然か。生まれつきなんだ。

……不登校って言ったが、家では何してんだ?さっきのヤンキー行為も、何か理由があるんだろ?」


明仁は、朱木の威圧感の中に潜む優しさを感じ取り、少しずつ心を開き始めた。彼の心の中の重い扉が、ゆっくりと開いていく。


戸塚 明仁

「家……正確に言うと、婆ちゃん家に住んでて、家の手伝いをしてる。婆ちゃんが病気がちで、俺がいないと大変なんだ。」


彼の声には、家族を思う優しさが滲んでいた。


凪乃 朱木

「なるほどな。それは立派だ。言いたくなければ言わなくていいが、なんで学校行ってないんだ?何かあったんだろ?」


明仁は、俯き、重い沈黙の後、ゆっくりと、悲痛な過去を語り始めた。彼の声は、途切れ途切れで、その言葉一つ一つに、深い悲しみと怒りが込められていた。


戸塚 明仁

「……小学生の時は、毎日楽しく行っていた。友達もいたし、将来の夢もあった。

でも、親父が他の人と不倫して、それがお母さんにバレて離婚。親父は家を出て行った。

お母さんは昔から病弱で、それでも頑張って仕事をして、お金を貯めて俺のために養ってくれた。俺も、早く大人になってお母さんを楽にさせてあげたいと思ってた。

けれど、いつの日か、「死刻の五柱」っていうゴミな奴らに殺されたんだ。あの時、俺は何もできなかった……。」


明仁の瞳には、涙が浮かんでいた。朱木の顔から、一瞬で笑顔が消えた。彼の目には、強い光が宿る。

それに続いて後ろにいた他のヤンキーたちも言う。


「俺の親もあいつらに殺されたんだ!」

「俺も...」

「あいつら許さないぜマジで...」


凪乃 朱木

「死刻の……五柱?すまないが、そいつらについて、少し詳しく聞かせてくれるか?」


朱木は、ココアの缶を握りしめ、真剣な眼差しで明仁を見つめた。


戸塚 明仁

「そう。彼らは、「5人組」でこの街を支配しているような奴らだ。警察も手を出せない、絶対的な力を持っている。

そいつらの、おおかしら的な存在は、団長の、

桜木さくらぎ わたる272cm

彼は、常に冷静沈着で、この街の裏社会を牛耳っていると言われている。


そして、謎のピエロの仮面をした、

笑嵐しょうらん かい198cm

彼の行動は予測不能で、その仮面の下の素顔を見た者はいない。


冷酷かつ凶悪な、

水無瀬みなせ 朧真ろうま217cm

彼は、感情を持たない機械のように人を殺す。彼の銃口は、常に無差別に向けられている。


静かな令嬢、

一条いちじょう 璃姫りき192cm

彼女は、一見するとお嬢様だが、その手には血塗られた過去があると言われている。


断罪の乙女、

赤神あかがみ 轟子ごうこ250cm

彼女は、独自の正義感を持ち、それに反する者を容赦なく裁く。


この中の水無瀬みなせ 朧真ろうまってやつが、俺のお母さんを殺したやつなんだ...」


明仁の言葉は、朱木の記憶を呼び覚ました。あの歓楽街で出会った、異様なオーラを放つ5人組。彼らは、やはりこの街の支配者だったのだ。


凪乃 朱木

「やっぱりあいつらか……。どうりで周りとオーラが違ってたわけだ。あの時、俺たちも危なかった。」


戸塚 明仁

「歓楽街でのあの出来事は忘れないです。あの、朱木さんたちと五柱たちが睨み合った時。

僕もそうでしたけど、周りの人々も呆然としてました。あれ、下手したら殺されてましたよ。彼らは、人の命を何とも思っていない。」


朱木は冷や汗をかいた。同時に、自分たちが関わってしまった事態の重大さを改めて認識した。


凪乃 朱木

「まぁな……。

ところで、なんで水無瀬みなせ 朧真ろうまってやつが、明仁のお母さんを殺しちまったんだ?何か理由があったのか?」


明仁は、再び顔を下げ、沈黙した。その沈黙は、言葉にできないほどの怒りと悲しみを含んでいた。


戸塚 明仁

「忘れもしません。

朧真問わず、その他の4人も、たまにこの街を歩いていて、機嫌が悪いと無差別に人を銃殺するんです。彼らにとって、人の命は、道端の石ころと同じなんです。

その時の殺された人は、運悪く俺のお母さんでした……。お母さんは、ただ買い物から帰る途中だったのに……。

そして、俺の親は二人ともいなくなって、金が無くなって、中学校には途中で通えなくなりました。婆ちゃんは、俺に学校に行ってほしいって言ってくれるけど、俺にはそんな余裕はない。

朧真。あいつだけは許さない……いつか俺がお母さんの仇を取って、あいつを殺す……許さない。」


明仁の復讐心に満ちた言葉は、朱木の胸に重く響いた。彼の目には、憎しみと絶望が入り混じっていた。


凪乃 朱木

「…………そうか。そんなことがあったのか。」


朱木も明仁も、深刻そうに顔を俯く。この街の闇は、一人の少年の未来を、そして心を、深く蝕んでいた。朱木は、明仁の抱える痛みが、自分の想像を遥かに超えるものであることを理解した。


朱木は、静かに明仁の肩に手を置いた。その手は、規格外の巨体に似合わず、温かく、力強かった。その温もりが、明仁の張り詰めた心を少しだけ緩ませる。


凪乃 朱木

「まぁな。なぁ明仁。

そんな辛い過去があっても、お前は頑張って婆ちゃん家で家の手伝いしたりしてんだろ?それは、お母さんが望んでいたことなんじゃないか?

それは立派なことだ。お前すげぇよ、本当に。

そりゃ、周りの幸せな人たちを憎む気持ちもわかる。さっきは、ちょっとやりすぎたな。ごめんな。でも、お前は、幸せになる権利があるんだ。」


明仁は、朱木の温かい言葉に、張り詰めていた糸が切れたように、照れて泣いた。彼の目から溢れる涙は、悲しみだけでなく、少しの安堵も含んでいた。


凪乃 朱木

「安心しろ明仁。

死刻の五柱って言うんだっけか?

俺と、俺の友達が、そいつらを倒す。俺たちは、この街の闇を払うために来たんだ。

俺が代わりに明仁の仇、取ってやるよ。お前の手は、復讐のために汚す必要はない。」


その言葉は、中学生の口から出たとは思えないほど、重く、真剣だった。朱木の決意は固く、その瞳には、迷いがなかった。


戸塚 明仁

「朱木さん……本当に、そんなことできるんですか……?」


明仁は、朱木の勇敢な姿に、希望の光を見た。それは、彼一人では決して掴むことのできなかった、遠い光だった。


凪乃 朱木

「これは男と男の約束だ。俺は、約束は必ず守る。

ほら、グータッチ。」


朱木は、その大きな拳を差し出した。明仁は、涙を拭い、その拳に、小さな拳を合わせた。ゴンという、力強い音が響く。男と男の、固い約束が交わされた瞬間だった。このグータッチは、明仁にとって、復讐の誓いではなく、未来への希望の誓いとなった。


戸塚 明仁

「俺、さっきのあの台詞、忘れないです。

幸せな人たちの背中を優しく見守る。

かっこいい人になって見せます。朱木さんみたいに、強くて優しい人間に。」


明仁の目に、再び力が宿った。彼の心の中で、何かが変わり始めていた。


凪乃 朱木

「おう。期待してるぞ、明仁。

えっ!?もう夜の10時か……。やべぇ、ウィーリス荘の門限に遅れちまう。

俺は帰らないといけねぇ。


じゃあな。明仁。これからも頑張れよ。また会おう。」


朱木は、急いで踵を返した。


戸塚 明仁

「はい!それではまたいつか!ありがとうございました!」


明仁は、朱木の大きな背中が見えなくなるまで、その場に立ち尽くしていた。彼の心は、先ほどまでの絶望から、確かな希望へと満たされていた。


朱木の小さな興味本位で行った人気ひとけの少ない道。

この偶然の寄り道が、この街に小さな友情と、大きな希望を結んだのであった。朱木は、明仁の背負う悲しみを、自分たちの使命として受け止め、ウィーリス荘へと急いだ。彼の心は、新たな決意で満たされていた。

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