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第61章:日本が行うべき必要な政策 part8 日本の経済政策を「景気を良くする政策」から「地政学的ショックが連続する世界で、成長できる経済構造を作る政策」へ転換する必要がある

今の世界情勢の変化を考慮すると、私は日本の経済政策を**「景気を良くする政策」から「地政学的ショックが連続する世界で、成長できる経済構造を作る政策」へ転換する必要がある**と考えます。


まず、2026年9月現在の状況を確認すると、ホルムズ海峡は「完全封鎖」とまでは言えないものの、9月17日の通航船は4隻で、10日平均の約16隻を大きく下回っています。かつて世界の石油・ガス輸送の約5分の1が通過していた重要航路です。


また、世界銀行は2026年の世界の商品価格が前年比16%上昇し、エネルギー価格は24%、肥料価格は31%上昇するとの見通しを示しています。ロシア・ウクライナ戦争に加えて中東情勢が重なり、エネルギー・食料・物流のショックが同時発生しやすい状況です。


さらに、日本では10年国債利回りが30年ぶりの水準となる3%前後まで上昇しており、高市政権の大型財政政策に対して債券市場が警戒しています。


一方、米国では関税政策が拡大し、EUや多数の貿易相手国にも10~12.5%程度の関税が課されています。


中国・台湾についても緊張が続いており、9月17日にはReutersが、トランプ大統領が台湾への武器供与を中国との交渉材料と位置付ける発言などを報じています。


つまり日本は、


エネルギー危機

+ 資源・鉱物危機

+ サプライチェーン危機

+ 貿易戦争

+ 台湾有事リスク

+ 人口減少

+ 高齢化

+ 財政制約


を同時に考えなければならなくなっています。


その前提で、私なら日本の経済政策を次のように組み替えます。


日本の「新・成長戦略」


私は、基本理念を一言で言えば、


「安い日本」を復活させるのではなく、「高くても世界が買いたい日本」を作る。


です。


そして、そのために7本柱を作ります。


① エネルギー安全保障を「成長政策」にする


これは最優先級です。


日本はエネルギー輸入依存度が高いため、ホルムズ海峡の混乱がそのまま、


原油↑

↓

電気・ガス↑

↓

輸送費↑

↓

製造コスト↑

↓

食品・製品価格↑

↓

実質賃金↓


という形で国内経済に波及します。


今回の中東情勢は、この脆弱性を非常に明確にしました。世界銀行も2026年のエネルギー価格上昇を大きな世界経済リスクとして扱っています。


したがって、


日本版エネルギー戦略

原子力の安全確保を前提とした最大限の活用

再生可能エネルギー

蓄電池

次世代原子炉

水素

アンモニア

地熱

LNG調達先の多角化

国家備蓄

送電網強化


を一体化する。


特に重要なのは、


「発電量を増やす」だけでなく、「安定して安い電力を大量に供給する」


ことです。


② AI・半導体・ロボットを「国家の基幹産業」にする


ここは日本にとって非常に重要です。


人口が減る国が成長する方法は、大きく分ければ、


人口を増やす


か、


一人当たりの生産量を増やす


しかありません。


日本の場合、後者を本格的に進める必要があります。


例えば、


製造業


人間10人

→ AI+ロボット+人間3人


物流


ドライバー不足

→ 自動運転+配送ロボット


介護


介護士不足

→ AI見守り+介護ロボット


建設


人手不足

→ 建設ロボット+3D測量+AI設計


農業


高齢化

→ 自動運転農機+AI管理


という方向です。


そして重要なのは、単純に「AIを使いましょう」ではありません。


AIを使う企業に投資する。

AIを作る企業を育てる。

AI半導体を作る。

データセンターを作る。

電力を確保する。


ここまで一体化することです。


③ 「AI+半導体+電力」を一つの産業政策にする


私はここを特に強調したいです。


これまで、


半導体政策

AI政策

エネルギー政策


が別々に議論されがちでした。


しかし実際には、


AI

↓

大量の計算能力

↓

半導体

↓

データセンター

↓

大量の電力


という関係です。


つまり、


AI産業政策=半導体政策=電力政策


と考えたほうがよい。


日本がここで成功すれば、


AI → 半導体 → ロボット → 製造業 → 輸出


という新しい成長循環を作れる可能性があります。


④ 「中国依存を減らす」ではなく「一国依存をなくす」


これは非常に重要です。


中国との貿易を全面的に切る必要はありません。


むしろ現実的には、


中国

+ ASEAN

+ インド

+ オーストラリア

+ 米国

+ 欧州

+ 中東

+ 国内生産


という多重化です。


レアアース、重要鉱物、半導体、医薬品、電池などについて、


「最安値だから中国から買う」


だけではなく、


「危機が起きても供給できるか」


を企業・政府ともに評価する。


これは多少コストが上がっても、国家としての保険になります。


⑤ 防衛産業を「経済成長産業」として育てる


ここは非常に重要ですが、単なる軍事費増額とは分けて考えるべきです。


現在の戦争を見ると、


ドローン

AI

衛星

サイバー

電子戦

無人車両

無人艦艇

センサー

半導体


の重要性が急速に高まっています。


ウクライナ戦争では、黒海・黒海沿岸の攻撃が農業輸出や物流にも影響しています。


日本がここで、


防衛予算を増やす

↓

米国から装備を買う


だけでは、国内産業への波及が限定されます。


それより、


防衛技術 → 民間技術


という流れを作る。


例えば、


ドローン

AI画像認識

衛星

通信

ロボット

センサー

サイバーセキュリティ

高性能電池

半導体


を国内企業が開発する。


これは経済安全保障と産業政策を同時に進めることになります。


⑥ 大型財政出動は「何でも支出」ではなく「成長資本」に限定する


ここは現在の高市政権にとって非常に重要な論点だと思います。


高市政権は大型の財政支出を進める方針ですが、現在は国債利回りも上昇しています。Reutersは9月17日時点で10年国債利回りが30年ぶりの3%水準に達し、積極財政への市場警戒が強まっていると報じています。


IMFも2026年の日本について、財政赤字が拡大する一方、利払い費・社会保障費が増加し、長期的には債務GDP比が再び上昇する可能性を指摘しています。


したがって、


財政出動=悪


ではありません。


むしろ今の日本では、一定の戦略投資は必要です。


ただし、


良い財政支出

AI

半導体

電力

原子力

防衛技術

研究開発

大学

子育て

住宅

インフラ更新

サイバーセキュリティ

効果を検証すべき支出

一律の補助金

恒久的なバラマキ

効果の低い公共事業

目的が曖昧な企業支援


と分けるべきです。


⑦ 「実質賃金」を経済政策の最重要KPIにする


これは非常に重要です。


GDPが増えても、


物価+5%

賃金+3%


なら、国民は豊かになっていません。


IMFによれば、日本では2022~2025年に実質賃金が累計で約6%低下し、1996年以降の生産性と賃金の乖離はG7の中でも特に大きいとされています。


したがって、


GDP成長率


だけを見るのではなく、


実質賃金+生産性+可処分所得


を見る。


そして、


生産性↑

↓

企業利益↑

↓

賃金↑

↓

消費↑

↓

企業投資↑

↓

生産性↑


という循環を作る。


これが日本の「成長と分配」の本当の意味だと思います。


⑧ 少子化政策を「経済政策」の中心に入れる


これは先ほどの話と完全につながります。


人口減少は、


労働力↓

→ GDP↓


という問題だけではありません。


人口が減ると、


国内市場↓

→ 投資魅力↓

→ 地方経済↓

→ 税収↓


という循環にもなります。


だから、


出生率対策=社会保障政策


ではなく、


出生率対策=長期的な成長政策


と考える必要があります。


私は特に、


20~40代の可処分所得

住宅費

教育費

第2子・第3子支援

父親の育児

子育て世帯の税・社会保険負担


を重視します。


⑨ 高齢者は「労働力」、女性は「子育てとの両立」、外国人は「不足分の補完」


ここは先ほどの議論をそのまま経済政策に組み込みます。


高齢者


働きたい人が、


65~70代でも週2~4日程度働ける


社会。


女性


「女性就業率を上げる」のではなく、


子どもを持っても仕事を続けたい人が続けられる


社会。


外国人


不足する分野を補う。


AI


人間そのものを増やさずに生産性を上げる。


この4つを組み合わせます。


⑩ 最後に「日本を世界の中立的な技術・資本・物流ハブ」にする


これは私がかなり重要だと考える長期戦略です。


世界が、


米国陣営

中国

欧州

インド

グローバルサウス


などに分断されていく可能性が高まる中、日本が特定国だけに依存すると危険です。


そこで日本は、


米国との同盟


を維持しながら、


ASEAN

インド

豪州

欧州

中東


との経済関係を強化する。


そして日本自身は、


半導体

AI

ロボット

精密機械

医療

素材

電池

原子力

宇宙

金融


などで「世界から必要とされる国」になる。


これを一枚にまとめると


私なら、日本の経済戦略をこうします。


【日本の新しい成長戦略】


GDP成長

│

┌────┼────┐

↓ ↓ ↓

生産性向上 国内需要 輸出・投資

│ │ │

AI・ロボット 実質賃金↑ 高付加価値産業

半導体 可処分所得↑ 半導体

DX 子育て支援 AI

自動化 住宅政策 ロボット

│ │ │

└────┼─────┘

↓

【強い国内経済】

│

┌───┼───┐

↓ ↓ ↓

エネルギー 経済安全保障 人口政策

安全保障 サプライチェーン 少子化

│ │ │

原子力・再エネ 資源多角化 2人目・3人目

LNG・蓄電池 レアアース 若年所得

次世代電源 半導体 住宅

│ │ │

└────┼───┘

↓

【国家の強靱化】

私が現在の日本で最も重視するのは「3つの自立」です


結局、今の世界情勢を考えると、日本経済の目標は単純なGDP最大化ではなく、


① エネルギー自立


ホルムズ海峡などで何か起きても経済が止まらない。


② 技術自立


中国や米国からAI・半導体・重要技術を全面的に依存しない。


③ 人口減少への自立


人口が減っても、


AI+ロボット+高齢者+子育て世代+必要な外国人労働者


によって経済を維持できる。


この3つです。


そして「高市政権の大型財政出動」の意味も変わってきます


私は、ここが今回の議論で最も重要だと思います。


現在の世界では、


「財政赤字を増やすな」


だけでも、


「とにかく財政出動しろ」


だけでも不十分です。


問題は、


そのお金で日本の将来の生産能力が増えるのか?


です。


例えば100兆円を使って一時的に消費を刺激するだけなら、将来に残るものは限られます。


しかし、


AI

+ 半導体

+ 原子力

+ 電力網

+ ロボット

+ 防衛技術

+ 大学・研究開発

+ 子育て・住宅


に投資して、将来の税収・生産性・賃金を増やすなら意味が変わります。


つまり、


「借金して消費する財政」から、

「将来の生産能力を作る財政」へ


転換することです。


IMFも、日本について財政バッファーを再構築しつつ、成長に資する改革を進める必要性を指摘しています。


私なら、最終目標をこう設定します


「人口が減る日本」でも、


一人当たりGDP ↑

実質賃金 ↑

生産性 ↑

出生率 ↑

エネルギー自給・安定性 ↑

技術競争力 ↑

食料・資源安全保障 ↑

防衛・サイバー能力 ↑

政府債務のGDP比 ↓


を同時に実現する。


これは簡単ではありません。


しかし、今の日本に必要なのは、「人口を増やせば解決」「外国人を増やせば解決」「財政出動すれば解決」「AIをやれば解決」という単一政策ではなく、これらを一つの国家戦略として組み合わせることだと思います。


特に現在のように、ホルムズ海峡、ウクライナ、中国の重要鉱物、台湾、米国の関税政策が同時に日本経済に影響する時代には、「経済政策=安全保障政策」になりつつあります。


そして、日本の場合はここに少子化・人口減少という20~30年単位の問題が重なっています。


そのため私は、今後10年間の日本の政策を考えるなら、


「物価対策」→「景気対策」→「成長戦略」


という従来型の順番ではなく、


「経済安全保障」+「技術革命」+「人口政策」+「エネルギー政策」+「財政規律」


を一つの「日本経済の生存・成長戦略」として設計する必要があると考えます。


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