第59章:日本が行うべき必要な政策 part6 「結婚・出産・就業のどれを選んでも、過度な経済的不利益を受けない社会」
私は、「女性を働かせる社会」でも「女性を家庭に戻す社会」でもなく、結婚・出産・就業のどれを選んでも、過度な経済的不利益を受けない社会が、長期的には最も持続可能だと考えます。
ただし、少子化という観点をかなり重視するなら、もう少し具体的に設計する必要があります。
私なら、次の5本柱で考えます
柱目指す社会主な効果
① 結婚・子育て子どもを持つことが「経済的に無理」にならない出生率低下の抑制
② 女性の就業出産しても仕事を続けたい人は続けられる家計・人材の両立
③ 高齢者働きたい高齢者が無理なく働ける短中期の労働力確保
④ 男性家事・育児も担える働き方にする女性の出産コスト低下
⑤ AI・ロボット人口減少を生産性で補う長期的な労働力不足対策
重要なのは、①~⑤を同時に進めることだと思います。
1.一番変えるべきなのは「子どもを持つと生活水準が大きく下がる構造」
私はここが少子化対策の中心だと思います。
例えば、
結婚
↓
子ども1人
↓
住宅費+教育費+食費+保育費
↓
共働きでも余裕がなくなる
↓
「2人目、3人目は無理」
という家庭が増えれば、出生率は上がりにくい。
したがって、単純な「現金給付」だけではなく、
住宅費
保育費
教育費
子どもの医療費
大学費用
長時間労働
通勤時間
など、子どもを持つことで増える固定的な負担を下げることが重要です。
特に第1子よりも、第2子、第3子を持つことへの経済的・時間的ハードルを下げることが重要になります。
2.そして「結婚しなくてもいい社会」を否定する必要はない
ここは先ほどの話とつながります。
私は、
「女性は結婚すべきだ」
という社会に戻す必要はないと思います。
女性が経済的に自立できること自体は、社会として大きなメリットがあります。
問題は、
結婚しない自由がある社会
と同時に、
結婚して子どもを持つことも魅力的な選択肢として成立する社会
を作れるかどうかです。
つまり、
「結婚しないと生きられない社会」ではなく、
「結婚して家庭を作ることにも十分なメリットがある社会」
です。
この違いは非常に大きいと思います。
3.女性については「就業率を上げる」ことを目標にしない
ここは、先ほどのあなたの意見に近い部分です。
私は、
「女性の労働力をもっと増やそう」
という発想だけでは不十分だと思います。
むしろ、
「働きたい女性が働ける」
ことと、
「子育てをしたい女性が子育てできる」
ことを両立させる。
例えば、
子どもが小さい時期は短時間勤務
在宅勤務
フレックスタイム
子どもの病気による休暇
再就職しやすい制度
出産によってキャリアが完全にリセットされない仕組み
などです。
つまり、
「女性を労働市場に投入する」のではなく、「母親になっても労働市場から脱落しない」
という方向です。
これはかなり重要な違いです。
4.同時に「高齢者の活用」はかなり重要
ここは私はあなたの考えにかなり合理性があると思います。
日本はすでに高齢者の就業率が高いので、無限に増やせるわけではありません。
しかし、
65歳になったら一律に引退
というモデルから、
60~70代でも、本人が希望すれば週2~4日程度働ける
というモデルに変える余地はあります。
例えば、
フルタイム → 週3日 → 週2日
という段階的な引退です。
しかも高齢者全員を肉体労働に投入する必要はありません。
経験を利用して、
教育
事務
接客
技術指導
監督
コンサルティング
地域サービス
子どもの見守り
などに移ることができます。
これは、
「高齢者を労働力として酷使する」
という発想ではなく、
「働ける人が、働ける範囲で社会参加する」
という考え方です。
5.そして、実は「男性の働き方」を大きく変える必要があります
私はここが日本では非常に重要だと思います。
例えば、
女性がフルタイム勤務
+
男性も長時間労働
+
家事・育児は女性中心
という家庭では、子どもを2人、3人持つことが非常に難しくなります。
したがって、
男性も家庭を担う
ことを普通にする必要があります。
例えば父親が、
子どもの送り迎えをする
↓
子どもの病気で休む
↓
保育園の行事に参加する
↓
家事をする
ということが、職場で特別扱いされない社会です。
そうすると女性にとっての「出産の機会費用」が下がります。
6.そして私は「AI・ロボット」を第3の柱にするべきだと思います
ここは人口政策と経済政策を分けて考える必要があります。
日本の人口減少そのものを止めるには、
出生率を上げる
ことが必要です。
しかし、生まれた子どもが労働力になるまでには約20年かかります。
したがって、
2030年代の労働力不足を出生率だけで解決することはできません。
そこで、
高齢者
+
子育て世代の就業継続
+
外国人労働者
+
AI・ロボット
という複数の手段が必要になります。
特にAIは、
「人間を増やす」のではなく「一人当たりの生産量を増やす」
という別の解決策です。
人口が1億人から8,000万人になっても、一人当たりの生産性が大幅に上昇すれば、経済規模や生活水準を維持できる可能性があります。
7.外国人労働者は「補完」と考える
外国人労働者についても、
大量に受け入れるか、完全に拒否するか
という二択にする必要はないと思います。
日本国内で不足する職種について、
必要人数
日本語能力
技能
賃金
労働環境
在留管理
社会保障
日本社会への統合
などをきちんと設計したうえで受け入れる。
つまり、
人口政策の中心を外国人に置くのではなく、不足分を補う役割
として位置付ける考え方です。
8.最終的には「人口を増やす政策」と「人口が減っても成り立つ政策」を同時にやる
ここが一番重要だと思います。
日本は、
A.人口減少を緩和する
結婚しやすい
子どもを持ちやすい
2人目・3人目を持ちやすい
子育ての経済負担を下げる
B.人口減少に適応する
AI
ロボット
高齢者の就業
女性の就業継続
必要な外国人労働者
生産性向上
この二つを同時にやる必要があります。
私が考える理想像
最終的には、こんな社会です。
20~30代
「結婚して子どもを持ちたい」と思えば、経済的に可能。
「結婚しない」という選択も可能。
30~40代
子どもが生まれても、父親も母親も仕事を続けられる。
子どもが2人、3人になっても住宅・教育・保育の負担が過大にならない。
50~60代
AIや新しい技術を学びながら仕事を続けられる。
70代
働きたい人は週2~3日程度働ける。
働きたくない人は引退できる。
企業
人手不足を「人間をもっと働かせる」だけで解決せず、AI・ロボット・自動化に投資する。
国
「女性」「高齢者」「外国人」の誰か一つに労働力不足を背負わせない。
私は、この形が**「出生率を回復させること」と「人口減少に適応すること」を両立させる社会設計**だと考えます。
そして、
「女性の就業率をさらに上げること」よりも、「若い世代が結婚して2~3人の子どもを持っても、生活水準を大きく落とさないこと」に政策の重点を置いた場合、日本の人口・労働力・GDPはどう変わるのか。




