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第88話 グレーターデーモン

 階段を降りて地下へ降りると、そこそこ大きな広場になっていた。

 銀の炭鉱らしく、三方向に横穴が空いている。どれも幅が広く進みやすい。

 今回はデーモンの殲滅だから、どっちに行ってもいいな。


「秀一よ。少し良いかえ?」


 狐鈴が少し離れたところで手招きしていた。


「カイゼルのことか?」


 近寄ってから小声で話す。


「そうじゃ。さっきのアレはわざとじゃな」


「やっぱり……」


「取り押さえるかえ?」


「証拠もなしにまずいだろ。配信してるんだぞ」


「ふむ。わかった。ではリスナーの目も頼るか。今は火力が余剰ゆえに、我は探偵狐になろうかの! リスナーの小狐よ! 助手となるのじゃ!」


 そういえば、狐鈴はリスナーのことを小狐って呼んでたな。


 俺は念話の式札を使い、琴音とアリサさん、そして式神達にこっそり情報を共有した。


「目的は殲滅なので、右の道から行きましょう」


 シルヴィアを先頭に、俺、琴音、オレリア王女達、後方にアリサさんと狐鈴で進む。

 アシリアとエリスはオレリア王女の護衛としてカイゼルを見張らせた。


「デーモン。結構いたな」


「そうだね。しかもここに集まってるってどういうことだろ?」


「魔族にも作戦とかあるのかな?」


「残存勢力を集めて何かを狙ってる?」


「国境都市をまた攻める時に挟撃するためとか?」


「あっ! ありえるかも!」


「それはまずいですね」


 オレリア王女が会話に混ざってきた。

 

「デーモンがいるのに、周囲に被害ない。それは作戦のために潜伏しているということですか?」


「推測ですが……」


「国境都市が占領された時にここも占領されたのでしょうか?」


「そうかもしれませんね。それと少し前に三つの都市が魔王軍の襲撃がありましたよね」


「ええ」


「敗走したデーモン達が魔王領に帰らず、潜伏しているのかもしれない。その場合グレーターデーモンまでいる可能性がある」


「グレーターデーモン……」


 オレリア王女の顔が青ざめた。

 

 魔王軍襲撃時は機動式神があったから、サクッと倒せたけど、生身だと手強いと思う。


「もしグレーターデーモン出てきたら、オレリア王女達は手を出さないでください」


「わかりました。先ほどのように守ってくださいね」


「え? もちろんです」


 何かしたっけ?


「突き飛ばしたことは不問にしますが、今度はもっと騎士らしく守って下さい」


 あの時か……


「強敵が現れたら結界をはりますよ」


「そう言うことではないのですが……」


 ダンジョンの奥から濃い瘴気が漂ってきた。噂をすればって奴か?


「秀ちゃん。祝詞するから援護よろ!」


「了解だ。オレリア王女達は動かないでください。アリサさんは後方に注意を払って!」


「オッケー!」


「狐鈴は王女達に結界を!」


「うむ」


「残りはオフェンス!」


 狐鈴が結界を張ると、アリサさんが結界に背を向けて後方を警戒した。

 

「ガルル!」


 シルヴィアが短く吠えると、その手に巨大な剣が現れた。


 グレーターデーモンが瘴気を纏い、通路の奥から姿を現した。アナライズをかけるとどいつもレベル90前後。強い。オレリア王女達のレベルは30ちょっと。こっちの世界ではかなり高い方みたいだけど、太刀打ちできない。


 前回戦った時は、機動式神で超遠距離戦闘だったから、気づかなかったけど、近くで見るとその姿に圧倒される。

 第一印象は鎧のような筋肉で覆われた、蝙蝠こうもり人間だ。

 背中には大きな蝙蝠こうもりの翼があり、ドクロのような顔には大きな角が二本生えている。

 そして大きい。三メートルはあるんじゃないか?

 しかも一体じゃない。三体も現れた。


 そしていつのまにか後方からレッサーデーモンが、ゾロゾロと群れをなして近づいてきた。


「後ろは我とアリサが倒そう」


 狐鈴とアリサさんがうなずき合って後方に向かった。


「頼む!」


「……神嗣の照らす光、幽冥を破り、清き大路を示し給えと申す。恐み恐みも申す」


 琴音の祝詞が完成して、あたりの瘴気が浄化されていく。



「シルヴィア。左を頼む」


「任せろ!」


 シルヴィアが巨大な剣を構え、グレーターデーモンへ向かって走り出した。


「俺は右」


「んじゃ私は左」


 俺は刀を召喚しつつ、右のグレーターデーモンへ間合いを詰める。


 グレーターデーモンが翼を広げ、瘴気を纏った拳を振り下ろしてきた。

 速い。俺は横に飛んで避けつつ、刀を腰に構える。


「抜刀一閃!」


 踏み込みながら刀を抜き、グレーターデーモンの腕を斬り裂いた。

 しかしグレーターデーモンは怯みもしない。切り裂かれた腕を引き、もう片方の腕で薙ぎ払ってきた。


「くっ!」


 俺は後ろに跳んで距離を取った。


「ホーリー・レイ!」


 アシリアの聖なる光線がグレーターデーモンの頭に直撃し、一瞬動きが止まる。

 ナイスだ!


「月環刃!」


 俺はグレーターデーモンの脇を駆け抜けながらスキルを発動。

 三日月のような光の軌跡を残して、グレーターデモンの太ももを骨まで断ち斬った。

 そしてバランスを崩したグレーターデモンの頭が下がった。

 それでも腕を俺に向けて来たが、アシリアの援護攻撃によって腕が弾かれ、デーモンの頭が無防備になる。


「昇龍斬!」


 俺は斬り上げのスキルを放って、デーモンの顔を縦に斬り裂いた。

 しかし咄嗟に後ろに避けられて浅い。

 グレーターデーモンが翼を羽ばたいて下がると、切り裂いた腕や足が再生していく。


 仕切り直しか。


 琴音の方に目をやる余裕はないが、雷が轟く音と、式神達の攻撃音が聞こえた。大丈夫そうだ。


 そんな一瞬の隙に、グレーターデーモンが口を大きく開け、黒い炎を吐き出した。


「ちっ!」


 俺は横に飛んで避けるが、熱気が頬を焼く。


「セイクリッド・レイ!」


 アシリアが放った光の光線が、グレーターデーモンを押しもどした。


 そして俺の体が光に包まれた。

 対魔の防御障壁。エリスからの援護か。


「アシリア。そのまま押さえてくれ!」


「まかせて!」


 アシリアが連続でレーザーを叩き込む。

 グレーターデーモンが仰け反り隙だらけになる。


「オン・アーラ・ヴァジュラ・カーンタ・ソワカ! 浄化の光輪により、穢れを焼き、闇を祓う! 妖魔討滅! 浄刃・陽光輪! 急急如律令!」


 聖なる炎が刀に宿る。


「ヘビー・フィニッシャー!」


 ダンッと踏み込むと同時に刀を振り抜いた。

 炎をまとった一撃がグレーターデーモンの胴を深く斬り裂く。


「円月斬!」


 グレーターデーモンがお腹を抑えようと前屈みになったところで、首を刈り取った。


 前方を確認すると、先にグレーターデーモンを倒したシルヴィアが、琴音と一緒に残りのグレーターデーモンを追い詰めているところだ。

 問題なし。

 後方を見ると、狐鈴とアリサさんが、術と魔法を連打して、近寄らせていない。

 俺は清めの祝詞を唱えるとことにした。


「掛けまくも畏き八百万の神々の御前に申さく。天地清浄なる理のもと、此の地に満つる穢れを祓い給え、清め給え。罪穢れ悉く消え失せ、光満ちる道と成らんことを」


 祝詞が終わる頃には、残りのグレーターデーモンもレッサーデーモンの群れも殲滅されていた。


「神々の御力を奉りて、禍事・罪・穢れを祓い給え、鎮め給え。恐み恐みも申す」


 デーモンの死体が塩となって崩れ落ちていく。


「……すごい」


 オレリア王女の呟きが、戦闘の終わりを告げた。

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