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第85話 いざダンジョンへ!

 エアテントや道具をアイテムボックスにしまうと出発となった。

 ダンジョンまで歩いて四日はかかるそうだ。

 遠すぎるので、俺は新しく調伏した人造式神を呼び出した。

 

「オン・ラヴィナ・シャルカ・マドゥラ・ソワカ! 雲を潮、風を波、空翔る深淵の影! 妖魚召来ようぎょしょうらい天泳怪てんえいかい! 急急如律令!」

 

 師匠が降下作戦の時に呼び出した、エイの妖怪だ。

 人造式神バージョンだけど。昨日急遽調伏したんだ。


「これに乗っていきましょう」


「な、なんだこれは!」


 レオナが詰め寄ってきた。


「エイの妖怪です」


「エイ? 妖怪?」


「えっと……召喚魔法です。この子はおとなしいので、安心してください」


「私、オオカミに乗っていい?」


 アリサさんの顔が引きつっていた。降下作戦の時を思い出したんだろう。


「師匠みたいなことはしないって、それに低空で飛ぶよ。高くても城壁とか木の上くらいだよ」


「そ、そう。それならいいか……」


 アリサさんはエイに乗ると、真ん中に陣取った。そこはゲストのオレリア王女が座る場所だと思うぞ。

 案の定、すぐにレオナにどかされた。


 俺達は落下時に備えて、防御魔法を次々とかけていく。


「お前、魔道士だったのか?」


 レオナが聞いてきた。


「え?」


「こんな高等な防御魔法を重ねがけするなんて……。ちなみに効果時間は?」


「だいたい三十分くらいです」


「……は?」


 レオナはポカーンと口を半開きにした。


「三十分だと……嘘をついてないだろうな?」


「作戦において嘘は致命傷になります。正確な情報です」


「疑ってすまない……」


「三十分したら掛け直しますね」


「いやいや。そんなことをしたら魔力が尽きないか?」


「え? それくらいで尽きませんよ?」


「そ、そうか……」


 俺は事前に渡された地図を片手に、遠くに見える山と、背後の国境都市を比べた。


「方角はあっちですか?」


 俺は西の方を指さした。

 

「そうだ」


「では行きます。みんな座って下さい」


 エイの妖怪は俺の指示に従い、ゆっくりと上昇していく。

 

 城壁より高い位置まで上がると、ゆっくりと動き出し、徐々にスピードを上げていく。

 

「うーん。このくらいか」


 今は馬車より少し早い速度だ。

 

 オレリア王女の反応を伺ってみる。

 

「すごいですね。もっと早く飛べるのですか?」


「やってみます?」


「ええ」


 オレリア王女の後ろでアリサさんが首を横にブンブン振っていたけど、見なかったことにした。

 わかる。わかるよ。俺も魔法や式神で飛ぶのは怖くないけど、ジェットコースターは苦手だ。

 きっとアリサさんも乗り物で飛ぶのがダメなんだろう。


「では……」


 でもオレリア王女の要望だ。すまんな。


 エイの妖怪に速度を上げるように念じる。みんなを振り落とさないくらいにと。

 

「凄い……」


 オレリア王女がつぶやいた。

 前方にまばらに生えている木が見えたと思ったら、後方に流れていく。

 段々と木の数が多くなり、森へと変わっていった。

 ダンジョンは森の中にあるんだ。

 

「あの丘の下だ」


「了解」


 レオナの指示に従い、丘の周りをぐるっと周り、大きな洞窟を見つけた。

 あそこがダンジョンなんだろう。

 

 ダンジョンの前は丁度着陸できるくらいに開けていた。

 冒険者達が開拓したのだろうか?

 

 エイを着陸させるために、高度を落とすと、途中で琴音が飛び降りて、ダンジョンの様子を伺った。

 ダンジョンの入り口はかなり大きく、横幅は電車一両分。高さも同じくらいだ。

 

 琴音は入り口付近にモンスターがいないことを確認したのか、頭を上に手で丸を作った。


 俺はエイを着陸させ、みんなが降りたのを確認してから、送還させた。

 

「ここは我の出番じゃな」


 狐鈴は流れるように印を結び、呪文を唱える。

 

「オン、ハラ、ハラ、フーム、パタ! 管の道を開き、狐の眷属よ、影より来たれ! 管狐、顕現! 急急如律令!」


 狐鈴の陰から小さな狐が次々と現れ、群れを作っていく。

 

「ダンジョンを灯しながらついてこい」

 

 狐鈴が命令すると、管狐達がダンジョンの中へ走っていった。

 そして綺麗に等間隔で並ぶと、狐火を順々に灯していく。

 

「す、すごい……」


 オレリア王女とレオナが驚いた。

 カイゼルも驚いていたが、すぐに表情が険しくなった。

 そんなに俺達が気に食わないのか。感じ悪いな。

 

「あの……獣人の方……」


 オレリア王女が恐る恐る狐鈴に声をかけた。


「狐鈴じゃ」


「狐鈴。あの召喚獣は一緒について来てくれるのですか?」


「そうじゃ。前も後ろも照らしてくれるぞ」


「なるほど。あなたも召喚士なのですね」


「妖術使いじゃよ」


「……はぁ。わかりました」


 オレリア王女はよくわからないみたいだけど、一応引き下がったみたいだ。

 狐鈴が面倒くさそうにしてたから、気が引けたんだろう。

 

「オン・ヴァジュラ・カーラ・ラギータ! 星蒼の座、蒼の獣人、月影を忍ぶ霊獣将。ここに応えよ。来たれ! シルヴィア! 急急如律令!」


 俺の背後に金の襖が現れ、タンっと開くと、シルヴィアが飛び出てきた。

 身を丸くしてくるくると回り、シュタッと着地する。

 

「ご主人様! お仕置きの時間か!?」


 シルヴィアは呼び出されるなり、意味が分からないことを言って、目を輝かせた。


「違う」


「ええっ……」


 シルヴィアの耳と尻尾が垂れ、全身で悲しみのオーラを出している。

 どうしてお仕置きだと思ったのか、逆に質問したい。


「ダンジョンに入るから、先行して罠がないか調べてくれ。ここはこの間までのダンジョンじゃない。何かあったら命取りだ」


「わかったぞ!」


「ちょっと待ってください! 彼女は一体……」


 オレリア王女を庇うように、レオナとカイゼルが前に出た。

 

「俺の式神です。心強い味方ですよ」

 

「式神? 召喚獣のことですか? この獣人が……?」


「獣人が珍しいですか?」


「えぇ。この国ではあまり見かけないので」


「おい。貴様」


 カイゼルが一歩前に出た。

 

「余剰戦力があるなら事前に教えろ!」


「手の内を全て晒せと?」


「そ、そうだ!」


「カイゼル。おやめなさい」


「しかし!」


「冒険者に手の内を明かせと言うのは無理というもの。しかも相手は我が国民ではないのです」


「ぐっ……」


「秀一殿も。トラブルを避けるために、召喚する際は教えてください」


「わかりました。すみません」


「では行きましょう」

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