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第76話 大天使との戦い

「マジカルフォックス! いっくよー!」


 確か狐鈴が取得した、特殊魔法マジカルマジックって、全て無属性だとか言ってたな。

 

「ふはははっ! 我はこのような戦いを待っておったのじゃ! マジカル・バスター!」


 喋り口調が全然魔法少女じゃない! そこは徹底しろよ! 興奮してもう無茶苦茶だ!

 狐鈴は縦横無尽に空を駆け、天使達に次々とマジカルマジックを叩き込んでいく。

 

 図太いレーザーが雲を貫き、星型の光が途切れることなく連打される。

 

 狐鈴め。興奮して見境がなくなってるぞ。カメラ目線でポーズを決めながら撃ってるじゃない!

 とうとう自分の攻撃や天使の攻撃が、都市の一部に当たり、被害が出始めた。

 

 やばいと思ったその時、ひらひらと人型の式札が飛んできた。師匠の式札だ。

 

「おい! 秀一! 狐様め! 暴れ過ぎだ! 俺様達は都市を守る結界を張りなおす! 全域にだ! お前がデカ天使をどうにかしろ! 縁があるんだろう! 以上だ!」


 式札から師匠の声が流れると、ボッと燃えて消えた。

 やっべぇ。師匠がマジでキレてる。


 ふと手持ち無沙汰にしていた千葉童子が目に留まった。

 

「童子師匠」


「……私は飛べん!」


「……わかりました」


 千葉童子……なんかすっごく帰りたそうにしてた……

 降下作戦の時と同じように、飛行魔法をかけてあげようと思ったけど、拒絶のオーラがにじみ出ていた。


「琴音。大丈夫か?」


「うん。大丈夫だよ」


「本当か? 本当に大丈夫か?」


「うん。夢ってすぐ忘れちゃうから……」


「本当は後方にいて欲しいけど。そうじゃないよな」


「そうだよ! 私はいつだって秀ちゃんと一緒に戦うんだから!」



「アシリア。吸血鬼のスキルって使えるか?」


 これまで見たアシリアの攻撃は、ほぼ聖属性だった。

 

「使えるよ! 始祖が使ってた闇の魔法を覚えてる?」


「あれか……」


 始祖ヴォルフが放っていた強力な闇魔法を思い出した。あれが使えるのか!?


「光と闇の魔法を使えるってかっこいいでしょ!」


「かっこいい!」


 中二病心がうずきすぎる! 俺も闇魔法があるなら閃きたい!

 

「よしみんな! 空中戦準備だ!」


 俺達は次々と防御障壁や飛行魔法を唱えていった。

 ふと自信なさげな顔をしていたアリサさんと目が合った。

 

「俺と琴音の呪術は神の力を借りたものだ。だから聖属性が混じってる。アリサさんの妖術の方がダメージが出るかもな」


「任せなさい! さぁリスナーのみんな! 今日は私が大活躍するわよ!」


 アリサさんが身震いしながら、強烈な笑みを浮かべた。もうアリサさんにブレイブハートなんていらない。立派な陰陽……妖術士の面構えになっていた。

 

 俺と琴音とアリサさんは飛行魔法で、式神達は飛行の術で、空へと飛び立った。 

 

 アシリアは天使の翼、ジャネットはドラゴンの翼が生えているけど、翼で飛んでるわけじゃない。翼はあくまで補助でしかないらしい。

 

 大天使を凝視すると、アナライズが発動。『大天使エリス・レベル120』。規格外だな……

 

 エリスが大きな手を掲げると、光の槍が現れた。でかい! それにすさまじい威圧感を感じる。あれはヤバい奴だ!

 

 エリスが手を振り下ろした。

 巨大な光の槍が放たれ、灼熱の軌跡が空を裂き、空気が悲鳴を上げる。

 

「うおっ!」


 俺は飛行魔法を制御して何とか避ける。しかし近くを通るだけで衝撃波が襲い掛かってきた。

 こっちはまだ射程距離外だ!

 そう思ったのは人間だけだったようだ。

 

 アシリアが手を掲げると、その手に禍々しい剣が現れた。

 

闇の極光アブソリュート・エクリプス


 アシリアが剣を振るうと、大きな闇の刃が放たれた。

 

「はああっ!」


 一発だけじゃない。アシリアは上昇しながら剣を何度も振り、闇の刃が無数に放たれていく。

 既に始祖ヴォルフを超えている! 浄土世界でどんな修行をしたんだ!?

 

 アシリアだけじゃない。ジャネットもすごかった。

 

「オン・ビジュヌ・ラー・ソワカ!」


 ジャネットの周囲に火球が次々と現れては発射された。

 まるでマシンガンで撃っているかのようだ。

 ドンドンドンドンッと重低音が鳴り響き、まるで戦場の真っ只中にいるみたいだ。

 

「オン・ビシ・ビシ・ウン・ケン・ソワカ!」


 シルヴィアが印を結ぶとエリスの頭上に真っ黒な雲が渦を巻き、幾つも雷撃がエリスに降り注いだ。

 

 エリスは闇の刃、火球、稲妻を喰らい、悲鳴を上げたが、大して効いてるように見えない。……でかすぎるんだよ!

 

「あぁぁあああっ!」


 エリスの周りに大量の光の槍が現れた。

 

「やっべぇ!」


 光の槍は絶え間なく現れ、次々と発射された。

 

 俺は向かってくる光の槍を避けつつ、エリスに向かって突き進む。このままじゃ一方的にやられるだけだ!

 

「煌姫!」


 とりあえず叫んでみる。

 大天使エリスと表示されているけど、核になってる魂の名は煌姫らしい。もし記憶があるのなら、揺さぶれるはずだ。

 

「この声はぁああ! 秀之介様ぁぁあ!」


 光の槍がピタリと止まった。

 

「あぁ! 助けに来てくれた! 私のご主人様ぁああ!」


「どいつもこいつも!」


 すぐ側で琴音がキレた。

 

「主様とかご主人様とか! うるさい! うるさいっ! 秀ちゃんは私のだっ!」


 琴音の魔力が爆発したように跳ね上がり、加速してエリスに迫った

 

 近寄ると天使のデカさがハッキリわかる。顔だけで琴音の身長くらいあると、どんなに美しい顔をしていても不気味だ。

 

「はああっ!」


 琴音はエリスの顔までくると、刀を横薙ぎ一閃。エリスの黒い目隠しを切ろうとしたが、硬くて弾かれてしまった。

 

「やばっ!」


 エリスが後ろに下がりながら腕を上げ、琴音をはねのけた。

 

「きゃああっ!」


 俺はとっさに琴音に向って飛び込み、抱きとめた。そしてその慣性のまま距離を取る。

 

「避けてぇ!」


 エリスがそう叫びつつ、俺達に向って腕を突き出したその瞬間。

 

 視界が真っ白に染まった。

 

 ……千葉童子の言葉がよぎった。俺が追撃したら二人まとめて串刺しだ……

 

 だってしょうがないだろ……

 

「セイクリッド・シールド!」


 光が四方八方に弾け飛んだ。

 

「ご主人様は私が守る!」


 アシリアが障壁を張って防御してくれた。

 

「オン・ビジュヌ・ラー・ソワカ!」


 ジャネットが至近距離からエリスに向かって火球を放ちまくる。

 

「これは!? 炎華! 炎華なの!? 私を殺しなさい!」


「断る! 主様がきっとなんとかする! だから大人しくしろ! 縛りに屈するな! それと私はジャネットだ!」


「そうだ! 正気に戻ってお仕置きされろ! 私も一緒にお仕置きされてやる!」


「蒼蓮! 蒼蓮もいるの!? あぁずるい! ずるいずるい!」


 エリスが暴れ出した。

 四方八方に光の槍を放ち、稲妻を幾つも落としてくる。

 

 どうする? どうやってあの目隠しを破壊する? きっとあの目隠しさえ破壊すれば、大人しくなるはずだ……

 

 ん? なぜ目隠しが黒い? そこが気になった。あそこだけ禍々しい。まるで聖なる魂を無理矢理封じるためのくさびだ。

 しかも雑な処理。まるで慣れない術を使ったような感じだ。

 邪なら払えばいい。

 

慈白菩薩じはくぼさつ瑠璃観音るりかんのん無垢大天むくたいてん、三界を超えし御霊に、穢れし魂の浄めを乞い願い奉る……」


 エリスというより、封印が祝詞に反応したのか、エリスの攻撃が俺に集中しはじめた。

 

 俺は幾重にも放たれる光の槍を飛んで避けつつ、祝詞に集中を続ける。

 

「ご主人様の邪魔をしないで!」


 アシリアが再びシールドを張って、光の槍を防いでくれた。

 

「いい加減にして!」


 琴音が突っ込むと、今度はエリスが聖属性の結界を張った。

 そのせいで琴音の刀が弾かれる。

 

「くっ!」


 琴音の奥義は聖属性だ。刀も聖なる火によって鍛えられている。相性が悪すぎる。

 

「琴音様! ご主人様の守りをお願い!」


「わかった!」


 琴音とアシリアが入れ替わった。

 

闇の極光アブソリュート・エクリプス


 アシリアの闇の刃がエリスの結界を削っていく。

 

「迷いの道に堕ちし魂を、我ここに請い奉る。忘却の呪より解き放ち、魂、本来の姿へと還りゆけ……」


 ジャネットが大きく息を吸い込み、呪力を練り上げる。

 

「ドラゴンブレス!」

 

 そして巨大な火炎放射のような炎を吐いた。

 

「あああっ!」


 炎がエリスの腕を包み込む。

 しかしエリスはそれでも無理矢理腕を向けてきた。

 そして腕の先に光が集まり、槍の形になっていく。 

 

「オン・ビシ・ビシ・ウン・ケン・ソワカ!」


 シルヴィアが放った稲妻がエリスの腕を叩き落とし、光の槍が明後日の方向に飛んで行った。

 

闇の極光アブソリュート・エクリプス


 ついに聖なる結界も砕け散り、祝詞がエリスに届く。

 

「悪しき呪いを断ちて、人の理へと導き給え、祓え給え、清め給え、癒し給え、恐み恐みも申す」


「あああああっ!」


 エリスの黒い目隠しがビリビリに破けて、ピンク色の瞳があらわになった。

 

「ふああぁぁ!」


 そしてエリスの体がどんどん縮んでいった。

 着ている物も大天使の衣装から、和風の桜色の着物に変わっていく。

 そこにいたのは、まるで翼の生えた天女だった。

 

「あぁ……秀乃介様……いえ、秀一様。助けていただき、ありがとうございます」


「お前、記憶があるのか?」


「はい。私の場合、無理矢理転生されたわけではないので……。積もる話は幾重にもありますが、ここではゆっくりできません。地上に戻りましょう」


 視界の端でお知らせのアイコンが点滅していた。

 開いて確認すると、クエストクリアのメッセージと報酬内容が記載されていた。

 グランドクエストの進行度がまた上がったみたいだ。

 アイテムボックスを覗いてみると、見知らぬ防具一式と剣が入っていた。

 天空の剣ヘブンズ・スカイ・ソード天空の軽装鎧ヘブンズ・スカイ・ライト・アーマーか。★も五つだし強そうだ。

 何より軽装鎧なのが助かった。重装鎧だと装備しないからなぁ。

 そして膨大な経験値によりレベルが85に上がっている。

 常夏の島にできたダンジョンよりも、やっぱりグランドクエストを進める方がいいのかもしれないな!


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