第194話 激闘大百足!
俺達が機動式神で駆けつけた時には、五匹いた大百足のうち、既に一匹倒されていた。
黒く焼け焦げた甲殻から、まだ薄く煙が立ち上がり、周囲には撃ち込まれた榴弾の破片や、砕け散った甲殻が散乱していた。
半分オートで戦ってくれるおかげか、機動式神の操作に慣れていないプレイヤー達でも、なんとか戦えている。
いや、短い訓練でも実戦投入できるように、最初から設計されているのかもしれない。
大百足は巨体の割に動きが速い。表面積が広いから攻撃を当てるのは簡単だが、あの分厚い甲殻は同じ箇所に何度も攻撃を集中させないと割れそうにない。
倒れている大百足は、体中の甲殻が潰されてボコボコになっているが、あれでは弾の消費が激しすぎる。
「一番左の大百足に集中! 狙いは頭部のみ!」
真田さんから念話が届いた。
「了解!」
「了!」
「了解よ!」
俺達が一番左の大百足に狙いを定めて攻撃を始めると、他の機動式神にも念話が届いたのか、援護に回ってくれた。
みんな念話の経験がないのだろう。一人二人聞き取れないくらいの小さな声が聞こえてきたが、他は無音だ。
連絡は一方通行になりそうだな。
大百足がグネグネと身をくねらせながら突進してきたかと思うと、紫色の粘液を吐き出した。
あれは絶対に毒だ。機動式神には効かなくても、憑依している俺達の体にフィードバックされる。絶対に回避だ!
「回転円陣。下方射撃」
真田さんの指令に従い、俺達は大百足の頭上へ舞い上がった。円を描くように旋回しながら、大百足の頭部めがけて次々と榴弾を発射した。
重低音が大気を震わせ、榴弾が何発も大百足の頭部に着弾した。甲殻が軋み、亀裂が走るが、一か所一発では壊れない。
それでも大百足は嫌がるように巨体をくねらせた。
「まだだ! 同じ場所を狙え!」
俺達は亀裂の走った箇所に狙いを絞る。
狙って当たるものじゃない気がするけど、狙わなければ絶対に当たらない!
何発か食らわせると、大百足は苦しげに身をよじり、俺達を退けようと大きく跳ねた。
「しまっ!」
御影さんの機動式神に大百足のアギトが迫った。
「させるかよ!」
真田さんの機動式神が、横から大百足の頭に蹴りを入れて、軌道を逸らした。
「うるああっ!」
真田さんはそのまま至近距離から榴弾を次々と叩き込んだ。
「御影っ!」
御影さんは両手の武装を送還し、代わりに巨大なハンマーを召喚した。
ハンマーはゴテゴテした装飾がされていて、どこか神々しい。これも享楽之神の好みに合わせてそうだ。
「こんのぉおっ!」
ハンマーの尻から炎が勢いよく吹き出し、機動式神がその場で数回転した後、勢いをそのまま乗せて大百足の頭に叩き込んだ。
「はあぁぁっ!」
真田さんが傷をつけた場所に見事命中し、大百足は甲殻の破片をばら撒きながら倒れ、地面を揺らしながら身をくねらせた。
俺達は甲殻が剥がれた頭部に榴弾を叩き込み、完全に破壊したが、胴体はビクンビクンと動いていた。
「妖気はもうない! あれは反射だ!」
真田さんに言われ、俺達は次の大百足に向かった。
見た目の気持ち悪さと、機動式神の重火器装備から、つい遠距離攻撃を選んでしまったが、大百足相手には、近接戦の方が効率がいいのかもしれない。
続いてもう一匹も倒すと、残りの大百足は仲間が倒していた。
このまま魔王城に突撃だ! と思ったら、魔王城の背後から、大きなドラゴンが飛び上がった。
とても控えていたように見えない。魔王かその配下が召喚したのだろう。
そしてドラゴンは一匹だけじゃなかった。次々と現れ、こっちに向かってくる。これ以上追加がなければ合計五匹だ。
「おいおい。勘弁してくれよ……どれだけおかわりがあるんだよ」
今日の敵は今までとは違う気がしてならない。配信のためのグランドクエストとは違う。本気で殺しに来ている。
まだ神力が十分に集まっていないから、ここは引かせる気か? いや、案内妖精が言っていたな。魔王側で異変が起きていると。
バグなのか、神の都合なのか知らないが、機動式神まで投入したんだ!
もう引き下がれない!
ここで勝つんだ!




