第186話 ビキニアーマーは普通の人は装備できない
「クイック・ステップ」
俺は瞬時に間合いを詰めると同時に、ラムリスが使ったスキルを叩き込んだ。
俺が使う剣にはちょっと適してないけど、使えないわけではない!
「ヘビー・スマッシャー!」
「ふんっ!」
俺の袈裟斬りの斬撃が、ラムリスの斬り上げの斬撃によって弾かれた。
「チャージ・ストライク!」
ラムリスが一歩下がった後、矢のように飛び出した突きが俺に襲い掛かった。
ギィィンという音と共に、俺のシールドが削られていく。
数ミリくらい……
「……は?」
クリティカルヒットして、シールドを大きく削ったと思ったラムリスは、口を馬鹿みたいに開けて、一瞬呆然となった。
俺は一歩下がった後、少し身をかがめグッと力を貯める。
そしてダンッと一歩前に踏み込み、剣を横薙ぎに解き放った。
「タイタン・ブレイカー!」
俺の横薙ぎの斬撃が、ラムリスの隙だらけの脇腹に襲い掛かり、シールドをギィンと削った。
「あっ……えっ……」
ラムリスは訳が分からず混乱しているのだろう。
自分の斬撃は全然当たらず、やっとのことで一撃与えたら、シールドゲージが数ミリしか減らなかったのだ。
俺は隙だらけになったラムリスに向かって、袈裟斬りの斬撃を放った。
ラムリスはなんとか体勢を立て直して俺の斬撃を受け止めたが、動揺が残っている。
俺は畳みかけるように斬撃を繰り出したが、決して油断はしない。
ラムリスの反撃を余裕を持って避け、弾き返す。
するとラムリスが焦りを見せ始めた。
俺は決して深追いはせず、隙を見つけては削っていく。
そのたびにラムリスの動揺が大きくなっていった。
そしてラムリスの斬撃と俺の斬撃が至近距離でぶつかり合い、鍔迫り合いになった。
「鈴蘭、俺の元へ来い!」
「なに……を……言うか!」
俺はラムリスの怪力によって弾き飛ばされた。
……が、そのまま後ろに倒れるように縦に一回転しつつ、ラムリスの剣を蹴り上げた。
「あっ!」
ラムリスは思わず剣を手放し、腹ががら空きになったところへ、俺はダンッと一歩踏み出し、横薙ぎの斬撃を放った。
「クレセント・カット!」
ラムリスのシールドゲージがガクンと減り、残り三割を削り切った。
審判が俺の勝利を告げると、ラムリスは呆然となって膝を付いた。
「ばかな……」
「俺の勝ちだな」
「……お前、いったいどうやったら、あれほどシールドが硬くなるのだ?」
「硬くもあるけど、俺のシールド量はそうだな。レベル四百の人間の二十四倍くらいあるらしい」
「……にじゅうよんばい?」
「修行の成果だな!」
「あ……あははは……私達……バカみたいじゃないか……」
「決闘システムの落とし穴だよ。シールドにスキル。便利だが過信してはだめだ」
「お前の元に行けば、もっと強くなれるのか?」
「あぁ。ついでに懐かしい奴らに会えるぞ」
俺が手を差し出すと、ラムリスは俺の手を掴んで立ち上がった。
「鈴蘭とはなんなのだ?」
「知りたかったら受け入れろ。オン・カンマニ・パドマ・シャリラ・ソワカ! 鈴蘭よ。調伏の印、いま結び奉る。縁鎖・魂縛・理鎖・封絶・従命! 急急如律令!」
「……あっ……うっ……」
「鈴蘭! 角と尻尾!」
「えっ! あっ! ふんっ!」
鈴蘭が気合を入れると、取れそうになった角と尻尾が再び引っ付いた。
「こ、この姿はその……」
「どうした?」
「恥ずかしい! 見るなぁぁ!」
鈴蘭は踵を返すと、脱兎のごとく走り出し、待機席にあったマントを羽織って、そのまま逃げるように闘技場の入口へ去っていった。
「……記憶が戻ったんだよな?」
闘技場は静まり返っていた。
各派閥の強者が人間にほぼなすすべもなく倒されてしまった。
途中までは俺達にも歓声を送ってくれていたが、ここまでくるとそれもなくなってしまった。




