↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
150/210

第149話 不死の森へ

 俺達は桃饅頭を食べながら休憩入れ、再び作戦会議に戻った。


「僕達は西側から」


「私達は東ね!」


「俺等は外周を探すよ」


「俺様は……適当に強い気配を探して喧嘩売ってくるわ」


 各パーティーの侵攻ルートが次々決まっていった。


 俺達は中央。というか中央が残されていた。一番辛そうなんだけど……

 これって早いもん勝ちなのか? 適当すぎないか? 特に師匠。適当に強い気配を探してくるって……

 ゲートってさ、今までの都市だと、だいたい端っこに設置されていたんだよね。

 中央ルートが一番外れな気がしてならない。


「今回の俺達の目的は二つだ。一つはゲートを見つけること。もう一つはこの都市が使えるかどうか調査することだ。ゲートを見つけても安全が確保できなきゃ使えねぇ。最悪ムリターヴァナをすっ飛ばして、もう一つ先に進むことになる。ゲートが繋げられる距離がどれくいらか知らねぇけどよ」


 確かに森は危険だ。どんなモンスターが潜んでいるかもわからない。

 最悪森を焼き払って都市を丸裸にする必要があるかもな。

 自然破壊は炎上しそうだけど。


「それと、ムリターヴァナは今まで以上に危険な場所だと、俺様の勘がそう告げている。ゲートが見つかったとしても合図はするなよ。ここに戻ってきてから情報を共有するんだ。どうせゲートを見つけても、俺達だけじゃどうにもならんだろ? もし見つからなかったとしても、三日後にはここに戻れ。再度対策を練る。でいいよね。結城ちゃん?」


「はい。それでお願いします」


 え!? 今までみたいに、結城ちゃんはやめてくださいって言わない!?

 そのことにみんな驚愕していた。

 もう作戦のことなんて頭から吹っ飛ぶくらいの驚きなんだけど!

 結城さんは本来とは別の意味で注目を浴びて、ちょっと狼狽えた。


「結城ちゃんはやめてください……」


 そしてか細い声で言うと、顔を真っ赤にしてうつむいた。


「ごめんごめん。早苗ちゃん」


「それはもっとやめてください!」


 結城さんが耳まで顔を赤くして声を上げた。


 誰かがヒューっと口笛を吹いた。

 それをきっかけにみんなワーッと盛り上がった。


 なぜか師匠が両手を上げて勝利宣言している。

 あ、結城さんが凄い顔して睨んでるんだけど……


「沖田さん。後で話があります」


「あ、はい」


 師匠のやっちまった感が溢れる絶望的な顔を見て、吹き出しそうになった。

 あんな顔をした師匠は初めて見たぞ。

 顔に出たら絶対後でぶっ飛ばされるので、笑いを我慢してたら、アリサさんに微妙な顔をされた。

 俺、そんな変な顔してたかな?


◇◆◇◆◇◆◇◆


 俺達はテントを出して一泊し、次の日の早朝から出発した。

 体力温存のため、エイを召喚して、地面すれすれの超低空飛行だ。

 かなり神経を使うので、みんなには話しかけないでとお願いしてある。


「ねぇ。不死の森ってアンデットがいるかな?」


 アリサさんが琴音に聞いた。


「ん~私が機動式神で見た範囲だといなかったよ。石像が動いてたかな」


「そう。良かったわ。敵は石像か……」


「絶対にいないとは言えないよ?」


「不死の森ねぇ……名前からしてアンデッドなのよねぇ」


「吸血鬼が根城にしてたのって、確か……死者の森だったっけ? 名前のバリエーションが微妙だね」


「死者の森がアンデットなら、不死の森はなんだろ?」


「不死になるアイテムがあるとか? そんな神話なかったっけ?」


「神酒《ソーマ》じゃろうな」


 今まで静観してた狐鈴が口を開いた。


「神々の聖なる飲み物じゃ。飲んだ者へ不死や活力を与えると言われておる。昨日食べた桃饅頭も同じように神の食べ物じゃな」


「すごいじゃない。じゃあ……」


「不死のなりそこないくらいはいそうじゃな」


「ぎゃあああっ! やっぱりいるじゃない!」


「お主もそろそろ慣れんか?」


「無理無理!」


◇◆◇◆◇◆◇◆


 エイから降りて森の中に入ると、今までとは少し違う雰囲気を感じ取った。

 アマゾンの熱帯雨林が一番近いかもしれない。動画でしか見たことがないけど。 

 湿った土と苔の匂いがするし、うっすら霧も漂っている。全体的にじめじめしていて、気温も高い。

 あちこちに川も流れていて、いきなり亜熱帯地方に紛れ込んだ気分だ。


 しばらく進むと都市の入り口まで来たのか、樹木に埋もれた石像を見つけた。

 インド神話に出てきそうな石像だな。

 人の顔もあればジャガーや象の顔もあり、腕が四本や六本ある像、全身像から胸像まで様々だ。


「ねぇ……あれ……」


 琴音が指差す方を見ると、小さな社《やしろ》があった。石でできた社で、巨木の根で飲み込まれそうになっていた。


「ひっ!」


 アリサさんが小さな悲鳴を上げた。

 社の中を見ると、小さな石板を抱えた白骨死体があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。