第138話 イケメン対決
「なんだかスッキリしたわ」
キャサリンの清々しい顔が配信にも映っているのだろう。
チャット欄が筋肉マークや唇のマークで埋め尽くされていた。
やっぱりキャサリンは只者じゃない。
「キャサリンは魅了にかかってたんだよ」
「あらやだ。そうなの?」
「そうだよ。今ならわかるんじゃないか?」
「そうね。自分の欲望に負けて、とんでもないサボタージュをしてしまったわ。レンもそうなのかしら?」
「あぁ、次はレンさんを解放しにいく予定だ」
◇◆◇◆◇◆◇◆
俺達はキャサリンを連れだって、レンさんが通っている美容院に向かった。
大きな窓から覗き込むと、丁度施術が終わったところみたいだ。
「やぁ。どうしたんだい?」
レンさんは美容院から出てくるなり薔薇を取り出し、コッと舌を鳴らして謎のポーズをきめた。
「レン。そろそろ目を覚ましなさい」
キャサリンが一歩前に出た。
「なんのことだい?」
「わかっているでしょう! そろそろ攻略に戻るわよ!」
「もう攻略なんてどうでもいい! きっと早川君達がなんとかしてくれるさ!」
「あんたも主役になるのよ!」
「僕が主人公だって?」
「そうよ。王子様は主人公じゃなきゃだめなのよ!」
「お、王子様……」
「そう。そして私がヒロインのお姫様よ」
「ならキャサリンも一緒に美容に力を入れよう! キャサリンなら世界一のヒロインになれる! 僕は主人公の王子様になる! 世界一のイケメン王子様になってみせよう!」
「あら、嬉しいことを言ってくれるじゃない」
「王子様ね。それって秀ちゃん以上の王子様ってこと?」
琴音が二人の間に入った。おいおい。何言ってるんだ?
俺とレンさんを勝負させるつもりか?
「もちろんさ!」
「秀ちゃんの王子様力をなめないことね!」
「じゃあどっちが最高の王子様か、勝負しようじゃないか!」
レンさんが不敵な笑みを浮かべて視線を送ってきた。
これは勝負を受けないと駄目な展開?
いやいや、俺は自分をイケメンだと思ったことはないぞ!
「秀ちゃん。がんばっ!」
くっ。琴音の期待に満ちた目で見られると弱い……
こうなったら……
「受けて立つ! 勝負だ! 《《レン》》!」
言っちまったよ! どうすんだよ!
まぁしょうがない! 勝負するからには呼び捨てにさせてもらうぜ!
「きゃはは。面白いことになってる」
「じゃあ。舞台を用意しないとね!」
どこからか生意気な声が二つ聞こえてきた。
そして地面が振動したかと思ったら、突然ステージがせり上がってきた。
続いて背景用の板が展開し、クイズのバラエティ番組にあるような、回答席が三人分せり出てきた。
机の部分には札とボタンがあって、押すとレンと秀一と書かれた札が立つみたいだ。
「審査員も必要だよね」
「バラエティ慣れしてる人がいいよね!」
「え?」
「きゃっ!?」
「な?」
回答席にアリサさん、まどかさん、凛さんが、突如現れた。転移させられた!?
「え? ここどこ。あれ? 秀一君じゃない!?」
アリサさんが目をぱちくりさせながら辺りを見回した。俺を見つけると、少しほっとした顔になった。
「レンきゅんもいる?」
まどかさんも状況を把握できていないようだ。
「どう言う状況?」
凛さんは三人の中で一番冷静だった。周りを見渡して状況を観察している。
「キャハハ! 配信はオンになっているかな?」
「今からくそざこお兄ちゃんと、王子様のイケメン対決をするよ!」
「バラエティ企画!?」
「なんか面白そうね!」
「私達は審査員かしら?」
凛さんが説明を求める視線を送ってきた。
それと同時に三人とも案内妖精に配信開始の指示を出していた。
突然のゲリラコラボに慣れている?
「レンさんを正気に……」
「はいはーい。公平にするために説明は王子様がお願いね!」
くっ声が出ない。
説明をしようとする時だけ口が動かないぞ。
これが双子の力なのか!?
アリサさん達を凝視して鑑定スキルを発動させると、狐鈴か式神達が解呪してくれたのか、バッドステータスが消えている。
「これからコラボ配信で僕と早川君がイケメン対決をするのさ。いきなりでごめんだけど、審査員をお願いしたい」
何が公平だ!
アリサさんは俺達のパーティーだけど、まどかさんと凛さんはレンさんのパーティーじゃないか!
もしかしてはめられた?
これって負けたらどうなるんだ?
謎の声によって何かしらの攻撃がくるのだろうか……




