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腐った趣味が成長中

 面倒臭いなあと思いつつも結局変なところでお人好しな魔女の性格が邪魔をして、依頼を受けることになりました。

 利己的な部分ではまた怪我人を運び込まれたらたまったものではないというのもあります。むしろそっちを前面に押し出してから迷惑顔でぶつぶつ言っています。

「悪いな、お嬢。だが頼りにしてるんだぜ。それ、オリハルコンの杖だろう?」

「ぶー。頼りにするぐらいならもっと部下といちゃいちゃしなさい。そして私の目を楽しませなさい」

「……それは勘弁してくれマジで」

「喜んで!」

 同性愛観賞に目覚めた魔女は、傭兵団長と部下がいちゃいちゃするのを見るのが大好きです。BL……ぼーいずらぶというには些か図々しい年齢なので、同性愛と表現させて貰います。

「離れろ!」

「おれ、団長の唇の感触、一生忘れないのであります!」

「殴る! 記憶が飛ぶほど殴るっ!」

「殴られても忘れないのであります!」

 ぼかぼかと殴られる部下ですが、その顔はどうしようもなくにやけています。いずれ傭兵団長が押しに負ける日が来るのかもしれません。

 その日を密かに楽しみにしている魔女でした。

 ……だんだんと腐った趣味に目覚めています。不味い傾向です。


 魔女と傭兵団長達は徒歩で移動しています。

 この中で飛行魔法や転移魔法が使えるのは魔女だけですから、必然的に移動手段が限られてきます。

 もちろん魔女が集団転移を使えばそれで済むのですが、転移魔法は過去に行ったことのある場所にしか適用されません。

 魔女はクルーゼス山脈にはまだ行ったことがないので転移魔法は使えません。

 仮に使えたとしてもちゃっかり手数料を取っていたことでしょう。

 しかしクルーゼス山脈は徒歩一日ほどの距離です。

 傭兵団長達はもちろん徒歩による移動を選びました。魔女はのんびりと飛行魔法で付いていきます。

 時々は傭兵団長やそのお相手部下に肩車をして貰ったりして気分転換をしています。

 なかなかに楽しい道中でした。


 ちなみににゃんこは今回お留守番です。

 以前ほど魔女についていくと言わなくなったので魔女としては助かる反面ちょっと寂しい気持ちもあります。

 にゃんこの目標は、いつか魔女よりも強くなって魔女を守れるようになることです。

 そしていつでもどんなときでも一緒にいることです。

 こうなると滅茶苦茶愛されているように見えますが、まだまだ母親を求める子猫と変わりません。

 男の子になれる日がやってくるのかどうか、こうご期待です。


 やがてクルーゼス山脈に入った魔女達は、一度体力を回復させるためにテントを張りました。

 持ち込んだ食糧を広げながらそれぞれで食べていきます。

 魔女はお手製のサンドイッチです。

「お嬢。俺達の特性スープです。よかったらどうぞ」

 部下の一人ができたてのスープを持ってきてくれました。肉と野菜を煮込んだとても美味しそうなスープです。

「ありがと。もらうね」

 魔女は受け取ってから食べました。

 美味しいという程ではありませんが、冷え込んだ夜にはちょうどいい温かさでした。

 たまには男の料理というのも悪くないなと思います。

 ……たとえ野菜の大きさがバラバラだとしても。

 ……さらに皮付きのお肉に毛がちょっとだけ生えたままだったとしても。

 彼らにとってこの程度の適当さはいつものことなのでしょう。

 郷には入れば剛に従えデス。


 こうして、巨人退治前日の夜は過ぎていくのでした。



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