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『キモデブニートだった俺が、剣聖スキル持ちの銀髪美少年に転生したケース』  作者: ぷっぷくクリーナー


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90/99

第90章 北境の混沌

 

 セレスティア王国北境。


 魔物たちの大規模な南下が始まって以来、北境各地では戦闘が続いていた。


 だが、ここ数日で状況はさらに複雑になっていた。


 組織的に行動する軍勢。


 独自の旗を掲げて進軍する魔物の部族。


 食料や土地を求め、人間の村を襲う集団。


 そして、何かに追い立てられるように森から飛び出してくる魔物たち。


 それらが北境の各地で入り乱れ、王国軍は敵の全容を把握できずにいた。


 人間たちは、それらをまとめて「魔物軍」と呼ぶことが多かった。


 しかし実際には、すべての魔物が同じ指揮官に従っているわけではない。


 魔王直属の軍勢――魔王軍。


 魔境の有力部族が、それぞれの族長や首領の判断で動かす軍勢。


 さらに、そのどちらにも属さない魔物たち。


 それぞれの思惑が、北境を巨大な混乱へと変えつつあった。




 アルセリア辺境領。


 王国軍北境司令部。


 作戦会議室には、各地から届けられた報告書が積み上げられていた。


 アルセリア辺境伯は、その一枚を手に取った。


 アルセリア辺境伯「……撤退した部隊がある一方で、南下を続ける部隊もあるのか」


 副官「はい。それどころか、魔物同士の戦闘も確認されています」


 アルセリア辺境伯「同士討ちか?」


 副官「異なる旗を掲げた部隊が、街道の占有を巡って争っていたとの報告があります」


 アルセリア辺境伯は地図へ視線を落とした。


 副官「また、北方の森林地帯では、武装した魔物の集団が別の魔物を追い払っている姿も確認されています」


 アルセリア辺境伯「……奴らは一枚岩ではない」


 副官「そのようです」


 辺境伯は地図の上に置かれた駒を動かした。


 アルセリア辺境伯「まず、統一された装備と旗を持ち、軍隊として行動している連中だ」


 副官「魔王直属の軍勢と思われる部隊ですね」


 アルセリア辺境伯「撤退も補給も統制されている。各地で確認された戦術にも共通点がある」


 副官「魔王軍の可能性が高いと」


 アルセリア辺境伯「だが、全容は分からん」


 辺境伯は別の駒を指差した。


 アルセリア辺境伯「問題はこちらだ。異なる旗を掲げ、それぞれ独自に動く武装集団」


 副官「オーク、獣人、ゴブリンなどの諸部族です。略奪する者もいれば、移住先を探す者もいます」


 アルセリア辺境伯「魔王軍に協力している部族もあるだろう。だが、すべてが直属の兵士ではあるまい」


 副官「魔王軍が撤退しても、独自に攻撃を続けている集団がいます」


 アルセリア辺境伯「族長が独断で動いているのだろうな」


 辺境伯は三つ目の駒を置いた。


 アルセリア辺境伯「そして、こちらだ」


 副官「……暴走している魔物の群れですか」


 アルセリア辺境伯「武装も指揮官もなく、ただ南へ逃げている」


 副官「中には村を襲う個体もいます」


 アルセリア辺境伯「空腹か、恐怖か。それとも別の原因か」


 副官が報告書をめくった。


 副官「魔力異常が確認された地域ほど、そうした魔物の出現が多いようです」


 アルセリア辺境伯「……魔力異常?」


 副官「はい。特に旧北方街道の周辺で、不自然な魔力の変動が確認されています」


 アルセリア辺境伯「原因は?」


 副官「不明です」


 辺境伯はしばらく沈黙した。


 アルセリア辺境伯「我々は当初、北境の異変を魔物の大規模暴走と判断した」


 副官「はい」


 アルセリア辺境伯「だが、今はそれだけでは説明がつかん」


 彼は地図上の駒を指差した。


 アルセリア辺境伯「魔王直属と思われる正規軍、独自に行動する諸部族、そして制御を失った魔物。それぞれを区別して報告させろ」


 副官「承知しました」


 アルセリア辺境伯「魔王がこの混乱すべてを引き起こしているとは限らん。先入観で判断するな」


 副官「はっ!」


 アルセリア辺境伯「旧北方街道へ斥候を増やせ。住民の退避も急がせろ」


 副官「了解しました!」


 副官が退室すると、アルセリア辺境伯は窓の外へ視線を移した。


 アルセリア辺境伯「……厄介な戦になったな」




 同じ頃。


 北境の旧北方街道では、フィオナとルミナが負傷者輸送隊の護衛を続けていた。


 フィオナは馬車の先頭を歩き、周囲の森を警戒していた。


 腰には使い慣れた長剣。


 長年の訓練で身につけた剣術と体術こそが、彼女の戦うための技術だった。


 フィオナ「……気をつけて。昨日より魔物の気配が多いわ」


 ルミナ「はい」


 その時だった。


 ガサガサッ!


 木々の間から数頭の魔狼が飛び出してきた。


 護衛兵「魔物だ!」


 兵士たちが槍を構える。


 しかし、魔狼たちは異様な状態だった。


 毛並みは乱れ、身体には傷があり、目は恐怖に見開かれていた。


 フィオナ「……待って!」


 ルミナ「逃げています」


 フィオナ「……何かから?」


 ルミナ「はい」


 直後、森の奥から地響きが聞こえた。


 ドドドド……!


 角を持つ鹿型魔獣。


 巨大な牙を持つ猪。


 本来なら同じ場所に集まらない魔物たちが、互いを無視して走っていた。


 フィオナ「全員、道を空けて! 馬車を右へ!」


 御者が慌てて手綱を引く。


 ルミナ「《風壁》」


 淡い光を帯びた風の壁が街道に現れ、魔物たちの進路を緩やかに変えた。


 群れは輸送隊を避け、そのまま南へ駆け抜けていく。


 しかし、最後の一頭だけは違った。


 黒い巨体の猪。


 その目が不自然な紫色に輝いていた。


 全身から異様な魔力が溢れている。


 護衛兵「まだ来ます!」


 猪が馬車へ突進した。


 フィオナ「全員、下がって!」


 フィオナは即座に前へ出た。


 その視線が捉えたのは、猪の巨大な牙と前脚の運び。


 正面から受け止めれば、人間の腕力では到底支えきれない。


 フィオナは剣を構えたまま、相手との距離を測った。


 十歩。


 五歩。


 三歩。


 そして。


 フィオナ「――今!」


 突進の直前、彼女は身体を横へ滑らせた。


 猪の牙がすぐ横を通過する。


 同時に、長剣を斜めに振り下ろした。


 狙いは首ではない。


 前脚の付け根。


 踏み込んだ脚を傷つけ、突進する方向を崩す。


 ガギンッ!


 硬い皮膚に刃が弾かれる。


 だが、猪の体勢がわずかに傾いた。


 フィオナ「ルミナ!」


 ルミナ「はい」


 少女が杖を掲げた。


 ルミナ「《風圧》」


 横から強烈な風が叩きつけられる。


 姿勢を崩していた猪はさらに大きくよろめき、街道脇の地面へ倒れ込んだ。


 しかし、まだ動く。


 紫色の瞳が再びフィオナを捉えた。


 フィオナ「……まだ来る!」


 フィオナは地面を蹴った。


 起き上がろうとする猪の側面へ回り込む。


 剣の切っ先を低く構え、露出した急所へ狙いを定めた。


 フィオナ「……はっ!」


 一閃。


 長剣が猪の首元を貫いた。


 巨体が激しく震える。


 やがて力を失い、地面へ崩れ落ちた。


 フィオナは慎重に距離を取り、剣を構え続けた。


 動かないことを確認してから、ようやく息を吐く。


 フィオナ「……終わったわ」


 ルミナが近づいてくる。


 ルミナ「……魔力が、消えました」


 フィオナ「倒したから?」


 ルミナ「違います」


 少女は倒れた猪を見つめた。


 ルミナ「……身体の中で、魔力が暴れていました」


 フィオナ「何かに操られていたの?」


 ルミナ「……分かりません」


 しばらく沈黙する。


 ルミナ「でも……苦しそうでした」


 フィオナは倒れた魔獣を見下ろした。


 戦いを望んでいたようには見えなかった。


 それでも、輸送隊を守るためには倒すしかなかった。


 フィオナ「……行きましょう」


 彼女は剣の血を拭い、鞘へ収めた。




 しばらく進むと、古い石橋が現れた。


 橋の下には深い谷が広がっている。


 ルミナは橋へ近づいた瞬間、足を止めた。


 ルミナ「……ここ」


 フィオナ「どうしたの?」


 ルミナ「地下に、何かあります」


 少女の銀髪が微かに揺れ始めた。


 石橋の側面に刻まれた古い紋様が、淡く光る。


 フィオナ「……!」


 次の瞬間。


 ルミナの意識に巨大な地下構造物の姿が浮かんだ。


 無数の管。


 複雑な円環。


 そこを流れる魔力の光。


 そして、途中で途切れた巨大な流れ。


 ルミナ「……壊れてる」


 フィオナ「何が?」


 ルミナ「……地下の、何かが」


 その時。


 護衛兵「北側の丘に敵影!」


 丘の上に数十体の魔物が姿を現した。


 オークの戦士。


 獣人の槍兵。


 ゴブリンの弓兵。


 しかし、統一された装備ではなかった。


 それぞれが異なる旗を掲げている。


 護衛兵「魔物軍だ!」


 フィオナ「……待って。様子がおかしいわ」


 魔物たちは丘の上で停止した。


 やがて、何かを巡って言い争い始めた。


 大柄なオークが石橋を指差す。


 獣人の首領らしき者が首を振る。


 ゴブリンたちはその隙に、近くの荷車から物資を奪おうとしていた。


 フィオナ「……まとまっていない?」


 ルミナ「……別々の集団」


 丘に集まった魔物たちは、魔王直属の軍勢ではなかった。


 それぞれの族長に率いられた、複数部族の寄り合いだった。


 オークたちは新しい居住地を求めていた。


 獣人たちは食料と安全な土地を探していた。


 ゴブリンたちは、人間の輸送隊から物資を奪おうとしていた。


 そして、その集団には別の目的で動く者もいた。


 黒い布を巻いた一体の魔物。


 その手には赤く輝く小さな結晶が握られていた。


 黒布の魔物「……ここだ」


 結晶が石橋へ向けて淡い光を放つ。


 黒布の魔物「間違いない。この下に眠っている」





 北境魔境。


 古城の作戦室。


 ヴァルガスは各部族からの報告を聞いていた。


 魔物兵「将軍。灰牙族が独断で南下しました」


 ヴァルガス「……またか」


 魔物兵「赤角族も旧北方街道へ向かっています」


 ヴァルガス「撤退命令は?」


 魔物兵「伝えております。しかし、彼らは魔王軍の正式な所属部隊ではありません」


 ヴァルガスは低く唸った。


 魔王直属の軍勢であれば、命令系統は明確だ。


 しかし、各部族の戦士たちは違う。


 魔王に忠誠を誓った族長もいる。


 共通の目的のために協力する部族もいる。


 だが、魔王軍の指揮下に入ることを拒み、独自の判断で動く集団も少なくなかった。


 魔物兵「各部族は土地と食料を求めています。進軍停止に不満を持つ者も多いようです」


 ヴァルガス「……分かっている」


 ヴァルガスは地図を睨んだ。


 魔境は長年、食料不足に苦しんできた。


 強い部族が弱い部族を追い払い、弱い部族はさらに過酷な土地へ追いやられる。


 そうした争いを終わらせようとしたのが魔王だった。


 しかし、魔王が現れたからといって、すべての部族が統一されたわけではない。


 魔物兵「最近は魔力異常によって暴走する魔物も増えています」


 ヴァルガス「……遺跡の影響か」


 魔物兵「不明です。ただ、古い地下施設の周辺で異常な反応が確認されています」


 ヴァルガス「……あの人形め」


 その時、別の兵士が駆け込んできた。


 魔物兵「将軍! 旧北方街道で複数部族が衝突しています! さらに暴走した魔物が周辺へ流入しています!」


 ヴァルガス「魔王軍の部隊を派遣しろ。部族間の戦闘を止めさせる」


 魔物兵「はっ!」


 ヴァルガス「人間との無用な交戦も避けろ。今は兵を失う時ではない」



 古城の地下。


 真紅の魔導人形は、空中に浮かぶ魔力映像を眺めていた。


 そこには旧北方街道の石橋が映っている。


 真紅の魔導人形「……ふふ。随分賑やかになったわね」


 彼女は指先で映像を拡大した。


 黒布の魔物が持つ赤い結晶。


 それは彼女が密かに一部の部族へ渡した、古代施設の探査用魔導具だった。


 真紅の魔導人形「各部族が勝手に動いてくれるおかげで、こちらの行動は目立たないわ」


 魔王軍は軍事的な目標を追う。


 各部族は土地と食料を求める。


 魔力異常に苦しむ魔物たちは、生き延びるために逃げ惑う。


 その混乱を利用すれば、古代施設の調査も容易になる。


 彼女は別の表示を開いた。


『旧北方街道――地下導管反応』


『異常魔力――増大』


『制御系統――不安定』


 真紅の魔導人形「……思ったより傷んでいるのね」


 遺跡の異常は、彼女が引き起こしたものばかりではない。


 古代施設そのものが、長い年月の間に深刻な損傷を受けていた。


 しかし、魔力の流れが乱れるほど、隠された構造を調べやすくなる。


 真紅の魔導人形「……少し刺激してみようかしら」


 彼女は指先を動かした。


 赤い結晶が一瞬だけ強く輝く。


 地下の古代導管へ、微弱な魔力が流れ込んだ。



 旧北方街道。


 石橋を渡ろうとしたフィオナたちの足元が、突然揺れた。


 ゴゴゴゴゴッ!


 護衛兵「橋が!」


 石畳に亀裂が走る。


 橋の側面に刻まれた古代文字が、一斉に光り始めた。


 ルミナ「……っ!」


 少女が胸元を押さえる。


 地下から巨大な魔力が湧き上がってくる。


 丘では暴走した魔獣が苦しげに咆哮し、部族の戦士たちが逃げ惑っていた。


 フィオナ「全員、急いで渡って! 負傷者を優先!」


 護衛兵「了解!」


 馬車が石橋を駆け抜ける。


 突然、橋の欄干が崩れた。


 砕けた石材が馬車の前へ落下する。


 御者「うわあっ!」


 馬が驚き、後ろ脚で立ち上がった。


 フィオナ「手綱を離さないで!」


 フィオナは馬車の側面へ走った。


 暴れる馬の横に踏み込み、手綱を掴んで進行方向を修正する。


 馬車の車輪が亀裂へ落ちかけた。


 フィオナ「そっちじゃない!」


 彼女は手綱を引きながら、御者に指示を飛ばした。


 フィオナ「右へ! 今!」


 御者が馬を操る。


 車輪は亀裂の縁をかすめ、どうにか石橋の中央へ戻った。


 ルミナ「……危ない」


 ルミナが杖を掲げる。


 ルミナ「《風壁》!」


 馬車の前方へ透明な風の障壁が生まれた。


 落下してきた小石が弾かれる。


 フィオナ「助かったわ、ルミナ!」


 ルミナ「……はい」


 しかし、地下からの魔力はさらに強まっていた。


 ルミナ「……止めないと」


 フィオナ「ルミナ?」


 ルミナ「このままだと……もっと多くの魔物が暴れます」


 だが、ルミナ自身にも何をすればよいのか分からなかった。


 その時。


 橋の下から銀色の光が一瞬だけ立ち上った。


 暴走する魔力の中に、細い別の流れが生まれる。


 ルミナ「……?」


 石橋の振動がわずかに弱まった。


 フィオナ「ルミナ! 今は退避よ!」


 ルミナ「……はい!」


 二人は最後の馬車を追って橋を渡った。



 王都地下。


 シオン・アルトゥスは、古代装置に現れた異常表示を見つめていた。


『北方分配導管――異常起動』


『人工的な制御信号を検知』


『未知の魔力同調反応を検知』


 シオン「……別々の反応か」


 魔境の地下施設に存在する何者かが、古代導管へ干渉している。


 それとは別に、未知の銀色の魔力が反応していた。


 シオン「……ルミナ」


 少女の魔力が、古代施設の暴走を一瞬だけ弱めた可能性がある。


 だが、まだ確証はない。


 シオン「……今回も、同じ道を辿るつもりか」


 過去の世界線でも、魔境の魔力異常は幾度となく発生した。


 魔物の暴走。


 部族同士の衝突。


 魔王軍の侵攻。


 そして、古代施設の異常起動。


 それらが複雑に絡み合い、やがて世界を破滅へ導いた。


 しかし、今回は違う。


 これまで確認できなかった魔力の同調反応が存在する。


 シオンはその記録を見つめた。


 シオン「……まだ、可能性はある」



 旧北方街道。


 輸送隊はようやく安全な地点へ到着した。


 フィオナは振り返った。


 遠くの石橋では、複数の魔物の部族が争い、暴走した魔獣がその間を走り回っている。


 一方、北の丘には新たな部隊が現れていた。


 黒い軍旗。


 統一された装備。


 整然とした隊列。


 フィオナ「……あれは?」


 護衛兵「魔王軍と思われます」


 その部隊は石橋へ突撃するのではなく、周辺に陣形を築き始めた。


 部族同士の争いを止めようとしているようにも見える。


 しかし、一部の部族は命令を無視していた。


 護衛兵「……同じ魔物なのに、あんなに違うものなのか」


 フィオナは静かに頷いた。


 フィオナ「魔物軍と一括りにしているけれど……実際には、それぞれ違う目的で動いているのかもしれないわ」


 ルミナは遠くの石橋を見つめていた。


 ルミナ「……みんな、違う」


 フィオナ「え?」


 ルミナ「戦いたい魔物もいる。でも……逃げたいだけの魔物もいます」


 少女は小さく目を伏せた。


 ルミナ「……苦しそうでした」


 フィオナは答えなかった。


 敵であっても、苦しんでいることには変わりない。


 しかし、王国の人々を守るためには、剣を抜かなければならない時もある。


 その現実は変わらなかった。


 フィオナ「……アルセリア辺境伯へ報告しましょう」


 ルミナ「……はい」


 少女は最後にもう一度、石橋を振り返った。


 地下から感じられる魔力は、まだ不安定だった。


 その奥に、何か巨大なものが眠っている。


 そして、なぜか。


 それを放っておいてはいけない気がした。


 魔王軍。


 独自の目的で動く魔物の諸部族。


 遺跡の異常によって暴走する魔物たち。


 そして、その混乱を利用する真紅の魔導人形。


 北境の戦場は、もはや単純な人間と魔物の戦争ではなくなっていた。


 その複雑な混乱の中心で、世界の魔力循環を支える古代施設が静かに目覚めようとしていた。


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