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『キモデブニートだった俺が、剣聖スキル持ちの銀髪美少年に転生したケース』  作者: ぷっぷくクリーナー


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第55章 班分け発表と、妙に戦力が高い六人

 翌朝。


 教室へ入った瞬間。


 人だかりができていた。


「出た!」


「班分け!」


「見えない!」


 どうやら。


 昨日散々待たされた結果が、ようやく掲示されたらしい。


「レオン!」


 クラリッサが人混みの中から手を振る。


「こっち!」


「見つけるの早いな」


「もう見た!」


「俺まだ何も見えてないんだけど」




 何とか掲示板の前まで行く。


 《第一学年 総合合同実習》


 その下に。


 班ごとの名前。


「俺は……」


 探す。


 あった。


 《第三班》


 レオン・アルセリア。


 ヴィクトリア・アーデルハイト・フォン・グランベルク。


 クラリッサ・バルシュタイン。


 カグラ・ミカヅキ。


 アーヴェル・クロイツ。


 ルミナ。


「……」


 もう一度見る。


「……何この班」


「強そう!」


 クラリッサが嬉しそうに言う。


「強そうっていうか」


 アーヴェルも横から覗く。


「実技に偏りすぎじゃないか?」


「同感」


 俺。


 クラリッサ。


 カグラ。


 アーヴェル。


 ここまででも剣士が四人。


 さらに。


 ヴィクトリアは高い光魔法適性。


 ルミナは。


「出力制限が必要」


「はい」


「うん」




「あら」


 背後から声。


 ヴィクトリアだった。


「随分と賑やかな班になりましたわね」


 今日は朝の実技授業があるらしく。


 いつもの制服ではなく、学院指定の訓練服を着ていた。


 白い上衣は動きやすいよう腰で細く締まり。


 濃紺の細身のズボンが長い脚の線をすっきり見せている。


 金髪の縦巻きも今日は少し高めにまとめられていて。


 普段の華やかな令嬢姿より、ずっと活動的だ。


(こういう格好も似合うな)


「レオン」


「はい」


「今、私を見ていましたわね?」


「……」


「また黙りますの?」


「最近、黙っても駄目だって学んだ」


「では?」


「似合ってると思った」


「なっ……」


 一瞬。


 ヴィクトリアが止まる。


 そして顔を逸らした。


「そ、そういうことを自然に言わないでくださる?」


「聞いたのそっちじゃない?」


「そうですけれど!」




「レオン様」


「ルミナ」


「観察記録を――」


「取らなくていい」


「まだ何も言っていません」


「分かるようになった」


「成長しています」


「嬉しくない」




 そこへ。


 カグラも来た。


「全員そろった?」


「あと一人」


「誰?」


「俺だよ!」


 アーヴェルが後ろから現れる。


「最初からいたけど!?」


「影が薄かった」


 カグラ。


「ひどいな!」


 クラリッサが笑う。


「じゃあ第三班集合!」


「まだ朝だよ」


「気分!」




 一時間目。


 担当教師から総合合同実習の説明があった。


「今回は六人一班」


 ちょうど俺たちだ。


「三日間、学院北西の演習林で行動する」


 内容は。


 指定地点への移動。


 地図作成。


 魔物への対処。


 食料管理。


 野営。


 負傷者役への応急処置。


 そして。


「班員全員の協力を評価する」


 教師が強調する。


「個人で突出した成績を取っても高評価にはならない」


 教室中。


 何人かが俺を見る。


「何で見るの?」


 アーヴェルが笑う。


「心当たりあるだろ」


「ない」


「ある」


 カグラまで。




 さらに。


「演習林内では、実習用の魔物が一部放されている」


「放してるの!?」


 思わず声が出た。


 教師がこっちを見る。


「危険度の低い種類だ」


「それでも放すんですね」


「実戦形式だからな」


 クラリッサの目が輝く。


「楽しそう!」


「一番喜んじゃ駄目な人が喜んでる」




 授業後。


 俺たちは空き教室に集まった。


「役割を決めましょう」


 ヴィクトリアが言う。


「三日間ある以上、最初に決めておいた方がいいですわ」


「賛成」


 アーヴェルが机に地図を広げる。


「まず前衛」


 クラリッサが手を上げる。


「はい!」


「早い」


 カグラも静かに言う。


「私も前」


「だよね」


「レオンも前だろ」


 アーヴェル。


「三人前衛?」


「多いな」


「俺も剣士なんだけど」


「四人だ」


「多すぎる!」




 ヴィクトリアが額に手を当てる。


「どうしてこの班に剣を使う人が四人もいるんですの?」


「先生に聞いて」


「私に言われても困る」


 ルミナが口を開く。


「私は全役割に対応可能です」


「それ言ったら終わるから」


「では制限します」


「自主的に?」


「レオン様の指示に従います」


「責任重いな!」




 結局。


 基本配置は。


 前衛。


 俺とクラリッサ。


 遊撃。


 カグラとアーヴェル。


 後衛魔術。


 ヴィクトリア。


 万能補助。


 ルミナ。


「万能補助って何だよ」


 アーヴェルが言う。


「困ったら助けてもらう係」


「雑!」


「合理的です」


 ルミナ本人が納得した。


「本人いいならいいか……」




「次は荷物」


 ヴィクトリアが一覧を見る。


「食料、簡易天幕、寝袋、調理器具、応急用品――」


「肉!」


 クラリッサ。


「保存食ですわ」


「肉の保存食!」


「それならあります」


「やった!」


「遠足じゃないからね?」


 カグラが地図を見る。


「水場も確認した方がいい」


「確かに」


 アーヴェルが頷く。


「初日にここまで行ければ楽だな」


「でも道が一本じゃない」


 俺も覗く。


 森の中には。


 いくつもの経路。


 川。


 小さな谷。


 傾斜地。


 そして指定地点。


「ちゃんと実習っぽい」


「今さら?」




 ルミナが地図を見つめる。


「最短経路を算出可能です」


「禁止」


「なぜですか?」


「多分それやったら実習にならない」


「理解しました」


 少し間。


「では通常の学生と同等の判断速度へ制限します」


「そんな調整できるの?」


「可能です」


「便利だな……」




 準備を終える頃。


 クラリッサが拳を握った。


「よし!」


「何?」


「優勝しよう!」


「実習に優勝ないよ」


「一位!」


「順位もないと思う」


「じゃあ最高評価!」


「それなら分かる」


 ヴィクトリアも腕を組む。


「やるからには当然ですわ」


 カグラ。


「異論なし」


 アーヴェル。


「まあ、適当に頑張るか」


 ルミナ。


「最高評価取得を目標に設定」


「みんな意外と乗り気だな」




 俺は六人を見る。


 クラリッサ。


 カグラ。


 ヴィクトリア。


 アーヴェル。


 ルミナ。


 そして俺。


 剣士が多すぎるし。


 個性も強い。


 まとまりがあるのかないのか。


 今の時点では全然分からない。


 でも。


「三日間なら楽しそうか」


「今なんて?」


 クラリッサが振り向く。


「何でもない」


「楽しそうって言った!」


「聞こえてるじゃん!」


 こうして。


 俺たち第三班の。


 三日間の合同実習が始まることになった。


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