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『キモデブニートだった俺が、剣聖スキル持ちの銀髪美少年に転生したケース』  作者: ぷっぷくクリーナー


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第21章 ルミナの初めての放課後と、増えていく約束

 翌朝。


 教室へ入ると。


「ルミナ! おはよう!」


 クラリッサが真っ先に声をかけた。


「おはようございます。クラリッサ」


「昨日より自然!」


「昨日の会話記録を参考にしました」


「そこは普通に覚えたって言おうよ!」


 クラリッサが笑う。


 ルミナも。


 ほんの少し口元を緩めた。


 もう昨日とは違う。


 教室にいること自体が。


 少しずつ当たり前になっている。


「おはようございます。ルミナさん」


 エリシアもやって来る。


「おはようございます。エリシア」


「名前を呼んでくださるのですね」


「はい。友人として登録しています」


「登録……」


 エリシアが困ったように笑った。


「でも嬉しいです」


「では表現を修正します」


「?」


「エリシアは私の友人です」


 今度は。


 エリシアが嬉しそうに笑った。


 


「わたくしについては?」


 ヴィクトリアが腕を組む。


「ヴィクトリア」


「はい」


「グランベルク公爵家長女。光属性適性八十二。火属性六十一。魔力制御について改善可能箇所が――」


「そういう紹介ではありませんわ!」


 教室が笑う。


「友人かどうかを聞いていますの!」


 ルミナが少し考える。


「昨日、昼食を共にしました」


「ええ」


「会話も行いました」


「ええ!」


「よって友人と判断します」


「最初からそう言えばよろしいのです!」


 何だかんだ。


 嬉しそうだった。


 


 午前の剣術授業。


 セルジュ先生がルミナを見る。


「お前も参加するのか?」


「はい」


「武器は?」


「不要です」


「待て」


 俺が止めた。


「何でしょう」


「素手は怖い」


「なぜです?」


「お前の場合、剣より素手の方が危険な気がする」


「否定できません」


「否定できないんだ……」


 結局。


 普通の訓練剣を持たせることになった。


「なら私!」


 クラリッサが手を上げる。


「私が相手する!」


「また?」


「昨日友達になったから!」


「友達ってそういう制度だっけ?」


「行くよ!」


「承知しました」


 二人が向かい合う。


「始め!」


 クラリッサが踏み込んだ。


「はああっ!」


 大剣が振り下ろされる。


 ルミナ。


 片手。


 カンッ。


「……え?」


 止めた。


 完全に。


 片手だけで。


「ルミナ!」


「はい」


「出力!」


「〇・〇八パーセントです」


「もっと下げて!」


「承知しました」


 クラリッサは逆に笑っていた。


「すごい!」


「喜ぶところなの?」


 


 次の瞬間。


 ルミナが反撃へ移る。


「待――」


 剣先が。


 クラリッサの額の寸前で止まった。


「……」


「……」


「停止命令を確認しました」


「俺が言い切る前に止まれるんだな」


「音声予測を行いました」


「便利なのか怖いのか分からない」


 その時。


「次は私」


 後ろから。


 カグラが木刀を持って現れた。


「並ばなくていい」


「興味がある」


 静かに立つカグラは。


 今日も長い青黒色の髪を背へ流していた。


 身体を動かすたび。


 さらりと黒髪が肩を滑る。


 近くへ来ると。


 東方で使う香木なのか。


 檜に似た淡く澄んだ香りが一瞬だけ漂った。


 騒がしいクラリッサとは正反対なのに。


 こうして剣を持って立つと妙に目を引く。


「レオン?」


「え?」


「見てた」


「何でもない」


「そう」


 カグラはそれ以上聞かなかった。


 そういうところも。


 昔から妙に居心地がいい。


「では開始しますか?」


 ルミナが聞く。


「待て待て」


 俺が割って入る。


「授業中だから勝手に連戦するな」


「残念」


「カグラまで残念そうにするな!」


 


 昼休み。


「これ」


 ソフィアが小さな包みを差し出した。


「何?」


「薬草飴です」


 ルミナが受け取る。


「私は疲労回復を必要としません」


「でも食べられますよね?」


「はい」


「なら味だけでも」


 ルミナが一つ口へ入れる。


 しばらく。


「好ましいです」


 ソフィアが笑った。


「よかった」


 リリアーナがすぐノートを開く。


「嗜好形成二例目」


「また記録してる」


「重要です」


「友達の好きな食べ物まで研究対象なの?」


「当然です」


「当然なのか……」


 


 そして放課後。


「ルミナ!」


 クラリッサ。


「今日は剣術部!」


「明日は東方剣術研究会」


 カグラ。


「その次は魔法研究部へ」


 リリアーナ。


「少しくらい普通の予定も入れなさい!」


 ヴィクトリアが呆れる。


「でしたらわたくしの茶会へいらっしゃい」


「それも部活動じゃないだろ」


「問題ありますの?」


「ないけど」


 エリシアも手を上げた。


「料理研究会のお手伝いもどうですか? 一緒にお菓子を作りましょう」


「参加を希望します」


「全部行くの?」


「はい」


 ルミナが俺を見る。


「友人との活動は重要だと学習しました」


「予定詰めすぎじゃない?」


「問題ありません」


 一拍。


「レオン様も同行してください」


「俺も!?」


「はい」


 みんなの視線が集まる。


「……一日一つなら」


「承知しました」


「やった!」


 クラリッサが両手を上げる。


 ヴィクトリアが笑い。


 エリシアも嬉しそうに頷く。


 ルミナも。


 みんなの真似をするように。


 小さく笑った。


 前世の俺には。


 放課後の予定なんて。


 ほとんどなかった。


 それが今では。


 一週間先まで。


 友達との約束で埋まり始めている。


 面倒なはずなのに。


 なぜか。


 それほど嫌じゃなかった。


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