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『キモデブニートだった俺が、剣聖スキル持ちの銀髪美少年に転生したケース』  作者: ぷっぷくクリーナー


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第20章 ルミナ、友達を作る

 「友人とは」


 ルミナが俺を見る。


「どのように作るのでしょうか」


「昨日から考えたけど」


「はい」


「やっぱり俺に聞くの間違ってると思う」


「なぜでしょう」


「前世の俺、友達ほぼいなかったから」


「しかし」


 ルミナが教室を見回す。


 エリシア。


 ヴィクトリア。


 クラリッサ。


 カグラ。


 リリアーナ。


 アーヴェル。


 少し離れた席にはソフィア。


「現在のレオン様には多数の友人が存在します」


「……多数?」


「はい」


 クラリッサが振り返る。


「何その反応!」


「いや」


「私たち友達じゃないの!?」


「友達だけれども……」


「なら成功例です」


 ルミナが頷いた。


「レオン様を参考にします」


「一番参考にならない時期を三十五年くらい過ごしてるぞ」


     


 一時間目。


 魔法理論。


 セレフィア先生が黒板へ術式を書く。


「今日は魔力循環の基礎について――」


「質問があります」


 ルミナが手を上げた。


「はい。ルミナさん」


「その循環術式は旧帝国第三体系を簡略化したものですか?」


「……」


 セレフィア先生の手が止まる。


「よく分かりましたね」


「十三箇所に同一構造があります」


 リリアーナが勢いよく顔を上げた。


「十三?」


「はい。また現在の方式には効率低下箇所が――」


「待って」


 俺が止めた。


「何でしょう」


「たぶん授業が壊れる」


「?」


 リリアーナがもうノートを開いている。


「続きを」


「リリアーナも止まれ!」


 セレフィア先生が困ったように笑った。


「詳しいお話は放課後にしましょうか」


「承知しました」


「私も参加します」


「リリアーナは当然なんだな」


     


 休み時間。


 予想していたことが起きた。


「ルミナさん!」


「髪、本当に綺麗!」


「食事できるの?」


「眠るの?」


「その胸の結晶って何?」


 女子生徒たちに囲まれた。


「質問を順番にお願いします」


 ルミナは平然としている。


 そこへ。


「じゃあ私から!」


 クラリッサが割り込んだ。


「友達になろう!」


 直球だった。


「友人」


「そう!」


「必要な手続きは?」


「手続き?」


「登録書類などは不要ですか」


「いらないよ!」


 クラリッサが笑う。


「一緒に喋ったり遊んだりすればいいの!」


 ルミナが考える。


「では」


 クラリッサを見る。


「現在クラリッサは私の友人でしょうか」


「もちろん!」


「友人一名を確認」


「数えなくていい!」


 教室中が笑った。


 ルミナも。


 ほんの少しだけ笑った。


     


 昼休み。


 食堂へ向かおうとすると。


「レオンさん。ルミナさん」


 廊下の奥から声をかけられた。


 周囲の生徒が一斉に姿勢を正す。


「学院長……?」


 そこにいたのは。


 この学院を預かる学院長。


 レティシア・ヴァルモント。


 三十代後半。


 艶のある濃紫の長髪を背へ流した。


 大人びた妖艶さを持つ美女だった。


 身体の線を上品に整えた学院長用の黒い正装は、豊かな胸元にもゆったりとした立体感を作っている。


 歩くたび長い髪が揺れ。


 近づくと淡い薔薇の香りがふわりと漂った。


 学生とは明らかに違う。


 落ち着いた大人の女性の雰囲気。


(……緊張する)


「レオンさん?」


「はい!」


「そんなに固くならなくても大丈夫ですよ」


 学院長がくすりと笑った。


「仮編入初日の様子を見に来ただけです」


「私に問題がありますか?」


 ルミナが尋ねる。


「いいえ」


 学院長は首を振る。


「むしろ安心しました」


「?」


「もう友人ができたのでしょう?」


 ルミナがクラリッサを見る。


「はい。一名」


「だから数えなくていいって」


 学院長も楽しそうに笑った。


     


 食堂。


 いつもの面々で席を囲む。


 そこへソフィアもやって来た。


「ご一緒してもいいですか?」


「もちろん」


「ありがとうございます」


 ルミナがソフィアを見る。


「あなたもレオン様の友人ですか?」


「えっ」


 ソフィアが固まった。


「俺の?」


「はい」


「友達……だよな?」


 俺が聞くと。


 ソフィアの表情が明るくなる。


「はい!」


「よかった」


「レオン様」


「何?」


「無意識に友人を増加させていますね」


「そんな能力みたいに言うな」


 エリシアが笑う。


「でも以前より自然ですよ」


「そうかな」


「はい」


 ヴィクトリアも頷いた。


「入学当初よりは随分と」


「……」


     


 エリシアが持ってきた焼き菓子を配る。


「ルミナさんもどうぞ」


「私は栄養摂取を必要としません」


「食べられないのですか?」


「可能です」


「なら一つ」


 ルミナが受け取る。


 一口。


「……」


「どうです?」


「好ましいです」


 エリシアが嬉しそうに笑う。


「もう一つどうぞ」


「ありがとうございます」


 ルミナが二つ目を取る。


 そして。


 半分に割った。


「レオン様」


「俺?」


「共有は友人らしい行動だと先ほど学習しました」


「誰から?」


「クラリッサです」


「私!」


「自信満々だな」


 半分を受け取る。


「じゃあ」


「はい」


「いただきます」


 一緒に食べる。


 ルミナが俺を見る。


「これが友人活動ですか?」


「たぶん」


「悪くありません」


 また。


 少し笑った。


 昨日まで。


 友達の作り方すら知らなかった古代魔導人形が。


 今日だけで。


 もう何人もの名前を覚えて。


 笑うようになっている。


 もしかすると。


 学院生活というのは。


 俺が思っていた以上に。


 人を変える場所なのかもしれなかった。


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