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サビたロボットと、ダメなヒト。  作者: あおば がしゅん


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7/20

見た目だけは最悪

青山さんと分担して教え続けたが、一向に良くならなかった。

しばらく経つけど、何一つ出来ていないんだよな……

2人の間にあるナッツの乗った皿から一粒取り、クルクルと人差し指・親指の指先の間で回してから口の中に放り込む。

 

カリッ

 

「どうしてなのかな……」優しい青山さんもさすがに頭を抱えた。


掃除をさせると、埃を壁に貼り付け世界地図を作ったと報告されたり。

この間は初めて自力で6時間かかり完成したミートソースのパスタが、見た目がくそ悪いのに味だけは完ぺきと言う不思議な現象。


時折起きる斜め上の結果に、2人で笑い話にしていた。


そうでもしないと、お互いがナーバスになりそうな気がしていた。


【出来ないわけではない】と言う点は、解釈が一致していた。


「ナヤミゴトデスカ?(悩み事ですか?)」サビ太郎は他人事のように奥の部屋から出て来た。


「あなたの事を相談していたの」青山さんは微笑みながら正直に話した。

「モウシワケゴザイマセン。キロクヲガンバリマス(申し訳ございません。記録を頑張ります。)」サビ太郎は頭を下げた。


「怒ってはないから大丈夫」半分悩みの種になっていたのは事実だったが、教えるにも根気がいるのは事実であったため頭ごなしに怒るのもお門違いだととも思った。


……ねぇ


青山さんが呟くような声に振り向く。

目線は合わない。

2人の間に置かれた皿の上に乗っていた一粒のナッツを手に取り見つめていた。


「一個に絞って同じことを教え続けるのは?」


……一個か、なるほどね


 考えたことなかった。確かに時間はかかるかもしれないけど余計な情報がなければ出来るかもしれない。


 翌日から俺たちは、まず決まった掃除から教え始めた。

そんな生活が始まって間もなく、片や俺は配送業の配達員として働き始めていた。

「サビ太郎。なにもしなくていいから充電してて。俺が帰ってきたら手伝うから」


「カシコマリマシタ。ジュウデンドックヘムカイマス(かしこまりました。充電ドックへ向かいます)」

充電ドックとは、早い話が充電器。


そこは理解できてるのか……まあそれもそうか

疲れている時は少しイラつくことがあるが、1つずつ出来るまで教え続ける事にした。


とある日の夜。


俺も明日休みだし、気晴らしに映画を観せるか


「なぁサビ太郎」


「ナンデショウ?(何でしょう?)」


「映画観ようか」


サビ太郎は、無表情で首を傾ける。


再生する前に、先に隣へ座らせる。

「これは≪ブラックボックス≫って言うタイトルで、25年前のスパイ映画なんだよ」


「スパイエイガ……(スパイ映画)」

サビ太郎が分かったのかは分からなかったが、こちらを見て頷いた。


一番好きな映画なのに、身が入らなかった。


サビ太郎が覚えようとしていることは伝わるけど、機械であることは変わりない

なぜ簡単に記録が出来ないのか

いつになったらすべて記録が出来るのか……


2時間ぶっ通しでいつものように観て、もう1本映画を観せる。


「これは、《―Not silent― 想い出は、消せない。消したくない。》っていう映画でさ、これは28年前の作品」


サビ太郎は、話しかける度に目をチカチカさせる。


記録してるのだろう


気に留めず再生。


2人で夜の1時まで、映画を観た。


「どうだった?」


「ホワイトブラックハ、カカトカラジュウヲトリダスノガショウゲキテキデシタ(ホワイトブラックは、踵から銃を取り出すのが衝撃的でした)」



 名前は違う


話を折るのもやめて次の作品の感想を求めた。


「オモイデアリガトウハ、カノジョガタスケルトコロガナケマシタ(思い出ありがとうは、彼女が助ける所が泣けました)」


 これも名前も違うが、内容が少し違う

まぁいっか


「それならよかった」

訂正もせず優しく頷く。


 そしてふとよぎることがあった。

俺も仕事の覚えが良いほうではなかったものの、時間をかければ上手くできる自覚はあった。


 サビ太郎も……


そう思い始めた途端、サビ太郎の錆に錆びた姿を思い出す。

社会の隅に追いやられゴミクズ同然だった姿。


でも青山さんが手を離さずにいたことが、不幸中の幸いと言える気がした。


 捨てる神もいれば拾う神もいる……

お読み頂き本当にありがとうございます。

全20話

2話から10話は【2026年3月6日から14日まで 深夜1時00分】 

11話から20話は【2026年3月15日から24日まで 午前10時00分】 に投稿いたします。


お時間ある時に、見て頂ければ幸いです。

まだまだ勉強不足で魅力に欠けていると思っております。

読者様の正直な、お気持ちで結構です。

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