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サビたロボットと、ダメなヒト。  作者: あおば がしゅん


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3/20

出逢い

帰宅すると、カバンで壁に八つ当たり。


チッ!クソっ



苛ついたまま、飲まず食わず着替えず寝てしまった。



「お世話になりました」ぼそぼそとした声で頭を下げ、午前11時ごろバイト先を去る。


≪お世話になりました≫って言葉何度目だ


少しの荷物を抱えながら、帰り道を抜け殻の表情で歩く。

向かいから強い風が吹く。



逆風の中歩いていると、足元で小さく囁く声。

 カサ



??


下を見つめる。

しゃがみ込みそれを手に取る。


≪てつなぎ 従業員募集! プリムラ通り商店街366-8番地 (美容室なかむら様前)≫


スマホを片手に、地図アプリを開き住所を入力。


「てつなぎ……」

住所(ここ)って……


俺は、所々破れていて薄汚れた従業員募集のチラシをもう片方の手に持つと、手荷物と共に今歩くコンクリートの道の先を見つめた。


ってことはたしか……


誰かに誘われたわけでもないが、俺は何かに引き寄せられるようにその店へ向かう。



店の前。


ここって昨日立ち止まったとこじゃん


 昨日電話が来てよく見られなかったけど、妙に気になり立ち止まった店。

扉の前に一段段差がある。片足をかけて、その店内をドアの窓からのぞき込む。

人が居るのかも不安になるほど薄暗い。


 でも段ボー


「あの従……」


「わっ!!っとっと」ガン!!

 

 後ろからの唐突な声に驚いて振り向き様に段差に足を引っ張られ、ドアに背中をぶつけてしまう。


 「って!!!」


そのまま盛大に尻から地面に転んだ。


 「だっ大丈夫ですか!?」

揺れる世界に、1人の女性と目が合う。



その女性に「せっかくならお茶でも」と店内へ誘われ、お言葉に甘えて中に。


工業用の油か?それとも自動車用の潤滑油か?なんの店だ?


段ボールが積み重なる、油臭い店内を突っ切るように歩く。 


店内に入るとひとまずお互いに自己紹介。

「ここ≪てつなぎ≫の店主で青山(あおやま) と言います」

この店は、ロボットの修理用部品から分担型機種だけを揃えた専門店。

聞けば従業員の募集は1年前で締めきっているらしい。


だからか

紙の状態からしても納得。


「悔しいんですけど、ここはもう閉店なんです」


少し唇を噛みながら、本当に悔しそうな表情で教えてくれた。

「そう……だったんですね。なら仕方ないです」

雑談した後、彼女へ挨拶をしドアに足を向け帰ろうとした。


コツン


つま先に何かが当たり、帰るのを拒まれる。


ん?


拒んだ相手は錆びたロボットが、テディベアのように座り込んでいた。


子どもと話す時のように、しゃがみ込み顔を覗き込む。



 「それ……13年前の旧式ロボットなんですよ」


「旧式……」

見た目では気付かなかった。


でもこの形はそうか

そもそもどんな使い方をしたらこんなに錆るのか


「……でも不良品で家事記録が出来ず、買われては返品されを繰り返して来てるんですよ……」


青山さんは、諦めたような口ぶり。


「……今の俺みたいだな」


「え?」青山さんは聞き返してきた。


「え?」オウム返し。


「今……なんか」


「あぁ。今の俺と少し似てる気がして」

苦笑いをしながら思わず自分のことを伝えた。


「……大変だったんですね」


「いや~働けてたことは感謝してますし、クビも今の生活も俺の責任なんで……」


 そう言いながら、目に生気のない無機質なロボットを見つめる。

タスケテ…


なんだ……この感覚……

「あっあの……これください。いくらですか?」


「えっ?」

青山さんは聞き返してきた。

お読み頂き本当にありがとうございます。

全20話

2話から10話は【2026年3月6日から14日まで 深夜1時00分】 

11話から20話は【2026年3月15日から24日まで 午前10時00分】 に投稿いたします。


お時間ある時に、見て頂ければ幸いです。

まだまだ勉強不足で魅力に欠けていると思っております。

読者様の正直な、お気持ちで結構です。

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