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サビたロボットと、ダメなヒト。  作者: あおば がしゅん


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2/20

4か月後

2035年春

コンコンコン


俺の目の前に、ホログラムビジネスデバイス。


……さてと。行こうか

 

2人は、ドアを開ける。

 

みなさんには心の支えはありますか?

"辛い時は、とりあえずご飯を食べて。泣けるだけ泣いて。心の支えを見つける"

「この言葉が、心の支えです。そしてもう1つ。今の私に『待たせてごめんね』と助けてくれた大切な人が居ます」 

……そんな助けられっぱなしの私が、今度はこの世界の片隅で生きる誰かを支える番です。



遡る事7年前、2028年5月20日に会社をクビになった俺は、気付けばバイトがすでに4か所目。

同時に4か月が過ぎようとしていた。

クビが決まった3日後に、社内恋愛で同い年の彼女からフラれ踏んだり蹴ったり。

 


でも前から、俺の部署の先輩と浮気されていた。

気付いてたけど気付かないふり。


浮気されたのに責める事も泣くこともなかった。

と言うかクビが決まった時、仕事の事で頭がいっぱいだった。


そんな俺の最近は、コンビニでアルバイト。


「あざっした~……」

「アナタ、ヤルキアリマスカ?(あなた、やる気ありますか?)」

目の前で人間を諭すように立っているのは買い物ロボットだ。

 

 「あぁ……はい。金は稼ぎたいですし」本音で話す。


1年前この国は、大きな転換期を迎えていた。

外資系企業の傘下に世界初AIロボットだけが在籍する企業が出て来たり、家庭でもその流行(えいきょう)が出始めていた。


家事や行政などの手続きをAIロボットに行わせることが主流。

全機能型・分担型の2種類。


全機能型は、高性能会話機能付きで家事から各契約や役所の手続きを全て行う機種。

分担型は、会話機能は付かず指示機能が付き契約時に家事・契約・手続きを分担させるかを設定できる機種。


全機能型は高額で並の家庭では買えない。そう言った家庭は分担型を購入するのが主流だった。

 


どんな時代でも、新しい物を嫌う者。

様子を見る者。

すぐに流行に乗る者。

人は変わらないなと思いつつ、俺は手を出したことがなかった。


数年前に起きた文明開化の様な分断の時代と、そう大きく変わらないやり取りが続いていい気分ではなかった。



 「コレダカラアルバイトノニンゲンハ……(これだからアルバイトの人間は……)」

 

ペットが飼い主に似るって言うけど、会話記憶機能付きのロボットは持ち主に似るんだろうな

……知らんけど


「すみません」

虚無の目でロボットのぶつくさ言う機能(こえ)を聞き流し謝罪。 


てか何でロボットに謝罪しなきゃいけねぇんだよめんどくせぇな

ただでさえ人間関係で悩むのに……余計な高機能増やすなよ……


バイトが終わると気怠く目も見ずに、若い高校生のバイトの子らに挨拶。

「おつかれっした~」


お疲れ様で~す。でさ~……


若い2人の声を半分受け流しながら、ドアを閉める。

ポケットからスマホを取り出し、銀行アプリで残高確認。


貯金残高¥4444


これで一か月食いつながないとか……

今月面接も控えてるし、請求もあるし…税金も……

存在してるだけで金を払うとか……


会社員時代の貯金は切り崩したくないと心に決め、現在の収入に頼り続けた。


「ゾロ目……いいことあるのかな……なったこともねぇけど。チッ」

小さく呟きながら舌打ちをする。

生活が必ず良くなるでもあるまい。スピリチュアル的なことだろと首を横に振り信じなかった。

とゆらゆらと思いつつも、理性とも言い難い野生的勘が働く。妙に心に引っ掛かる。


……遠回りするか


何を思ったのか俺はいつもなら避ける、遠回りの道を選択し歩き始めた。


なにかの事務所の前を通り過ぎる。

探偵事務所……知らんかったわ。毎日見てるのに


右折。


へぇ時計店。メガネ……錆取り専門……か


左折。


へぇ~


いつも下を向いていた目線が、正面を向き始めていることに俺は気付いていなかった。

左折した先のとある店の前に来るとその店が妙に気になり立ち止まる。

 

 ブー……ブー……ブー……


太ももに感じる振動がその気になった感情を閉ざす。


 あっ店長



「お疲れ様です」


「お疲れ様。星原君困るよ~」


「えっ?何がですか?」


「君の接客態度が悪いってクレームが来てるんだよ。都度言わなかった俺も悪いけどさ……6件目だよ?なにかあった?」



 ……またか…でも貯金も…考えるのも嫌だな……


「……俺辞めます。明日荷物取りに行くんで」


 「ちょっ」


 ぷーぷー


また1つプライドの殻に閉じ籠もった。


 だる……帰ろ


久しぶりにゆっくり歩いた遠回りの帰る道を、少し強い風のような歩幅に切り替える。

お読み頂き本当にありがとうございます。

全20話

2話から10話は【2026年3月6日から14日まで 深夜1時00分】 

11話から20話は【2026年3月15日から24日まで 午前10時00分】 に投稿いたします。


お時間ある時に、見て頂ければ幸いです。

まだまだ勉強不足で魅力に欠けていると思っております。

読者様の正直な、お気持ちで結構です。

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