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サビたロボットと、ダメなヒト。  作者: あおば がしゅん


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19/20

スピード

その後、彼女の空と汐路さんは企画開発部。

経理部には汐路さんの奥さん。

汐路さんの奥さんは、俺の先輩にもあたるらしい。

10年前退社こそしたが、株式会社咲美工業(さきみこうぎょう)で社内史上最年少で部署異動をした敏腕の経理部だったらしい。


俺は代表取締役社長になった。


しかし部署や役職は名ばかりで、みんな手探りで協力し合った。


会社の場所は……

 

会議中


コンコンコン


ドアをノックする音。


俺は見覚えのある顔を見て驚いた。


「どうした?」


「おいおい今日仕事だろ?」

 汐路さんも元部下の姿に驚きを隠せない様子。スーツ姿の後輩だった。


「突然すみません」

苦笑いしながら立っていた。


そのまま"辞めてきちゃいました"たったその一言で意味が分かった。

汐路さんと目が合う。

 

「履歴書は?」

2人同時の言葉の直後には、目の前に出ていた。

 

会議を一時中断し面接を終える。



「と言うわけで仲間が増えたので会議を進めましょう」

後輩の久世君は営業部へ配属。


その後、田村社長の協力で、2年半を費やし製品が完成。


初期構想のアイデアは、安全面の観点から先送りにされた。

代案は出て来たが、社内での賛否は真っ二つ。

しかしあえて問題になった”サビ太郎”を改めて"SKKU-1〘サック‐ワン〙"を改良し個人情報保護を強化された新しくも古いロボットが完成。


商品名から過去の機種が連想されると判断し、"ネコヤナギ"として発売。


商品名だけは議論がまとまらなかったため、結局社長の俺のネーミングセンスが光った


大緊張のまま、全国チェーン家電量販店企業シシザホールディングス(店舗名:アスノリズム)の販売店契約を結んできて、1店舗の一角を借り立っていた。


「社長〜緊張し過ぎですよ〜」

この全国でも、かなり有名の家電量販店と契約をしてきた優秀な後輩が背中をつついて来た。


「イジるのやめて!吐きそうなんだから」

腹を擦りながらふざける後輩を睨見つけるも、後輩はニヤニヤしながらこちらを見つめてきた。



立ち寄るお客さんに話しかけ商品の説明をし続けた。


その後、俺たちの元居た会社、株式会社KAZOKU(かぞく)Robotics(ロボティクス)の前社長以降、後任が決まらずにいたため、極力角が立たぬよう事業継承という形で譲り受けた。

騒動直後半数は辞めてしまった人たちも居るが従業員はそのままで社名を改めた。


” 株式会社てつなぎ ”

 

後輩が店舗での契約を果たしたという報告してきた日の夜。

汐路さんは、無理が祟ったせいか心筋梗塞でこの世を去った。

設立メンバーは4人となったが社長室・ロビーには、開発者2名の写真を飾らせてもらった。


最期の言葉は2人とも

”またな”

だった。


――――

お父さん…汐路さん…必ず受け継ぐから…最初は私の為だったなんて…早く教えてほしかったよ……

父の墓前でしゃがみ込むと手を合わせ目を瞑る。


サビ太郎から出て来たブラックボックスの内容は、データ変更不可の初期構想の設計図と設計者名のデータが残されていた。


太陽君が寝た後の、独りきり電気も付けず。

パソコンに浮かび上がる星と似て異なる規則正しく光り瞬く膨大な過去のデータの中。

流れ星のようにマウスを一番最新の日付に「カチッ」と願いを受け取る。


音声データ……これか

父の言葉(にくせい)が。


…………

妻とはもっと長く長く一緒に居られると思っていた。娘も幸せな笑顔のままいてくれると思っていた。

でも、妻とは死別。娘は度重なる死を目の当たりにし心を閉ざしてしまうのかと思った。

だから俺はどうしたらいいか分からなくなった時、後輩が寄り添ってくれた。

傷付いた時に必要な事は、「吐いてもいいから飯を食う事」と「涙が出なくなるまで泣く事」と「なんでもいいから心の支えを見つける事」。


笑顔でいる事は、それらをすべて行ってから。


空。空が壊れる姿は見たくなかったというのが本音だけど、作った笑顔で俺に接してくれたことは心の支えになった。

あと子どもの頃、言っていた夢はまだ色あせていないよな?

高校も工業高校行ったし。

先に父さんがたくさん勉強をしておく。それをいつか伝えたい。

いつか父さんとなにか開発しよう。

情けない父親だけどこれからもよろしくな。

…………

私は頭を抱え涙を夜通し流し続けた。


――――

株式会社咲美工業(さきみこうぎょう)が営業不振になる1年前の出来事。

「水月さん、大丈夫っすか?」

ビールを失いぽっかりと空いたコップに新しいビールを注がれる。

「あぁ……俺も……まぁそのあれだけど……空の心の方が心配なんだよ」


「奥さん。母親を突然失った喪失感が一気に来て……ましてやクラスメートも事故で……そりゃそうなっても……すんませんこんな時に」

後輩は、二階のある天井を見つめる。


「いや来てくれてありがとう」


「もちろんすよ。もしよかったら、空ちゃんのためにロボット創ってみませんか?」

「空の為に……?」

娘が、ロボット博物館ツアーに参加したあと『開発者になる』と言っていた幼少期の表情が鮮明に。


その後完成したのは、対話型ロボット。

人の表情だけで、心の状態を検知できる。

最後までお読み頂き、本当にありがとうございます。

次回(最終回)は、【2026年3月24日 午前10時00分】 に投稿いたします。


まだまだ魅力に欠けていると思っております。

読者様の正直な、お気持ちで結構です。

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