始動
汐路さんと後日飲むことに。
「本当に星原君の行動には、驚かされたよ」
「すみません」苦笑いをビールで流し込む。
「久世君に支払えだなんて。聞いたことない。まぁ言われた通り久世君に半額だが支払いをしておいた」
社長と汐路さんが来た日に提示した交換条件は、後輩も苦しんでいると本人の会話から察することができたためその分は全額一括支給で特別報奨金にしてほしいとお願いをしたがさすがに全額は無理か
「彼女にはこっぴどく叱られたんです」
「だろうな」汐路さんは大爆笑。
「笑い事じゃないですって」
これでよかったんだよ……ね
「汐路さんそう言えば気になること聞いてもいいですか?」
「おぉなんだ?」
ビールを飲み干すとジョッキを机にゴンと音を立て聞く姿勢に入る。
「この前、かかとの後ろになんとかって」
汐路さんは思い出したかのように、飲みながら頷く。
「えっと……サビ太郎……だよね?あれ試験機かもしれないと思って」
試験機?
「どういう意味ですか?」
思い出したことを、淡々と列挙していく。
「……それ本当ですか?」
「試して欲しいと言うか、試させてくれないか?」
頭を下げる
快諾し翌日、インターホンが鳴る。
「どうぞ」汐路夫婦を招き入れる。
彼女も同席。
「……と言うわけなんだ」
何も知らないのは彼女だけだったので改めて説明した。
「じゃあサビ太郎が、試験機なら……」
彼女はわくわくさせながら聞く。
サビ太郎は首をかしげる。
3人はうなずく。
「ブラックボックスは、ここにあるはず」汐路さんはそっと指で指して呟く。
「会社も所在を掴めていなかった試験機が…」
サビ太郎に右足で左足をつつくように、指示を出す。
カンカン
ピピピ
カシャン
……出た
4人は驚きを隠せなかった。
これ間違いなく試験機だ……
でもどうして外部に…
汐路さんは言葉と首を傾げる。
…………
後に”夜道を歩いた発明者”と異名が付いた。
株式会社KAZOKU Roboticsの前身≪株式会社咲美工業≫時代に入社。
入社20年目の時、それまではロボットの部品メーカーだった株式会社咲美工業。
社長が世代交代をした途端に、営業不振。
それを打破するために、当時の先輩 水月 和に声をかけ、2人で独学だけでロボット開発に乗り出す。
結果生み出されたのが試験機(SKKU-1〘サック‐ワン〙)が完成する。これが後のサビ太郎。
色は試験機の為、鉄の色。シルバー
開発者が[改ざん不可のデータ]を入れたブラックボックスは、この頃大流行したスパイ映画≪ブラックボックス≫に登場するシーンをモチーフにしてかかとの下に入れた。
信頼していた同僚に設計図を見せる。
しかしその翌日には、自身の功績と偽られ当時の社長に報告をされてしまう。
そのまま本格的な試験と販売に向け会社も大きくかじ取りをする。
騙した同僚がチームリーダー。自身は副リーダーに任命されるという苦痛な結果で開発が進む。
水月 和は、不服として声を荒げるも社長と対立し退職。後にプレムラ通りに≪てつなぎ≫を開業。
インターネットが世間一般になる一歩手前の時代。
情報の普及の早さが裏目に出る点に着目。
ロボット所有者の個人情報保護の観点から、特殊の配線をしていた。
しかし初期構想ではなく、別の使い方で開発が進んだ。
予算の都合上記録が確認出来ないまま開発チームは、記録が早い配線を優先。
もちろん個人情報保護の側面は脆弱に。
基となる設計図は個人情報の旨を掲載していたが削除されていた。
その為、手を引くことを決意に至る。
ブラックボックスの存在は、トップシークレットにしたいという開発者2名の意向から設計書にも記される事なく忘れ去られ闇の中に閉じ込められた。
その開発者の名は汐路 幸平
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全20話
11話から20話は【2026年3月15日から24日まで 午前10時00分】 に投稿いたします。
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