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GREY  作者: 柿谷巡
21/27

21話「導きのままに」

 


 「・・・全部・・・思い出したわ」



 グレイシアは辺り一面の燃え盛らんばかりの炎を目にし、今まで忘れていた記憶を全て思い出したのです。



 その瞬間、強い波によって再び床が大きく揺れ一気に船が傾くのを感じました。



 デッキまで続く階段を登っていた貴族達は、あまりの大きな揺れに引きずられるように、階段からバタバタと転げ落ちました。



 炎によって廊下や部屋の窓が大きく割れ、そこへなんと大量の海水がゴボゴボと船内に入って来てしまったのです。



 「このままだと船が転覆するわ」



 彼女は青ざめてそう言いました。



 一度に様々なことが起こり、グレイシアはもういっそ今の状況を受け止めることを放棄したくなりました。



 再び周囲からは恐怖めいた叫び声や困惑した声が上がり、全て飲み込んでしまいそうな程に勢いを増して入って来る海水に、誰一人として成すすべがありませんでした。



 グレイシアとエリオットは我に返り、水没しかけているデッキへと続く階段の手すりまで急いで何とか水をかき分けて向かおうとしました。



 しかし、再び大きく船が傾き、今度は思い切り頭を殴られるような衝撃と壁に体を打ち付け、それと同時にはドクドクと侵入してきた海水が、グレイシアとエリオットの二人を頭まで一気に飲みこんでしまいました。



 二人はどうすることも出来ず、そのまま海の脅威により溺れてしまいました。



 グレイシアはただ朦朧とする意識の中、もう何もかもお終いだと思いましたが、その瞬間彼女の脳内に誰かが直接語り掛けてきました。



 「私の名を呼びなさい、グレイシア」



 水没した船の中、大量の海水をのみこみ沈んでいく彼女は硬く目を閉じたまま、彼女はすぐにその名を頭の中で唱えました。



 「海の精霊、メネシア」



 すると何か火花が散ったような電撃が体中に走りました。



 そして彼女は自分の体が見る見るうちにまるで浮きの様に軽くなっていくのを感じ、それと同時に意識が途絶えました。



 この長きに渡る最悪な夜はついに明けました。



* * *



 彼女は強い光を感じ、恐る恐る目を開けるとそこには、空の青い色と太陽のピンク色が散乱して薄い水色からピンク色のグラデーションのような美しい朝焼けの空が広がっていました。



 グレイシアは自分が仰向けになって倒れていることに気づき、すぐに跳ね起きて辺りを見回しました。



 すると辺りにはまるで浜に打ち上げられた魚のように彼女と同じく船に乗っていた貴族達がまばらに倒れていました。



 そしてすぐ側に先ほどまで自分たちが乗船していたはずの、ジルフォード侯爵ご自慢の蒸気船のようなものがありました。



 船は横転し焼け焦げて原型を留めず、本当にボロボロになっていましたから、その船が先ほどまで自分が乗っていた豪華客船だと言われても全くピンとこない様な見た目になっていたからです。



 彼女はその船の焼け果てた姿にぞっとして目を逸らしました。



 彼女は自分の足元をふと見ると、辺り一面に真っ白くてまるで粉のように、さらさらとした美しい砂浜が広がっていました。



 そしてその遠くを見ると、息を飲むほどに美しい淡い水色の海が眩い朝の日差しに照らされてキラキラと輝いていました。



 グレイシアは思わずその美しい光景に目を見張りました。



 そして、彼女は幼い頃、母の腕の中でこの美しい浜辺の光景を目にしたことを思い出しました。



 彼女は自分の頭上にある、出っ張った崖の上にそれは立派な邸宅がそびえたっていることに気づきました。

 


 ようやく彼女は自分達がとんでもない場所に漂着したわけではなく、ここがルーヴァント岬であることと、何故か全焼し沈没したはずの船が無事に目的地まで辿り着いたことを理解しました。



 それと同時に、溺れている自分をまるで救うかのように、脳内に語り掛けてきた声の主を思い出しました。



 「あれは…やっぱり」



 彼女はそう言うなり、すぐさま立ち上がると全身が濡れていて、体が芯から冷えていることに気づきました。



 彼女は海水の染み込んだそのずっしりとしたドレスの重みに歩きにくさを感じましたが、構わず浅瀬に打ち上げられた魚の様な貴族達の中からエリオットの姿を懸命に探しました。



 次第に貴族達は徐々に目を覚ましていき、辺りの様子を不審そうに見回していました。



 彼女はようやく見覚えのあるミルクティー色の髪の少年の姿を見つけ、彼の元へ一目散に駆け寄りました。



 彼はまだ目を覚ましておらず倒れて仰向けで寝ていました。



 彼女は彼がエリオットだと確信し、彼を起こそうと肩を揺さぶりながら名前を呼びました。



 エリオットは顔をしかめ、はゆっくりと目を開けると、意識がまだ覚醒していないのか眠たげな目でグレイシアの方を見ました。



 「んん・・・・??」



 彼がそう呟くと、彼は一気にはっと目が覚めたようで体を起こし、目の前の彼女にこう言いました。



 「グレイシアか、俺達‥生きているんだな。ここはどこだ?」



 彼はそう言うと、後ろを振り返りました。



 彼は、目の前に広がる鏡のように透き通る美しい海を食い入るように見つめていました。



 冷たく澄み切った朝の空気と打ち寄せる波の音が2人を包み込みました。



 二人は思わず黙って、何事も無かったかのようにその場に留まりたい気分になりましたが、ふと自分達の斜め前の頭上に崖の様な陸地があり、そこに巨大な邸宅のようなものが立っていましたから、エリオットも感覚的にここがルーヴァント岬なのだと悟りました。



 「俺達、助かったみたいだな」



 彼はそう言うと立ち上がり、グレイシアの体を引き寄せ抱きしめました。



 「お前が無事でよかったよ」


 

 彼は噛み締めるようにグレイシアの耳元で言いました。



 そして、彼はグレイシアと正面から向き合いました。



 彼女はエリオットの安堵したような表情を目にして思わず微笑みました。



 エリオットは、彼女の濡れたブロンドの髪に優しく触れました。



 それから彼は、彼女から少し離れ確認作業に移りました。



 装備した銃やナイフがある位置を確かめ、そして自分が着ているコートを脱ぎ、ぎゅーっと絞りました。



 水分を吸い込んだコートは絞ると大量の海水が出てきました。



 彼はそれを砂浜の上に置くと、拳銃を分解してその上にのせました。



 「ああ、まずいな。銃が全部駄目になっちまった」


 

 彼はそう言うと、鬱陶しそうに濡れた髪をかき上げました。



 「ここがルーヴァント岬ね。王族の私の両親が住んでいたとされる城がある」



 彼女はそう言って水平線へと目をやりました。



 エリオットは彼女の言葉に驚いたように目を見開き、こう言いました。



 「お前、もしかして」



 彼がそう言いかけるとグレイシアは確信を持ったように、堂々とこう言いました。



 「ええ、全て思い出したの」



 彼女の言葉を聞いてエリオットは、彼女こそがアンドレア女王の娘のグレイシアなのだと静かに理解しました。



 エリオットは、頷くと彼女と一緒に頭上にそびえる大きな邸宅を見つめました。



 そこは石造りの城壁に囲われ、青々とした木々が周囲を覆うように生えていました。



 まるで塔のように雄大にそびえたつその邸宅には大きな目立つ出窓が数個ありました。



 「あれが、恐らくヴァンチェスター公爵の居る邸よ」



 彼女は邸宅を見つめながらそう呟きました。



 「貴方も知っての通り、私は宝物庫の独房の様な場所から脱出した後、ノア様の部屋に閉じ込められた。



 ノア様の部屋の棚の引き出しにね、ある手紙が入っていたの。



 送り主は彼のメイドいや、恐らくヴァンチェスター公爵だった。



 その手紙にはネックレスを肌身はなさずつけるようにと書いてあった。



 ヴァンチェスター公爵は、ノア様にネックレスをつけさせ彼を操ることによってずっと私達の動向を追っていたのよ。



 ようやくそのことに気づいて、ノア様の首元からネックレスを奪ったら、彼は意識を取り戻し、本当に別人の様になったわ」



 彼女の言葉に、彼は黙ってしっかりと耳を傾け、頷くとこう言いました。



 「なるほどね、通りでノアの奴。お前にしつこく付きまとっていたわけだ。



 あいつの狙いはお前の持つ王族の力か?」



 彼の問いかけにグレイシアは一呼吸おいて冷静にこう答えました。



 「ええ、きっとそうよ。



 ヴァンチェスター公爵は私の持つ王族の力を手に入れる為、ずっと私を探していたの。



 後、思い出した。



 実は私を今まで育ててくれたベンは、私の専属の執事だったの。



 王族の子供が実は生きていたなんてことが周囲にバレたら、きっと狙われてしまう。



 そのことを恐れ、決して人目につかぬようにゴードン山の奥で私を育ててくれたんだわ」



 彼女はそう言うと、再び言葉を続けました。



 「ヴァンチェスター公爵は今も、何処かで私を狙っている。



 なにせ私がかつて滅びた王国のアンドレア女王の娘、グレイシアだからよ」



 彼女は自信に満ち足りたように力強くそう言うと、エリオットを見つめました。



 彼女の灰色の瞳は強い光を放ち、朝焼けの日差しに照らされた彼女はまるで天使の様に神秘的に見えました。



 エリオットは少し微笑んでから、彼女に力強くこう言いました。



 「そうだな、お姫様。何処までもついていくぜ」



 彼はグレイシアの肩を優しく叩き、はにかみました。



 グレイシアは彼の優しさに思わず、涙しそうになりました。



 「というか、ノアが操られているってことに気づいてネックレスを奪うとか、流石だな」



 片眉を上げてそう言ったエリオットに、グレイシアは彼の肩を少しだけ叩いてこう言いました。



 「貴方には叶わないわ」



 その瞬間、エリオットはグレイシアではなく邸宅の方を睨みつけていました。



 「兵隊がやって来ている。逃げるぞ」



 エリオットは素早く先程の拳銃とナイフとコートを回収しながら、彼女に言いました。



 二人は走って一目散にその場を離れ、遠くの岩陰から兵隊達の様子を伺うことにしました。



 彼らは公爵の命令の通りにグレイシアを探して辺りを見回していましたが、数名の貴族達に怒鳴られ行く手を引き留められていました。



 貴族達はてっきりヴァンチェスター公爵の手下が、予定通り自分たちを茶会へ案内しに来たと思っておりましたから、自分たちを誘導する気のない兵隊達に困惑してこれまでの度重なる怒りがピークに達しており、誰もが凄まじい形相で怒りを露わにしていました。



 渋々兵隊たちは貴族達をヴァンチェスター公爵の邸宅へと案内し始め、貴族達を連れて邸へと続く長い急な階段を登っていきました。



 グレイシアはエリオットに耳元で囁きました。



 「城はヴァンチェスター公爵の邸宅の反対側にある。



 城の辺りは海に囲まれていて、長い大橋が掛かっていたはずよ」



 彼女はメアリーとダニエルから聞いた話や幼い頃の記憶を思い出してそう言いました。



 しかし、彼が幾ら辺りを見回そうが、目を凝らそうがそれらしき大橋や城などありませんでした。



 「見当たらないな」



 エリオットは神妙な顔つきでそう言いました。



 するとまたグレイシアの脳内に、直接誰かが語り掛けてきました。



 「こっちへ来なさい。グレイシア」



 彼女はその声に驚いてすぐに辺りを見回しましたが、すぐ傍で果てしなく広がる海を見つめているエリオットの姿と、辺り一面に広がる砂浜しか見当たりませんでした。



 彼女は自然とその声の主が、海の精霊だとわかりました。



 次第にその声は大きくなり、グレイシアの頭に大きく響き渡りました。



 その瞬間、彼女はどこへ向かえばいいのか感覚的に分かりました。



 それは彼女が幼い頃、本当の両親と過ごした思い出の地は、目の前に広がる海があった場所に存在したからです。



 彼女はエリオットと隠れていた岩影から離れると、なんと一点を見つめて海に向かって歩き出しました。



 エリオットは咄嗟に躊躇なく、海に突っ込んでいこうとする彼女を引き留めようと、彼女の手首を掴みました。



 しかしグレイシアはエリオットの方を振り向いてこう言いました。



 「海の精霊が私に教えてくれているの。



 かつてアンドレア女王と住んでいた城に案内してくれるみたい。ついてきて」



 エリオットはしっかりと頷くと、最後に自分達の存在に気づいた兵士が居ないか観察してから、彼女の後を追いました。



 しかし、彼は思わず困惑しました。



 なにせ先頭を進む彼女が、海の中を歩いて行こうとするからです。



 海面は彼女の下半身まで到達し、どっぷりと海水に浸かり始めたその時、なんとエリオットは自分の足元が大きくぐらつき音を立てて上へ、上へと上昇していくのを感じました。



 彼は自分の足元を見てから目の前に目をやり、思わず腰を抜かして尻もちをつきそうになりました。



 なにせ急に自分が立っている砂の地面が急に硬い石でできたごつごつした地面に様変わりし、辺りにはとても立派な石橋が掛かっていたからです。



 そして、その向こうには城壁に囲われたそれは見事な城が立ちはだかっていたのです。



 それは今まで海の中に隠されていた神秘的な遺跡のようにも思えました。



 グレイシアとエリオットは迷わずその石橋を渡ろうとしましたが、途中で石橋が崩れていて足場が不安定になっており、一歩間違えば深い海の底に落ちてしまうことが明らかでした。



 彼女が躊躇っていると、エリオットは彼女を軽々と抱きかかえて崩れた石橋の間をジャンプして渡りました。その後、気配を感じてすぐに後ろを振り返りました。



 「まずい。追いついて来ているな」



 彼はそう呟き、自分たちと同じように橋をジャンプして渡ろうとする二人の兵隊の姿を見つけました。



 エリオットはこちらの後を追ってくる兵士二人を撃ち、仕留めると彼女と共に先を急ぎました。



 二人は何とか長い橋を渡りきり、城の巨大な城門の前まで辿り着きました。



 巨大な要塞のような石造りの城門が目の前に広がり、周囲の石壁の壁面はひび割れており、大きな火災があったことを彷彿とさせました。



 城門だけでもここまで大きいのだから、多くの兵士がここで見張りをしていたはずです。



 火災によって多くの者が亡くなったことを想像して、彼女は心を痛めました。



 城門にあるはずの木製の頑丈な両開きの扉は焼け落ちてなくなっており、二人はすんなりと中に入ることが出来ました。



 その門を潜ると、広い庭園のような場所に出ました。



 そこには辺り一面にメネシアという青い花が咲いており、中央には石造りの装飾の施されたとても大きな噴水がありました。



 可愛らしい天使の石像が彫られた噴水口からは、勢いよく水が噴射され日の光を浴びてキラキラと輝いていました。



 グレイシアはそこで幼い頃、母親のアンドレア女王と水遊びをしたことを思い出しました。



 「懐かしい。この庭園でお母様とよく遊んでいたの」



 彼女は噴水の前まで行くと、感傷浸りながらそう言いました。



 それから、二人はふと花畑の中央にある装飾の施された大きな墓石を発見しました。



 そこにはルーヴァント王国の女王、アンドレア女王と彼女の夫であるローレンス殿下の名前が記され、女王へ向けたメッセージが刻まれていました。



 「偉大なるルーヴァント王国女王陛下、アンドレア・ルフィールド。



 彼女の功績と慈愛の心を我々は忘れません、国民一同より心からの敬意をここに刻む」



 彼女は墓石に刻まれている文字をゆっくりと読むとその日付を見て言いました。



 「今日と同じ日に、私の母であるアンドレア女王の墓石がここに建てられたのね。


 

 それにしても‥どうしてこんなに美しい花々が咲いているのかしら」



 彼女は目を閉じ、女王の死を悼んでから辺りを見回し、そう言いました。



 「この花はきっと、アンドレア女王が愛した花だったんじゃないか。



 亡くなった彼女を悼んで国民たちがここに植えたんだ。



 それをお前の言う海の精霊とやらが枯れないように守っているんだろうな」



 彼は慈しむ様な目で、その花々を眺めながら言いました。



 「きっとそうだわ。私のお母様は国民にも海の精霊にもそれだけ愛されていた。



 素晴らしい女王だったのよ」



 彼女はそう言うと、感極まり一筋の涙を目から流しました。



 エリオットは再び立ち上がると女王の墓石のある裏に思わぬものを発見しました。



 それは鋭い刃に女王の冠の様な模様が柄に彫られた、とても重みのある長剣でした。



 手入れはされておらず、年季が入っていそうなその頑丈で古風な剣が、地面に突き刺さっているのを彼はまじまじと見つめていました。



 グレイシアも彼の様子が気になり、側へ近寄ると、その柄に刻まれた文字を読みました。



 「女王陛下に忠誠を誓う、キース・スペンサー」



 彼女は何かに気づいてこう口走りました。



 「この剣、もしかして」すると突然耳を裂くような銃声が彼女の側で聞こえました。



 彼女は驚き、辺りを見回すとエリオットが彼女の知らぬ間に銃を数発、目の前の兵士に向けて撃った様でした。



 遠くで血を流して仰向けになってバタバタと倒れている兵士を目にしてから、



 カチャカチャと奇妙な音を立てて歩いて来る人物に気づいた彼女は、その人物に目を凝らしました。



 彼は品のいい真っ白な白髪を束ね、深緑色の金色の襟の豪華な宝石の散りばめられたコートを着て、頬に大きな傷があり貫禄の感じられる顔つきをした、長身でやや細身の年老いた紳士でした。



 彼は手に拳銃を持っており、腰に巻かれたベルトには美しい装飾の施された柄に長い剣身の立派な剣が携えられていました。



 グレイシアとエリオットは彼の身なりやその佇まいを目にした瞬間、この男こそが、ヴァンチェスター公爵なのだと言われなくても瞬時に悟りました。



 「逃がすな!追え!!」

 


 彼は後ろに控えている兵士たち数名にそう声をかけ、勇ましい表情でこちらに向かってきました。



 エリオットとグレイシアは見つめ合ってから覚悟を決め、自分達の頭上に大きく広がる焼けた城の中に入り、とても広いロビーに足を踏み入れました。



 そこはすっかり廃墟と化しており、天井には所々焼けて朽ちていましたが、美しい絵画が一面に描かれており、壁を彩るステンドグラスや窓は全て割れて粉砕し破片や柱の残骸や焦げた木片が散らばり、飾られていた調度品は全て跡形もなく崩壊していました。



 そして、二人の頭上には大きな焼け焦げたシャンデリアがあり、今にも落ちてきそうなほど不安定にぶら下がっていました。



 しかし全焼したはずの城の中は、腐敗臭や埃っぽい匂いは全くせず、不思議と澄んだ綺麗な空気が辺りを包んでいました。




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