表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
29/30

戻る日常


リゥトスとオットーがアルネシアに発った。

「さてと......エレナ。ちょっと話そうか」

台所で3人でお茶を飲む。

「エレナは、どうしたい?実家に帰るか?」

「いえ、私はここで働きたいです......それに......」

「ん?」

「あの...まだはっきりは分からないんですが......」

「うん」

「子供が......」

「えぇー」

「できたかも......と」

「そうなのーそれ、オットーは?」

「いえまだ。まだちょっと、もしかしたら......位なので」

「おめでとう。あー。できてたらいいなー」

「でも、主人が......」

「大丈夫。きっと。ね、タケシ」

「あ、あぁ。当分収監されるだろうが、極刑にはならんと言ってた。

リゥトスは、もう妹さんの保護に動いているし、組織が解明されたら、少し軽い罪になるはずや。

ただ、かなり時間はかかるぞ」

「そうですか.......」うつむくエレナ。

「エレナ、うちで産みなさい。住み込みで働けばええやん。ねぇ、タケシ、ええやろ」

「え?あぁかまわんよ」

「うん。そうしよ。楽しみやわー。どうする?タケシ、おじいちゃんよ」

「なんでやねん」

「だって、ねぇ」

「頭見るなボケ」

「アハハ」

いつだって、カツミはすぐに前を向く。

でもタケシは、明るく笑うカツミの、ほんの一瞬の翳りも気づいていた。

タケシとカツミには子供は出来ない。一旦死んで、ここに来たから。

辛いだろうが、カツミならきっとまた乗り越える。そうタケシは思った。


その後、タケシは工房に行って、バルザを家に呼んだ。

オットーの事を話すと、バルザは、

「まさか、オットーが......」と、信じられない様子だった。

「でな、バルザ。工房の方も、気いつけて欲しいんや」

まず、オットーは、実家の父親が病気になって帰ったことにする。

何事もなかったかのように振る舞うこと。

その上でーー

「変な動きする奴がおらんか、見ておいてくれ」

アルネシアで調べが始まったら、絶対動きがある。

無ければ良しだが......

「ちょっとでも気になるやつは、俺に教えてくれたらな、うまいことやる」

「うまいことですか」

「あぁ、任せとけ。別に無実でも構わんから」

「ええんですか」

「あぁ、べっちょない」

「わかりました」


カツミは村の娘を雇うことにした。

アルバイトを募集すると、10人以上応募が来た。

カツミは全部を面接して、2人を決めたのだが、

「違和感センサーが点滅するから、何やろって思うたらさ。

いやー、カレーよりな、制服狙いばっかりで参った」

どうやら村娘たちは、あの黄色に黒の縦縞の制服に憧れたらしい。

とりあえず、馬が扱える、身軽に動きそうな子を選んだそうだ。

「エレナは店には出せんから、ハーブティーの方を任せて、私がしばらく店について教えるけど、それはかまわんよな」

「あぁ、そうやな、しばらくな」

「売るだけや。すぐ覚える」

「男手いらんか」

「ハハ。カレーのぶっかけ方も教えとくわ」

「秘伝やな」

「そーゆーこと」


しばらくしてーー

バルザがタケシに耳打ちした。

ーーアイツです。

時折ふっといなくなるらしい。

気にしてみると、あれ?位のもんだと。

「ふーん。アイツ古いよ」

「そうですね。最初に来たヤツです」

「ちょうどええわ。うん。3日程かな。ほっといてええで」

「わかりました」


3日後、タケシは従業員を集めた。

「アルネシアの方で人が急に辞めてな、増員頼まれたんやけど」

グルっと見回す。

あ、目を逸らした。

ふーん。まあ違っててもええけど。

「君、行ってくれ。出来るやつがええって」

「えっ私ですか」

「うん。君位仕事できんとな。こっちも出せん」

「あ、わかりました」

「急ぐらしいわ。悪いけど、すぐ発ってくれるか」

「すぐ......」

「ん?なんか都合悪いか?」

「いえ。そんなことは」

「カイエンタイの駐屯所にな、来てほしいんやと」

「わかりました」

「すまんな、ほな頼むわ。

バルザ、頼むで」

「はい」

よっしゃ。これで、後はカイエンタイに任せて終わり。

白でも、向こうの仕事させりゃええし.....まぁ入れ替えやと言う事にしよ。


やっぱりなぁ。

カイエンタイで、はいたようだ。

貴族が裏にいたと言う。


「バルザ、ええ感してるなぁ」

「いやー。それ程でも」

「補充いるか?」

「いえ。アイツ大したことなかったんですわ」

「ほんまか」

「まあセンスがないっていうか」

「そらしゃあないな。まぁまた気ぃつけとって。まだ来るぞ」



カツミのカレー屋台はアルバイトの娘達が2人で出るようになった。

カツミはまたスパイス工房で何やら始めた。

「カツミ。今度は何作っとるんや」

「ん?今日は新しいハーブティーのブレンドやけど」

「ええなー。俺も何かできんかなー」

「なによ、煮詰まってんの?」

「煮詰まるも何も、もうたいがいできるもんは作ってしもた。

サスはバルザがやっとるし。

大体やなぁ、荷馬車やぞ、木や。

ハンドルないし、エンジン馬やんけ。マフラー煙やないで、糞や。どうにもならん」

「そやなー。あ!ええこと思いついた」

「何」

「その馬の糞。道によう落ちてるやん」

「おぉ。まあそやな。馬やしな」

「自動回収装置。あったら道、綺麗になるで」

「はぁ?そんなもん、馬のケツにバケツつけるとか?」

「そんなかっこ悪いもん、馬が嫌がる」

「いやタケシ、これ案外すごいで」

「バケツ?」

「ちゃうって。

衛生面でな、めっちゃええ。

んで、馬糞はええ肥料になった......はず。うん。集めて発酵やったけか」

「えー。肥料はともかく、確かに衛生面な。それはあるな」

「がんばれー」

「.......」

黙って背を向けたが、もう設計を考え始めているタケシだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ