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煮上がる異世界カレー


馬車に揺られて町に向かっている。

荷台には鍋がある。カレーの入った鍋だ。

オモジイに蓋の金具をつけてもらったので、今日はテストだ。

家で7割くらい煮込んだカレーを鍋に移して、よく焼いた石を3個入れて蓋をした。

馬車で1時間。うまくいけば程よく煮上がっているーーはずだ。

婚活ギルドの奥の部屋を借りている。クニオに言うと、二つ返事で貸してくれた。

きっと他にも誰か来てるだろうなー。


案の定ギルドにはモーリーが来ていた。

モーリーのカレー好きは相当なもので、いつも3杯は食べる。で、必ずお礼にとオレンジケーキを持ってくる。うちとしてはありがたいお客だ。

門番のサルコーも。今日は非番だったらしい。

あとはクニオとオモジイ。

「どうじゃろ。うまくいったかのう」

「開けてみるね」

蓋の金具を外し......。ん。

ぴったりとくっついて蓋が取れない。

ん?......なんかちょっと膨らんでる?

「僕が取ろう」

クニオが手を掛けギュッと力を入れたーー

パンッ!蓋は開いたが......

「あっちー」

クニオの前髪から黄色が滴っている。

カレーが飛び散ったのだ。

慌てて顔を拭きながら部屋を出ていくクニオ。

「火傷してないかな」

「ほっほー。大丈夫じゃ、神じゃもん」

「ならいいんだけどー」

「よくなーい」

あ、向こうで叫んでる。

「オモジイ、このままじゃダメだねー」

「そうじゃな、うん。ちょいと店に戻るぞ」

オモジイは蓋を持って出ていった。


さて、カレーはどうなったかな。

ゆっくりと底から混ぜてみる。

あ。いい感じ。食べてみよう。

皿に盛り付けていると、クニオが戻ってきた。

「もうー、着替えたよ。カレー臭とれてるかなぁ」

ん?神も加齢臭あるの?

てか、そもそも年齢自体わからんし。

ツッこむのやーめた。

「はいはい。どうぞ召し上がれ」


うん。いけそう。ちゃんとお肉柔らかくなってる。少し蒸発分だけ水を控えたら、いける。

あとは蓋やな。

「カツミちゃん、美味しいよー。

うらやましいなぁ、タケちゃん。毎日食べられて」

「いや、毎日は食わん」とタケシ。

「ワシは毎日でも」とサルコー。

モーリーは自分でおかわりしてるし。


しばらくすると、オモジイが戻ってきた。

「これでどうじゃろ」

蓋にネジが付いている。

「このネジを回すと、なかの空気がちょっと抜けるんじゃ。

石の温度で中の空気が膨張したんじゃろうから、これで抜けばいい」

「おぉーさすがオモジイ」

「でな、蓋のここにな、ネジの反対側を突っ込んでぎゅっと上げれば蓋が開く。どうじゃ」

「オモジイ様ありがとうございまするー」

オモジイ手のひらを出す。

「ん?」

「工賃込みで50エニじゃ」

「高い!ネジだけじゃん。20エニ」

「......40」

「カレー大盛り付けるから、30」

「ルー多めで」

「多めで30」

「なぁタケシ、コイツなんとかならんか」

「俺には無理です」

「しょうがないのぉ」


オモジイが食べた後もまだカレーは半分以上残っていた。

どうしようかなーと思っていたら、サルコーが

「悪いが、お持ち帰りで」

と鍋を差し出した。

「スサノーに頼まれた」

鍋、お持ち込みですか。やるな男神連合。

まぁ次は女神連やな。



翌週また町に出た。

今度はテラの宿だ。

「お久しぶりです」

「待ってたわよ」

テラとケツメ、スセリ、イチキー。

ニギーは鍋持ち込みで、代理参加だ。


「今日はいつものとちょっと違うの」

鍋のねじをゆっくり緩める。シュー。音が止まったら蓋を開ける。

みんなが覗き込む。

「あら、いつもより香りが柔らかいのね」

「今日のカレーはロックバード。ちょっと甘口です」

カレーは好評だった。

特にケツメは喜んだ。

「私、こっちのほうが好きです。フルーツですか?この甘味と酸味は」

「さすがや、ケツメ当たり」

「あと、なんとなくコクが。何だろうな」

「さすがのケツメもわかんないでしょ。

異世界食材だもんね、ナッツミルク」

「カツミちゃん凄いわ。本当にここの食材だけで作ってるのね。

これはちょっと真似できない味よ」とテラ。

エヘヘ♪


その後、タケシと合流して商業ギルドに向かった。

「どうだった?」

「ああ。これな」

ポケットから出した小さな金具。

ドワーフに作ってもらったそうだ。

以前働いていたドワーフ工房は、剣や防具ではなく、小さな金具や装飾品を専門に作っていたらしい。

タケシの注文に合わせた金具を作ってくれるのだ。

「これで出来そうだ」

良かった。また1つ進んだ。


商業ギルドに行きカナヤンと面会。奥の部屋に通された。

「ウカミーから聞いておるよ。噴水広場だな」

「はい。あ、その前に」

カレーを出す。

「まだお召し上がりになっていないと思って」

「あぁ先週な、スサノーにもらって食った。ワシにはちと辛かったが、うまかったぞ」

あ。男神連合か。

「これ、甘口なんです」

「ほぉ、では頂こう」

カナヤンは食べながら説明してくれた。

「噴水広場はな、ギルドの管轄なんじゃ。今、区画はあるがな」

普通の屋台なら、ほぼ費用は掛からない。通りの空き場所を自由に使えるが、ゆっくり食べる場所はあまりない。

噴水広場はベンチも多い。少しテーブルを置く場所も取れるのだ。

「1日20エニだ。いけるか?」

「はい。大丈夫です」

「では手配しておこう」

「ありがとうございます」

「日程が決まったらウカミーに言ってくれ。

うまかったぞ。では頑張りなさい。タケシもな」

「はい」

タケシが私を見た。

「頑張ります」


帰り道ーー

「後は、俺やな」

「そうだねー。タケシがんばれー」

「あぁ」

ポケットの金具をカチャカチャ鳴らした。



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