王様と同胞
城の応接室。やっぱり高そうな調度品で、2人とも落ち着かない。
「ねぇタケシ、どこに行ってたん」
「王様とドライブ」
「マジ?」
「あぁ、あれ、何か気づいてるな」
「何を」
「乗ったら分かるやん、乗り心地の違い」
「あー。そうよね」
「まぁ貴族連中にはわからんやろ。ただのちょっと珍しい荷馬車、位やろな」
「あー。何かジロジロ見てて嫌やったー」
「貴族なんてそんなもんやけどな、どうも王様は違うな」
「うん。イメージ崩れた」
「年も俺らと変わらんし、飾りっ気ないしな」
「でもランチはやっぱ緊張する」
「しゃあないやん。成り行きやし」
しばらくして、執事に案内されてまた別の部屋へ。
中から笑い声が聞こえる。
「どうぞ」
中に入ると、こざっぱりした部屋の中央に丸テーブル、奥に王様が座っていた。隣には、濃紺の人。
「あ、きたきた。こっち座って」
執事が椅子を引くので座ったが、何?またイメージ崩れる。
「ここは僕のプライベートルームだから、緊張しなくていいよ。
こっちはリゥトス、僕の親友」
「リゥトス=サカモトです」
「昨日は大変だったみたいだね、リゥトスに聞いた。
アルナの治安強化をカイエンタイに指示したから、もう大丈夫だからね」
「あ......リゥトス様、昨日はありがとうございました」タケシが礼を言った。
「いえ、父から警戒するよう、言われておりましたので」
食事が運ばれてきた。
焼きたてのパンと、何かの煮込み?果物と飲み物。
「どうぞ、食べながら話そう」
パンを取るカイル。
「カツミさんも食べて、ね」
「はい、頂きます」
この肉は......鳥だな。野菜と豆と....塩コショウそれと......なんだろこの香草.....
カツミが考えている横で、カイルはタケシに声をかけた。
「タケシくん、あの馬車。どうなってんの?」
「どう......」
「全然揺れない。うちの馬車より乗り心地のいい荷馬車なんてあり得ない、なぁリゥトス」
「そうだな、何か仕掛けがあるとしか」
チラッと見られたタケシ。
「揺れ防止装置を」
「何それ、ほらやっぱり。
ねぇ僕の馬車にもつけられないかなー」
「いえ、まだ試作品ですし」
「......ねえタケシ君」
カイルがタケシを真っ直ぐ見た。
「こっちに来ないか。工房は用意する」
え?どういうこと?
「いえ、それは」タケシがカツミを見る。
「......出来ません」
「カツミさんの店もこっちですればいい。店舗用意するからさ」
「ダメです」思わずカツミが言った。
「ん......」
「なぁカイル、それじゃぁそこらの貴族と同じだよ。
お前らしくないぞ」とリゥトス。
「彼らには彼らの暮らしがあるんだ」
「そっかぁ......じゃあさ、弟子を取ってくれないか」
「弟子ですか」
「あぁ、1人でいい。ここの技術者を1人、ミナセに連れて行って、教えてやってくれないか」
タケシがカツミを見る。頷くカツミ。
「わかりました。でも同じものをお渡しできるかどうかはわかりません。もう少し簡易的なものなら」
「うん。構わない。じゃあすぐに手配させてもらう」
カイルの部屋を出ると、リゥトスが横に立った。
「宿に案内するから付いてきて」
あー。迷子にならないですんだー。
「あの、リゥトス様」
「なんだい?タケシ君」
「リゥトス様のお父様は、もしかして......」
「ん?なに?
あぁ、そうだ。美味しかったって。スープ」
タケシがリゥトスを見つめた。
「......やっぱり」
ん?そうなん?
「で、サカモト様ですよね」
「あー。タケシ君気がついたんだ。
父はリョーマ=サカモト。今は隠居しているけど、5年前までカイエンタイの隊長だった。
僕は養子だよ。顔、似てないだろ」
ん?んー?
「やっぱりそうだったんですね」
なんのこと?わからんー。
「カツミあとで教える」
タケシがポンとカツミの頭を叩いて笑った。
えー。なによそれ。
「カツミさんてさ、カレーぶっかけ姉ちゃん?」
プッとタケシが吹き出した。
うわっ!なんでそんなことまでー。
馬車に戻ると、マシロとカースケが飛び出した。
「待った?偉かったね」
「人目につかんように荷台の奥に隠しとった」
リゥトスが馬に飛び乗った。
「じゃあ宿へ行くから付いてきて」
宿はアルネシアの大通りの一角。立派なホテルだ。
うわっ高そうー。
びっくりしていると、リゥトスが、
「大事なカイルのお客様だからね、今日はゆっくりして」
そう言わても、豪華過ぎて落ち着くわけがない。
何やねんこのベッド。マシロ寝させてええんやろか
夜になってやっとカツミは切り出した。
「ねえ昼間のさ、リゥトスさんの話、何やったん」
「あぁ、あれはな」
タケシはスープの老人の言葉に、違和感があったらしい。
「あれは土佐弁や。で、ちょっとあの時も話したけど」
神の加護の影響で、老化が遅くなること。それでもしやと思ったと。
「決め手はリゥトスの苗字とカイエンタイやな」
「坂本龍馬がこっちに来ててもおかしない。で、あれほどの人や、うんと長生きするやろし」
「そういうことかー」
「あぁ、帰ったらテラに聞いてみよか」
「うん。何かすごい人が、仲間?みたいな」
「あぁでも、リョーマはこっちでしっかりした地位も手に入れてる。リゥトスは多分貴族や。つまりサカモト家な。ここにきっちり根付いたということや」
「そっかー。でもなんかうれしいな。ホッとする」
「そやな。さあ寝よ。明日頑張ろ」
「うん。おやすみ」
翌朝ーー
カツミはスッキリ起きてきたが、タケシはあまり眠れなかったようだ。
「どないしたん、枕あわんかったん?」
「いや、色々考えてたらな」
「あー。弟子とか言ってたもんな」
「お前はいつでもグウスカ寝るな」
「いやー。お褒めにあずかりましてー」
「アホか」




