2話
▽7日目〜
それから魔素吸収を続けて1週間が経ったくらいだろう。俺が寝ている状態でもスキルは発動しているようでいつの間にか体が成長し当初の約3倍ほどの大きさに成長している。しかし、成長につれ水がかなり必要になってきた。木になって気付いたのだが、近くの雑草が地上付近の水分を吸収しているので俺がわざわざ下まで深く根を生やさなく行けなくなっている。しかし、俺の真下には大きな岩があるようで根がぶつかり水分が吸収しにくい。さすがに根を浅く広げると今後もこのペースで成長していくと倒れる可能性もある。なので俺の太めの根は岩を包むように伸ばし倒木しないようにし、比較的細い根は周りに生えている雑草などの根に絡ませ、雑草の水分を吸収していく。こうすることで水分を奪われた雑草は早々に枯れるし、枯れれば地面の水分の減りも抑えられる。
そして俺の魔力値なのだが、成長速度がかなり早かった。俺が植えられているこの地はもともと魔力が濃いので成長が早いようだ。
『とりあえず成長するのが一番だろう』
▽14日目〜
それからまた一週間後。意識を持って二週間といったところか。
魔力は変わらず増え続けるが、体の成長は最初ほど伸びなくなってきた。と言っても最初と比べれば5倍といったところか。幹も成人女性の太ももくらいに成長し枝や葉もかなり増えてきた。異常なほどの成長速度だ。
そして最初に根を巻きつけていた雑草は早々に枯れてしまって俺の周りには不自然なほど円形に地面が剥げている。まあ、これは仕方ないことだ。
しかし、思わぬ幸運もあった。それは雑草に根を絡ませたおかげで、雑草の水分以外にも『生命力』と『魔力』を吸収していたようでMPに加えHPまで増えていた。『生命力』とは生きる力で、ステータスのHPのことだ。魔力はMPだ。
なんだかかわいそうな気もするが、所詮草だ。俺の糧となれ。遠慮なくいただくことにした。そして生えていた雑草も魔力の影響か普通の雑草ではなかった。世界樹からの記憶を辿ると雑草の名前も分かった。その中でも特筆するなら『薬草』『魔力草』『幻覚草』『毒草』だろう。薬草は傷を癒す効果があるようで生命力にあふれた草だ。魔力草は魔力を苦いが多く含み魔力を回復する効果がある。幻覚草は名前の通り食べると幻覚が見え快楽へ誘う草だ。非常に中毒性があり、人族では高値で売買されているが国によっては食べるのを禁止されているようだ。最後に毒草だ。この毒草は食べると異常興奮や痙攣を起こし呼吸困難を起こす。死ぬ可能性が高いが助かっても麻痺が残る場合が多い。
『しかし薬草はHPがかなりうまかったな。もしあの大木の生命力を奪ったらどうなるのだろうか。かなりうまいのでは?』
俺は近くに生えていた比較的若い木々の生命力を奪うことを決めた。まあ、根を伸ばすためにはもう少し大きくならなければそこまで届かないのですぐにできないが。
▽
16日目〜
ここに来て一つ問題が起きた。いつの間にか青虫のような小さな虫が俺の葉を食べていた。むしゃむしゃと、俺の葉を食べていく青虫もどきは体調が4cmほどあり目が5つと気持ちの悪い姿をしている。まあ、見た目が悪い毛虫も成長すれば綺麗な姿になるというしな。しばらくは気にしていなかったのだが、この幼虫が葉を食べれば食べるほど魔力吸収の効率が悪くなってきている気がしていた。それと逆に幼虫は数時間でかなり大きくなった。10cmくらいだろうか。実に気持ちが悪い。しばらく観察していると、幼虫の様子がおかしくなりかなりがパンパンに腫れており、じっと動かなくなった。俺も愛着がわいたのか、幼虫が心配になり様子を見ているとプルプルと身体を震わせる。だんだんと葉の上でもがきはじめ、葉から落ちてしまった。
そして地面に落ちる瞬間、幼虫の小さな体が弾け飛び緑色の液体と肉片を周囲に撒き散らした。
『〜〜♪』
どこからか不思議な音が体に響く。記憶によると、これはレベルアップした際に流れる音らしい。俺はステータスを開いてみる。
名前 未定
部類 魔樹
種族 トレント
レベル 2
HP 450
MP 2300
スキル
光合成 lv1
魔力吸収 lv7
称号
世界樹の後継者
ほぉ……レベルが上がったみたいだけど、どれくらい上がってるのかわからないな。それにしても、魔力吸収のスキルも上がってるが、ステータスが破格だな。HPと比べると上がり値が半端ないぞ。こうなると何か魔法を覚えたいよな。まあ、今は無理でもいつかは覚えられたらいいな〜
なぜ虫が死んだんだ?まあ、いいか。
▽
20日目〜
その後根が程よく伸びていき、狙っていた若木の根に届くほど成長した。幹の太さも成人男性の腹回りはあるだろう。根も随分と太くなっていき、もうすぐ岩を包めるほどに成長した。ここまで成長すれば十分だろう。
俺はゆっくりと若木の根の先端に絡ませていくと、なんと若木は逆にこちらに根を伸ばしてきた。なんだ?握手とでも言いたいのか?最初はそう思っていたが、数時間すると徐々に俺の体から何かが抜けていく感覚に襲われた。
『な、何だ?これ……。まさか!こいつ、逆に俺を吸収しようとしてんのか!?』
それに気づいた俺も、若木の根から生命力を吸収しようとしていく。すると、うまく吸収できない代わりに何かが抜けていく感覚が治った。どうやら力が拮抗しているようで、どちらが先に負けるかという勝負のようだ。
トレントでない木がここまで強いとは想像もしていなかった。
まあ、こちらも負けるわけにはいかない。と、いうことで、若木の根を包む根に全ての力を込める。このあいだ調べたのだが、石ころ程度なら根の力だけで砕くことができた。その時と同じように力を入れていくと、若木の根が徐々に凹んで行き、数分で圧し潰した。俺は素早く千切れた根に俺の根を突き刺していく。人間でいうと、腕をちぎられその腕に手を突っ込まれている状況だ。
俺は素早く若木の根から生命力を吸収していく。根を切ったおかげか、根に根を突っ込んだからか今度は少ない抵抗だったので無理やり吸い続ける。そして数日間吸い続けなんとか若木を完全に吸収仕切れたようだ。若木の青々しかった葉は枯れ果て、幹は老木のように乾燥しており今にも倒れてしまいそうだ。まあ、俺も少しでも間違えればこんな状況になったのかと思うと怖くなる。まあ、その分若木から得た力はかなりだった。若いお陰かかなりHPと魔力が増えたくらいだ。しかし、これからはもう少しゆっくり強化していくべきだな……この若木はまだよかったがまだ近くの木々には手が出せないだろう。逆に吸収されてしまう可能性が高い。
『しかし、日の光を浴びたいんだよな……』
早めに強くなりたいんだが…どうするか。まあ、そこまで深く考えなくてもいいか。木ってのは長生きなんだ。のんびり成長すればいいさ。
名前 未定
部類 魔樹
種族 トレント
レベル 2
HP 600
MP 2700
スキル
光合成 lv1
魔力吸収 lv7
自然魔法 lv1
称号
世界樹の後継者
略奪者




