↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/18

003:チュートリアル ~いっちょやってみっか!?~

 シャァァァン……と、綺麗な鈴の音を奏でて着地する。

 着地というか着弾?

 ボクが地面に触れた途端、纏っていた流星の光が周囲に展開されて纏わりついた。

 桜ちゃんと見たPVでもあったけど、これってどういう意味があるの?


「おやや~? 増援に来てくれた新米さんかな~? 結界張ってくれてありがとねぇ~」


 と思ったら先人より回答いただきました。

 夜空の下ボクにチュートリアルよろしく説明をしてくれたのは先に戦っていた魔法少女。

 純白の髪に純白の衣装、あの子はプレイヤーなのかな?

 ん~でもこれって多分チュートリアルだし、普通にNPC魔法少女とかかな。

 やっぱりこうして一目見ても同じ人間としか思えないんだからすごい世界だね。


 と、ボクがそんな思考に耽っている間にもドラゴンは暴れて周囲の建物を攻撃してた。

 ……んだけど、なるほど光が纏わりついた建物たちはまるで揺らいでない。

 これが結界か、こういう意味があったんだね。


 純白の魔法少女がピョンピョン跳ねて近寄ってくる。


「いや~前の侵略の生き残りが潜んでたみたいでねぇ。新米さん、ドラドラと戦うのは初めてぇ?」

「あ、はい。というか魔法少女歴3分もないです」

「なるほどぉ~! んじゃいっちょやってみっか!」

「なにを?」


 ていうかテンション高くない? とは思いつつ、なにをってそりゃチュートリアルだよね、ここでいうなら戦闘方法か。

 未だ結界の張られた建物を諦めず攻撃し続けるドラゴン……ドラドラ? を指さして純白の魔法少女はステッキを掲げた。


「オラのことはらっきーって呼んでねぇ。それで魔法少女の戦いだけど、ああいう小型のドラドラ相手ならこのマジステで十分! いっちょやってみよう!」


 やってみよう! のところでらっきーはブンっとステッキ……マジステ? を振るって光のエフェクトを撒き散らした。

 らっきーが振るった先にいる目の前のドラドラは大体小さな一軒家くらいの大きさだ。

 果たしてこれは小型なのか?

 先人がそういうならそうなんだろうけど。


 光のエフェクトは上空に集まって一塊になったかと思うと……花開き。


『アンラッキー!』


 どこからともなくらっきーの声が聞こえてきた。

 あれ、らっきーは隣にいるのに今のもっと上から聞こえたような……そういう演出なのかな?

 花開いたエフェクトはキラキラと小型のドラドラに降り注ぐ。


「今のはオラのデバフ魔法だお~。この状態なら新米ちゃんの魔法でも攻撃が通るはず! さぁいっちょやってみっか!」

「え、やるってどうやるの!?」

「マジステを振るいながらこういうの~って想えば、それがその魔法少女の個性に合わせた形で発動するのさ! さぁいっちょやってみっか!」

「アバウトぉ……!」


 う~でもせっかくらっきーがデバフ魔法……ようするに弱体化魔法をかけてくれたんだから無駄にしたくない。

 ボクはバランス型だから攻撃特化じゃないんだけど、一応攻撃もできるってことでいいんだよね?


 いつの間にか手に握られてる黒いマジステを掲げる。

 衣装も真っ黒な魔法少女になってる……本当にブラックなんだね、秩序の女神さま操作とかしてない?


 えぇ~い、こうなったら闇とは正反対の煌びやかな攻撃攻撃攻撃!

 出ろ!


『ナイトメアダスト』


 えいっ! とマジステを振るうとやっぱり空からボクの声で技名が聞こえてくる。

 ナイトメアダスト?

 悪夢の埃?

 なーんか弱そうっていうか悪っぽいなぁ……。


 とか思ってると振って出てきた粒子がいくつもの小さな塊になって、ポンッ! と弾けた。


『『『キャキャキャキャキャ!』』』


 なんか生まれた。

 丸い……なに?

 ギザギザの歯がキラリと光る、赤いラインで瞳が描かれた真っ黒の球体。

 それが1、2の……10体かな?

 ボクの周囲に生まれて漂っている。


 ……いや戦って?


『『『キャキャキャー!!』』』


 戦って、と思ったら号令を待っていたかのように飛び出した。

 そっか、これって下僕を呼び出して命令を与えるタイプの魔法なんだね。

 10体全部がらっきーのデバフ魔法の効果か、なんか転んだり足ひっかけて碌に立ち上がれないドラドラに突っ込んでいく。


 そして──


『ダスト・プライド』


 またもや上から聞こえたボクの……いやこれは下僕たちの声かな? と共に、下僕たちがドラドラの体内に沈んでいった。


 ドクンッ、と。


 脈動するような感覚を覚える。

 今のはボクの脈動?

 それともあのドラドラの……?


 いや違う、脈動したのは下僕たちだ。

 ダスト・プライド……埃の矜持?

 ドラドラの体内に沈んだ下僕たちが笑っている感覚が伝わってくる。


「おぉ~、えっぐい魔法使うんだにぇ~! 配下にエナジードレインをさせて自分にその吸い取った力を流させる……段階はいるけどいい魔法だぁ~」

「らっきー、わかるの?」

「オラほどの魔法少女になれば説明余裕でした!」

「そっか……」


 これってチュートリアルで使った魔法の効果をらっきーが説明してくれるとこまで含めてチュートリアルなのかな?

 だとしたら今使った魔法は効果も判明したし、これから重宝しそうかも。


「新米ちゃんはまだ新米だから魔法は1個しか覚えられないよ。だから効果はちゃんと覚えておくんだゾ!」

「それ早く言ってほしかったなぁ!?」


 え、1個しかない魔法ここで決まっちゃったの?

 おぉう、せっかくのバランス型なのに当分はこれ1つで戦わねばならんのか。

 はやく桜ちゃんと合流して共闘したいね。


 とか話してるうちに小型のドラドラはらっきーのデバフ魔法とボクの下僕……いや今後長い付き合いだからナイトと呼ぶ、ナイトメアのナイト。

 ナイトのエナジードレインでみるみるうちに弱っていき、遂に膝を折って地面に倒れ込んだ。

 これで勝利かな?


 隣を見ればらっきーがふぅと額の汗を腕で拭っている。

 汗かいてるようには見えないけど、もうらっきーがこういうお茶目なキャラだっていうことは把握済みです。


「ありがとうらっきー、色々教えてくれて」


 お礼を述べて手を差し出す。

 握手だ。

 魔法のことはもうちょっと早く教えてほしかったけど、どの道魔法少女として戦うのに攻撃以外の魔法だったらマズかったろうし、これでいいんだと思う。

 最初は1つでもそのうちもっと覚えられるだろうしね。


 腕の下から観察するようにボクを見つめるらっきー。

 なんだろ? と思って首を傾げる。


「いやはや~、真っ黒な魔法少女ってのは初めて見たけど、来訪者ならあり得る話なのかなぁ~? ともあれお疲れ~い! あのドラドラは放っておけばそのうち消えるから、これで初仕事完了だね! 歓迎するよ新たな魔法少女ぉ!」


 あぁ、真っ黒なのがいけないんですね、どう思いますか秩序の女神さま?

 これ本当にブラックに操作してたら1回運営に相談したほうがいいんじゃないの?

 あなたのとこのNPCが暴走してますよー! って。


 ともあれボクの差し出した手を握って握手してくれたらっきー。

 これでチュートリアルも終わりか……なんて思ってた。


『──いい力だな、魔法少女。お前も私と同じ運命を辿るか?』


 その、身体に重く圧し掛かる、低い男の声を聴くまでは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。