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002:チュートリアル ~キャラメイク~

 目が覚めると暖かい光が差す雲の上だった。

 遺跡みたいな建造物も見えるけど……あれ、ゲーム間違えた?


『ようこそ始まりの神界へ。『インフィニティ・カオス・ワールド』を救う魔法少女の卵よ、歓迎いたします』


 と思ったら目の前に綺麗な女の人が現れる。

 よかったちゃんとイカオスの中だ。

 それにこの女の人の声、どこかで聞いたと思ったらゲームPVで流れてたナレーションの声と同じだ。

 ゲーム開始のナビゲーターみたいな人なのかな?


「舞島こころです。よろしくお願いします」


 とりあえず挨拶しておく。

 この前高校に入学したばかりの花の女子高生、舞島こころなんです。


『あらこれはご丁寧に。私は秩序の女神、人のように名前はありませんが、秩序の女神が名前だと思ってくれれば構いません。そしてここはこれから貴女が魔法少女として力を授かるための場所です。さぁ、祈りを捧げて』


 いや、祈りを捧げてって言われても信仰深くなんてないんだけど……秩序の女神さまはじっ……と見つめて何も言わない。

 これはボクが祈るまで進行しないやつかなと、形だけでも手を合わせてみた。


 すると。



 選択してください:◇魔法型

          ◇物理型

          ◇バランス型



 こんな表示が目の前に現れた。

 レベルとかはないって話だったけど、タイプとかそういうのは選べるのかな?


 詳細は見れないのかと試しに魔法型をタップする。



:◇魔法型……魔法攻撃に特化した魔法少女

 ◇物理型……物理戦闘に特化した魔法少女

 ◇バランス型……どちらにも特化しない代わりに拘束やバフデバフなどの搦め手もできる魔法少女



 おっと魔法型に限らずいっぱい出てきたぞ。

 ふんふん……説明を読む感じ魔法型と物理型は攻撃特化?

 それでバランス型が色々できる器用貧乏的なポジションなのかな?


 うーん桜ちゃんは魔法少女大好きだから間違いなく魔法型選ぶと思う。

 バランス型も魔法は使えそうだけど、桜ちゃんの性格からして力こそパワー……いやパワーこそ花? って感じだからね。

 そうなるとボクは物理型かバランス型でわかれたほうがいいのかな、でも物理型ってこれ魔法少女じゃないよね、筋肉こそ花を地で行く人向けだよ。


 ということでバランス型を選んだ。


『その選択でよろしいですか? ここでの選択はギガントギアと呼ばれる機体の、専用機を手に入れた際にも特質として影響します』


 その情報今出す?

 いやけどそれでもやっぱりボクはバランス型かなぁ、魔法型で超火力ぶっぱとかも楽しそうだけど、攻撃しかできないっていうのもちょっとね。


「バランス型で」

『ではその祈りに応え、これから貴女に魔法少女の力を授けます。さぁ、祈って──』

「あ、ちょっと待って」

『……なにか?』


 光の玉を浮かべて先に進めようとした秩序の女神さまを遮る。

 ちょっと不満そうだけど、いやボクもここで確認しないといけないことなんだ。


「あの、容姿の変更とかは?」

『……? 魔法少女になれば衣装はついてきますよ?』

「いやそうじゃなくって。ほら、髪色変えるとか、そういうの」

『魔法少女に変身すれば特徴を現した髪色になると思いますが。あぁ、貴方ならきっとブラックになるでしょう』


 おい今のブラックって悪口じゃないのか?

 ていうかそこも自分で決められないの!?

 えぇ~リアルバレとかその辺の対応どうなってんのさ。

 まぁ今は昔みたいにリアルバレから事件っていうのは少ないけどさ。

 せっかくならいつもと違う自分になってみたかったよね。


「はぁ。じゃあ名前は?」

『名乗りなさい』

「なんでキレ気味……? 舞島こころ……は流石にだから、こころで」

『ではこころ。これから貴女の祈りに応え力を授けます。その力で下界を荒らす悪の首領ヘルエルから人々を、そして世界を守るのです!』

「はーい」


 あんまりできることもなかったキャラ作成に投げやりな返事をする。

 今度こそ光の玉を浮かべてボクに近づいてきた秩序の女神さまは後光を差しながらそれをボクの胸に押し込んできた。


『──魔法少女こころ。悪の首領ヘルエルは神さえ殺せる怪物です。だから忘れないで……』


 ボクの胸に両手を押し当てながら、秩序の女神さまは静かな声で囁いてくる。

 なんだろうとボクも秩序の女神さまを見上げた。


『……あなたたちは何度だってやり直せる。だけど、下界で暮らす民たちはそうじゃない。運命には限りがあるということを、忘れないでください』


 それは、プレイヤーは何度やられても復活するというゲームのアレか?

 けどNPCたちは復活しない仕様だよって伝えてくれてるのか。


 NPC……この秩序の女神さまもそうなのかな?


 なんとなく、きっとこの秩序の女神さまの中に人が入ってるわけじゃないんじゃないかと思った。

 それってAIにしても凄い技術だけど、そんなの今は関係ない。


「うん、任せて!」


 元々ゲームだからってストーリー進行でNPCたちが死んでいくのを見るのは好きじゃなかったからね。

 それが本物と見間違うほどの人格を感じたなら、なおのこと死なせたくなんてない。

 だからボクは笑顔で秩序の女神さまに宣言した。


『……あなたの行く末に幸あらんことを』


 ふふっ……と微笑んだ秩序の女神さまはそう言って離れる。

 するとボクの足元の雲に穴が開いて、眼下に暗闇の中輝く人の営みが見えた。


 って、え?

 これ落ちる?


「幸どこぉぉぉぉ!?」


 早速災難に見舞われてないですかこれぇぇぇ!


 キラキラと光を発して一筋の流星のように地面に向かって飛んで、いや落ちていくボク。

 シャンシャン、シャンシャンと鈴のような綺麗な音が耳を優しく撫でる。

 その音を聞いてるうちに落ち着いてきた。

 これ、桜ちゃんと見たPVでもあったあれだ。

 え、ということはこの先には……。


『ドラドラァァァァッ!!』


 着地地点で暴れる1体のドラゴンが!

 そうだよね、これってつまり、チュートリアル?

 うわー流れるように進行していくなぁ。


 既に戦っている魔法少女がいることを視認しながら、鈴の音を奏でるボクはそこに突っ込んだ。


 シャァァァン……ってね。

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