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009:師を求めて ~見て覚えるだけだ~

 なんか超重要そうなポジションのNPCと出会ってしまった。

 人も人ならこの場所も場所だ。

 まるで夜空が上下の2つ存在するのかと錯覚してしまいそうになる幻想的な花畑。

 今ボクが立ってるのが果たして大地の上なのかわからなくなってくるほどだった。


 そんな煌めく花畑で出会ったこたつさんはふと花々に目をやると1つ頷く。


「ちょうどいいね、こころ君もここの花たちに水をあげてみないかい? ちょっと特殊な水やりをね」

「特殊な水やり?」


 ピコンッ


 〈弟子入りクエスト:命の花に水(特殊)をあげよう!〉


 なんかでた!

 えーと、弟子入りクエスト?

 これって受けて達成したらこたつさんがボクのお師匠様になるってことかな?

 うーんここは幻想的だしこたつさんは重要そうなキャラだけど、魔法のお師匠様はもうちょっと考えたいんだけど……。


「あぁ、特殊っていうのは単純な話、回復魔法をかけてあげるだけなんだけどね」

「やります」

「最初のうちは僕がここの花たちに水をあげるけど、そのうちこころ君がここの管理とかできたらいいと思ってるよ」

「だからやります! あ、でもここの管理とかそういうのは考えさせてください」

「そう? やる気は十分に見えるけど」


 それはきっとさっき失伝したって聞いたばかりの回復魔法がさりげなく再登場したからです!

 え、ホントなにこの人?

 当たり前のように使える人がいないらしい魔法を出してくるじゃんか。


 これはもしかしてもしかするのか?

 ごくり。

 いやいやフラグ回収速すぎだろって思うんだけどね。

 ……でも聞いてみよ。


「あの、こたつさんって命の魔法使いって呼ばれてたりしますか?」

「さぁ? 別の呼び方をされることが多いからな、気にしたこともない。それと話しやすい口調でいいよ、疲れるでしょ」

「あ、じゃあお言葉に甘えて」


 なんかはぐらかされちゃった?

 でも硬い口調は肩がこるのでそのお言葉は助かる。


 特に遠慮もせず固かった身体をほぐす。

 うーんここってゲームの世界のはずなのに伸びとかで気持ちよくなるんだね。

 流石は没入型、その言葉に偽りなし。


 ボクが右に左に身体を伸ばすのをこたつさんは笑って見ていた。

 正直この人に聞いてみたいことはいっぱいある。

 この空間? はなんなのか、とか。

 なんで1人でここにいるの? とか。

 でもそういうのを聞く前にまずは出された弟子入りクエストをクリアしないとね。


 ボクは改めて弟子入りクエストの内容を確認した。


 〈弟子入りクエスト:命の花に水(特殊)をあげよう!〉


 今更だけど命の花って凄いな。

 ここも命の楽園とか言ってたし、やっぱりこの人もう完璧に命の魔法使いその人でしょ。


 と、今はそれも心に留めておいて。


「おまたせ。それでボクはなにをすればいいの? 瞑想とか座禅?」

「魔法を覚えるのにいちいちそんなことしないさ。これから僕が魔法を使うから、それを見て覚えるだけだ」

「いやだけだ、じゃないんだが?」


 それならまだ瞑想とか座禅のほうがはるかに習得できそうなんだが?

 まさかの見て覚えろのスパルタ方針ですかそうですか。

 こちとらまだ魔法少女になって1日経ってないド新人やぞ!


「まぁ流石に1日やそこらで覚えられるなんて思ってないさ。毎日地道に鍛錬していけばいい。さぁ、見ててね」


 言うが早いがこたつさんは両手を合わせてなにやら薄い光の輪っかを生み出した。

 さてはこの人教えるの下手な人だな?

 かといって貴重な観察の時間、無駄にはしたくないのでしっかりと注目する。


 光の輪っかは合わせた両手を覆うように展開されていて、そこに力が集まっている……ような気がする。

 まるで輪っかの中に宇宙でも広がっているのかと錯覚しそうなほど大きな力に思えた……気がする。


 いやわからんがな。


 けど気がするって付け加えてるけどそう感じたのも嘘じゃない。

 これも魔法少女になった恩恵の1つかなにかだろうか。

 流石に魔法のない世界出身のプレイヤーにそこら辺のご恩情はありましたか。


 そのままじっ……と観察していると光の輪っかが突如爆発するように周囲へ広がる。

 ん……この光景はどこかで見たことがあるような?

 爆発した輪っかの光がキラキラと花々に纏わりついて吸収されていく……あぁ、これってボクたち魔法少女の張る流星からの結界の工程と同じなんだ。

 道理で見たことがあると思ったよ。


「どうかな?」

「無理です!」


 そんなすぐ覚えられないってあんたも言ってたでしょ──


 ピコンッ


 ──いやいやまさかね。


 突如固まったボクに首を傾げるこたつさんに断りを入れて、システムウィンドウを確認する。

 いやまさかね?

 あんな1回見ただけで覚えるとかそんなことないない……。


 〈初級回復魔法:ヒールを習得しました〉


 あったよ!

 魔法覚えちゃったよ!


 〈メイトメアダストの影響でヒールがヒールダストに派生変格を遂げました! おめでとうございます!〉


 そして更になんかボク独自の魔法に変格しちゃったよ!


 あぁ~、そういやこれってゲームだったね。

 チュートリアルでらっきーから1つ目の魔法、弟子入りクエストで1つ目に合わせた2つ目の魔法を覚えるって感じか。


 こたつさん!

 1日どころか秒で習得してしまいましたァ!

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