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010:師を求めて ~師匠の正体(暴露)~

 こたつさんに説明する前に、とりあえずヒールダストの詳細を知りたくてシステムウィンドウをぽちぽちしてみる。

 けど残念ながら文面で解説が出てきたりはしなかった。


 うーんチュートリアルではらっきーが一目見ただけで解説してくれたんだよね。

 あれは彼女の自称曰くオラほどの手練れになれば解説余裕だったらしいけど、こたつさんってらっきーを超えた手練れなのは間違いないよね?

 だってきっと命の魔法使いその人だし。


 よし、んじゃいっちょ聞いてみっか!

 らっきー、ボクに力を貸して!


「どうしたこころ君? さっきから百面相をしたかと思えば宙空をぽちぽちして今度はガッツポーズか。これは回復魔法が必要か?」

「……なるほど、NPCにはシステムウィンドウ見えないのか……いやボクたち来訪者ってみんなこんな感じだから気にしないで?」

「そうか……みんなそうなんだな。わかった、覚えておこう」


 ごめんプレイヤーのみんな。

 重要そうなNPCがボクたちを可哀そうな頭の子みたいな認識しちゃった。


 ……これボクは経緯知ってるけどこれから会うかもしれないプレイヤーたちは最初からこの可哀そうな子を見る目で見られるの?

 いや仮面で目元見えないけど雰囲気でわかるよ。

 うわー、やっちまったか?

 ……うん。

 考えるのよそう、なるようになるさ!


「それでこたつさん、いや師匠!」

「気が早いね……それでなにかな?」

「ボクたった今ヒール覚えたんだけど」

「は?」

「それがボクの魔法の独自変格を遂げてヒールダストになって」

「は?」

「それの効果がわかったりしないかなぁって調べてたんだけど」

「はぁ……?」

「師匠わかったりしないかな?」

「うん……とりあえずヒール」


 ぽわぁっと。

 暖かい光がボクを包み込む。

 これがヒールを受ける感覚か。

 わぁ、まるで身体の隅々まで再生されていくかのような気持ちのいい感覚……って別にどこも壊れてないよ!?


 パッパッと纏わりつく光を追い払う。

 くそっ、これ素手じゃ干渉できない。


「今のがヒールだ。なにか思う事は?」

「いやそりゃ色々あるよ? あるけど、なんだろう? さっき師匠が使った魔法と違うね?」

「そうだ。今のがヒールで、僕がさっき使った水やりの回復魔法は月光癒というより上位の魔法だよ。教えても見せてもいないヒールの魔法を突然覚えたと言い始めた馬鹿弟子候補の頭を少し心配したのだけど、効き目はあったかな?」

「ヒールって頭の出来も治せるの?」

「さぁ? 状態異常ならブレスのほうがよかったかな」


 うんわかったさてはこの人ボクのことからかってるな?

 そもそもいきなり上位の魔法を覚えさせようとすんな。

 刻むだろ普通、もっと段階をよ……!


 いやでもわかるよ、今の師匠の言葉から察するに上位の魔法を見せても下位の魔法を覚えることはないってことだよね。

 なのに1日では覚えられないはずの魔法を下位互換にして秒で覚えたとか言ったらそりゃ頭の心配もされるか。


 こういうのは言葉より実践だ。

 ボクは師匠が解説余裕な手練れなことを期待して、先程覚えたばかりのヒールダストを使ってみる。


 師匠の真似をし両手を合わせて……。


『ヒールダスト』


 上空からボクの声で技名が響く。

 それと同時、ぽわっと光の玉が浮かんだと思ったら、それがぽんっと弾けてナイトの口とか目の線をそのまま緑色にしたみたいな球体たちが現れた。

 数は……うん、こっちも10匹だね。


 ボクの号令待ちなのも同じなのか現れた子たちはふよふよと所在なさげに漂っている。

 この子たちをヒールナイトと名付けよう。


 振り返って師匠に視線をやる。

 ドヤァ。


「なるほど。こころ君の行使するヒール……いや回復魔法全般か。それを中継して遠隔で癒すための子機と言ったところかな? なかなかいい魔法だよ。ただ中継する子機が増える度回復魔法の作用も減少するだろうからそこは気を付けんだよ」

「あ、はい。ありがとうございます……」


 ドヤ顔で見返したらしっかりと師匠らしい解説で返された。

 思わず敬語になっちゃったよ。

 なんかボクがバカみたいじゃんな?

 というかやっぱりこの人も見ただけで魔法の解説余裕ですかそうですか。

 ……らっきーほどの手練れってどの程度いるんだろ?


「……ふむ。これは想定外ではあったけど、僥倖でもあるのかな。いやいや来訪者ってのは随分神々に期待されてるんだね。それに便乗して僕もこころ君に……いや我が弟子に頼みたいことがあるんだけど」


 ピコンッ


 〈弟子入りクエスト達成!〉

 〈命の魔法使いこたつの弟子になりました! おめでとうございます!〉

 〈これにより様々な専用コンテンツが解放されます。詳しくはメニューをご参照ください〉


 いや待て待て一気にきすぎ一気にきすぎ。

 もう弟子入りクエスト完了なのか。

 師事する人決めたらあっという間だったな。

 そしてシステムウィンドウで暴露される師匠の正体よ。

 ゲーム運営ェ……。


 それでなになに専用コンテンツ?

 詳しくはメニューを……って、いかん師匠への受け答えが先だまた可哀そうな子を見る目で見られる。


「……もういい?」

「ごめんって!」


 もう既に見られていた件。

 これからは気を付けます。


「それで師匠! 頼みとはなんでしょう!」


 ビシッと敬礼聞く気万全です。


「……うん。まぁ頼みっていうのはね、せっかく回復魔法覚えたしさ、診療所、開いてみないかい?」

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