3裏切り
星祭りの日は早めに店じまいして私は約束の時間になる前に新しく新調したベージュ色のワンピースを着た。
襟ぐりと袖口にレースがあって金色の刺繍糸で星の刺繍が施してある。少し高かったが特別な夜のためだからと奮発したものだ。
ルカと同じ栗色の髪を整えいつもは後ろでひっ詰めている髪を下ろして星型の髪留めで髪の毛の一部を後ろで留める。
私はすでに22歳。年令で言えば結婚するには遅いくらいの年だ。ルカと出会うまで結婚は出来ないだろうと諦めていたのにいきなりあんな素敵な人と出会ってこんな短い期間で結婚にまで、なんだか信じられない気持ちだった。
そわそわしながらルカが迎えに来るのを待った。
約束の時間になってもルカは店に迎えに来なかった。約束では店に迎えに来るとルカは言った。
なのに現れなかった。
私は一瞬、魔獣でも出て突然騎士団が出動することにでもなったのではと心配になった。
だが、魔獣が出れば街には警報の鐘が鳴るはずなのでそれは違うと思い留まる。
そして30分が過ぎさすがに待ちきれなくなった。
私はもしかしたら私が勘違いしたのかもと思い始めた。ひょっとして星まつりの行われる聖星教会で待ち合わせるつもりだったのかもと急いで店を出て聖星教会に向かった。
大通りに出るとすでに人が溢れていた。その大通りを抜けて丘に向かっていくと聖星教会が見えて来た。
参道には露店が立ち並び賑やかな声が響いている。そんな中を私は必死で歩いて聖星教会の礼拝堂を目指した。
星の願いを擦る神聖な場所。皆がそれぞれの願いを込めて礼拝堂で祈りを捧げるのだ。
人をかき分け少しずつ前に進む。こんなに人がいたらルカを見つけられないかもしれない。そんな不安がよぎった。
その時だった。
ルカ?その隣には友人のエリーナがいる。エリーナは嬉しそうにルカに寄り添うようにして歩いている。
私はかっとなってルカの所にずかずか歩いて行った。
「ルカ!?どういう事、私、あなたが迎えに来るのを待ってたのよ。それなのに!」
一瞬ルカの顔が引きつった。
でも、すぐにルカの顔が平然とした顔に変わる。
「それは俺の言う事じゃないのか?彼女から聞いた。フローラ君を信じてたのに、君との約束はなしだ!もう、君とも会わない。店にもいかないから。じゃ!」
ルカは取り付く島もないほど私にまくし立てた。
ルカの言葉が一つ一つナイフのように心に突き刺さる。
私が何をしたって言うの?信じてた?私だってあなたを信じてたのに!
「あなたこそ、私を裏切ってるじゃない!あなたなんか。二度と顔も見たくないから。二度と私に近づかないで!!」
そんな言葉をまき散らしながらも辛すぎて涙がボロボロ零れ落ちる。
初めての恋。信じていた。彼の言葉を。彼の心を。
なのに、別れた突然訪れた。
私は我を失って聖星教会から走り去った。
何がなんだか分からないままだった。
星まつりが終わると王都から来た騎士たちはまた王都に戻って行った。
ルカはあれから私を訪れる事はなかった。
私も意地になってルカに会いには行かなかった。
私の初めての恋はこうして終わった。




