ー【第2節】規格外の蒼穹『グラン・ブルー』と魔力の海『アピス・ブルー』。そして古龍の暴走
第2節 規格外の蒼穹『グラン・ブルー』と魔力の海『アピス・ブルー』。そして古龍の暴走
移動手段はもちろん、マリモだ。
「ハッハッハ! やはり本来の姿は調子が良いわ!」
雲の上を飛んでいるのは、全長五十メートルを超えるエメラルドグリーンの巨竜。
俺はその背中に乗って、優雅な空の旅を楽しんでいる……はずだったのだが。
「お、おいマリモ! スピード出しすぎだ! 風圧で結界が割れそうなんだが!?」
「細かいことは気にするな主よ! 見ろ、もう着くぞ!」
王都から数千キロ。常識的に考えれば数ヶ月かかる距離を、マリモは数時間でぶっ飛ばしてきた。
雲を抜けた瞬間、視界に飛び込んできたのは、異世界転生者でも二度見するレベルの絶景だった。
「なっ……なんだこれ……」
上空に広がるのは、吸い込まれそうなほど深い藍色の空――『グラン・ブルー』。
そして眼下に広がるのは、宝石を溶かしたかのように輝く鮮烈な青色の海――『アピス・ブルー』。
二つの青が世界を支配している。大気中に充満する魔力濃度は、王都の数百倍はあるだろう。普通の人間なら魔力酔いで即死するレベルだが、俺には心地よい。
「すげぇ……。これが限界海域か。素材の宝庫じゃないか」
俺が錬金術師(鑑定)の目で海をスキャンしようとした、その時だ。
「主よ! あそこを見ろ! あのデカい魚影!」
マリモが叫んだ。海面に、クジラサイズの魚が跳ねているのが見える。
「あの輝き……SSSランク食材の気配がする! 食いてぇ!」
「は? おい待て、まずは着陸地点を……」
「問答無用! いただきますッ!!」
「うわああああああああっ!?」
マリモは俺の静止も聞かず、翼を畳んで急降下を開始した。
ジェットコースターなんてもんじゃない。重力が仕事を放棄してる。
伝説の古龍としての威厳? そんなものは食欲の前では無力だった。
海面スレスレで急旋回し、水しぶきと虹を撒き散らすマリモ。
「ヒャッハー! 新鮮な魚だァァッ!」
俺は必死に鱗にしがみつきながら思った。
……これ、本当にスローライフできるのか?




