ー【第2節】ヘドロの海魔、神殿を襲撃。アルスとマリモの奮戦虚しく、敵は無限に再生する
第2節 ヘドロの海魔、神殿を襲撃。アルスとマリモの奮戦虚しく、敵は無限に再生する
「来るぞ! アピス、下がっていろ!」
俺は叫び、愛用の短剣を抜き放った。
同時にマリモも飛び出し、空中で翠玉の古龍の姿へと変貌する。
「小賢しい汚泥め! 我が楽園を汚すとは万死に値する!」
マリモが咆哮と共に、エメラルドグリーンのブレスを放った。
極大の熱線が黒い霧を焼き払う――はずだった。
ジュワッ!
ブレスが直撃した瞬間、黒い霧は蒸発するどころか、不気味な粘液状の塊となって凝縮した。
そして次の瞬間、その塊は巨大な『海魔』の姿を形作った。
ヘドロで構成された巨体。無数の触手。そして、苦痛に歪んだ人面のような模様が浮かび上がっている。
「グオオオオオオオッ!!」
海魔の咆哮が空間を震わせる。
物理的な衝撃波がテラスを襲い、テーブルや椅子が吹き飛んだ。
「くっ……物理攻撃が効きにくいタイプか!」
俺は風魔法で衝撃波を逸らしながら、錬金術で即席の酸性ポーションを生成した。
「喰らえ!」
ポーション瓶を投げつける。
瓶が割れ、強力な酸が海魔の表面を溶かす。
だが、溶けた端から黒いヘドロが湧き出し、傷口を瞬く間に修復してしまった。
「再生能力持ちかよ! 厄介だな!」
マリモが上空から爪による斬撃を見舞うが、それも暖簾に腕押しだ。切断された触手はすぐに繋がり、あるいは分裂して襲いかかってくる。
「主よ! こやつ、魔力を吸収して再生しておるぞ! この海そのものが奴の餌場だ!」
マリモの分析通りだった。
アピス・ブルーの高濃度魔力が、皮肉にも敵に無限の活力を与えてしまっている。
このままではジリ貧だ。
俺たちはじりじりと後退し、神殿の入り口まで追い詰められた。




