ー【第3節】アルスの裏表のない言葉に救われるアピス。涙と笑顔で結ばれる種族を超えた友情
第3節 アルスの裏表のない言葉に救われるアピス。涙と笑顔で結ばれる種族を超えた友情
アピスは呆気にとられた顔をしていた。
そして次の瞬間、その大きな瞳から、堰を切ったように涙が溢れ出した。
「う……うぅ……っ!」
彼女はマシュマロを握りしめたまま、声を上げて泣き出した。
それは悲しみの涙ではなく、安堵と喜びの涙だった。
「あ、アルス様ぁ……! うわぁぁぁん!!」
アピスは子供のように泣きじゃくりながら、俺の胸に飛び込んできた。
俺は彼女の背中を優しくポンポンと叩いた。
「よしよし。泣くなよ、せっかくのマシュマロが塩味になっちまうぞ」
「だってぇ……! 嬉しくてぇ……!」
アピスの体温が伝わってくる。震える肩が、彼女がいかに孤独で、不安だったかを物語っていた。
「主よ、キザな台詞を吐きおって。……だが、悪くない答えだ」
マリモも、いつの間にかアピスの頭の上にちょこんと乗っていた。
「我も同感じゃ。貴様が怪物だろうが何だろうが、美味い飯を作る腕前は本物だ。龍として認めてやる」
マリモが小さな手(前足)でアピスの頭を撫でる。
「マリモ様まで……うぅ、ありがとうございますぅ……!」
アピスは泣きながら、それでも顔を上げて、くしゃくしゃの笑顔を見せた。
「あたし……あたし、生まれて初めてです。こんな風に言ってもらえたの……!」
彼女は涙を拭い、鼻をすすりながら、俺とマリモを交互に見つめた。
「アルス様、マリモ様。あたし、お二人のこと、大好きです! 世界で一番、大切なお友達です!」
その言葉には、一点の曇りもなかった。
種族も、生まれも、背負っている運命も違う。
けれど、この焚き火の灯りの下で、俺たちは確かに繋がっていた。
「ああ。俺たちもだ、アピス」
俺は彼女の頭を撫でた。柔らかい水色の髪と、硬い角の感触。
異形であろうと、彼女は彼女だ。
俺たちの、かけがえのない友人だ。




